【私が棄てた女・遠藤周作】1人の女性像に永遠の聖性を託した小説

遠藤周作は第3の新人と呼ばれたグループの作家です。代表作はなんといっても『沈黙』でしょう。しかしそれ以前に書かれた作品にも名作が多々あります。ここでは『私が棄てた女』を取り上げます。聖性に満ちたイエスやマリアにも通じる美しい心の持ち主です。

【史記・韓信の股くぐり】大きな目的を実現するために恥辱を我慢した男

韓信という人の名前を御存知ですか。「韓信の股くぐり」という話の中に出てきます。劉邦の家来です。将軍として劉邦を支え続けました。なぜ恥辱を受けても、それを我慢したのか。そこには真の目的があったからです。そのためには耐えることを知っていました。

【売油翁・帰田録】技術を習熟した先にはそれを超えた高い境地がある

中国の本にはさまざまな種類のものがあります。その中でも哲学者たちの記録には深い内容の著作が多いですね。この『帰田録』という本は不思議な味わいに満ちています。高校で習った人もいるかもしれません。技術に習熟することの意味を考えてください。

【学問のすすめ・福沢諭吉】物欲に支配された人間の末路は哀れの一言

福沢諭吉の著書のなかで、最も有名なのが『学問のすすめ』です。新しい時代を切り拓くために何をどう勉強していけばいいのかという指針にもなりました。大ベストセラーだったのです。その中から大学入試に出た問題をピックアップしてみました。

【孔子家語】弟子・子路の直情径行をいさめ仁の心の意味を教え諭す

儒家の孔子の言葉を載せた本が『論語』です。この『孔子家語』にはそこに載りきらなかった話がたくさん出てきます。今回は弟子の子路に向かって行った忠告の意味について考えてみましょう。直情径行のある子路には考えもつかなかったことなのです。

【それから・夏目漱石】人はなぜ後悔しながら生きるのか【自由の選択】

人はなぜ後悔をするのか。難しい問題ですね。哲学者はいろいろな仮説をたてました。しかし結論は容易に出ません。1つ言えることはより自由になりたいということです。過去においての事実が書き換えられないとすれば、それをどう解釈すればいいのでしょうか。

【ガリバー・アリス・猫】読者が価値を決める【古典論・外山滋比古】

風刺小説として書いた『ガリバー旅行記』がいつの間にか童話に変質しました。童話として書いた『不思議の国のアリス』は文学書になりました。誰がそれを決めたのでしょうか。まさに時の流れと人々の心です。不思議なメカニズムについて考えてみましょう。

【信州に上医あり】良書を再読するたびに身体が震える【南木佳士】

『信州に上医あり』という本を知っていますか。南木佳士という芥川賞作家が書いたものです。佐久総合病院の院長だった若月医師の生涯を描いたルポです。この院長の人生を借りて、南木自身の生きざまを描いた本なのです。味わってみてください。

【人はなぜ本を読むのか・橋本治】元祖桃尻娘の作者が悩んだテーマ

人はなぜ本を読むのでしょう。それによってどのようなメリットを受けるのか。考え出すと答えがわからなくなります。作家橋本治はエッセイの中にその答えを書いています。過去に入試問題にもなった文章です。じっくりと内容を味読してください。

【愛嬌のない人】わかっていると思いこむことの怖さ【バカの壁】

わかるというのはどういうことなのでしょうか。話し合えばわかるといいますが、本当なんでしょうか。腹の底からわかるということはそう簡単にできるものではありません。世の中には言葉だけで理解できないことがたくさんあるのです。

【美を求める心・小林秀雄】美しさがわかるとはどういう意味なのか

小林秀雄の評論はどれも難解です。けっして難しい言葉を使っているワケではありません。しかしその内容は実に深みがあり、含蓄に富んでいます。美しいとはどういうことなのか。それをじっくりと考えてみた文章です。味わってみてください。

【やまとうた・和歌】言の葉の源として人々の心を和ませる不思議

905年に成立したといわれる古今和歌集には2つの序文がついています。真名序と仮名序です。土佐日記の作者、紀貫之が書いたと言われる仮名序は特に有名です。言葉が歌になる時、人々の心がおおらかにのびのびしたものになることを示しているのです。

【言の葉】詩人・茨木のり子の世界はいつも新鮮で瑞々しい【驚き】

詩人茨木のり子はいつも新鮮で瑞々しいのです。彼女の目には普通の人には見えない風景が見えたんでしょうね。

【男こそ・枕草子】美徳のよろめきを読みながら清少納言を考える

清少納言『枕草子』にはさまざまな内容があります。その中で男女の愛情を描いた部分は理解するのが難しいですね。じっくり読んでいると、人間は少しも進歩していないとしみじみ考えてしまいます。三島由紀夫の『美徳のよろめき』を思い出してしまいました。

【星の王子さま】童心にいつでも戻れる不思議な本【サン・テグジュペリ】

サン・テグジュペリの『星の王子さま』はいつ読んでも心があたたまる本ですね。一番大切なものは目に見えないんだという言葉が身に沁みます。

【小論文・ルールブック】あたりまえだけどとても大切なことを実践する

あたりまえだけど大切なことというのは規範意識に支えられたルールブックのことです。かつてこのタイトルで出版された本がありました。道徳の授業を実践することは大変に難しいものです。その中で、本当に教師が自分の心から発信した授業がこれだったのです。