【癇癖談・書を読むは】学者は貧乏と相場が決まっているという風刺話

本をよむことがそんなに価値あることなのかどうか。それを根本から考えてみようという随筆です。作者はあの『雨月物語』の上田秋成です。どういうつもりでこのエッセイを書いたのでしょう。その意味の深層を探ってみることにします。

【岩鼻や・去来抄】芭蕉・去来・酒堂3人の解釈の違いに俳諧の深みが潜む

俳句の話です。向井去来の『去来抄』の中にでてきます。岩鼻やという句の解釈をめぐって芭蕉との考え方の違いが明らかになります。たった一つの表現を変えただけで、世界の構図が違ってしまうのです。

【三遊亭好楽・どちら様もお先でございます】自然体の人生がいきついた先は

テレビの人気番組『笑点』で活躍している噺家、三遊亭好楽の聞き書きです。今日までどう生きてきたのかを淡々と新聞記者に語っているのです。特に目新しいことは書いてありません。誰もがたどるごく普通の内容です。ただし噺家の暮らしは特別ですね。

【馬ぶねの人・大和物語】男が結局元の妻のもとに帰ったワケ【歌徳】

『大和物語』は日本を代表する歌物語です。その中に「馬ぶねの妻」という話があります。男が新しい妻を持ってから、前の妻とくらしていた時の家財道具を全部運んでしまったのです。たったひとつ残された馬ぶねを使いの者が取りに来た時、彼女は歌をうたいます。

【盲亀浮木・今鏡】人がこの世に生まれることの不思議は語りつくせない

盲亀浮木という言葉を知っていますか。仏教の経典からとった表現です。盲目の亀が大海に浮かんだ木につかまることの困難さを示したものです。それだけに木につかまった時の幸福度を想像してみてください。『今鏡』に所収されています。

【讃岐典侍日記】先帝への慕情と幼い天皇に仕える女官の複雑な心情とは

『讃岐典侍日記』を読んだことがありますか。教科書には載っていません。しかしそこには当時の女性のおかれていた立場が仄見えてきます。寵愛してくれた堀川天皇が崩御し、その子供である新帝の世話をしなくてはならなくなりました。その過酷な運命とは。

【十八史略・文帝編】駐屯地に赴いた天子を将軍たちはどのように出迎えたか

『十八史略』は実によく書かれた歴史書です。この中には今でも参考になる史実がたくさんでてきます。周亜父将軍の話などは、軍律の在り方を実にみごとに描き出しています。じっくりと読んでみてください。

【撰集抄】仏道修行に徹した増賀上人は名利を求めるのを避けたけれど

仏の道に生きるためには、何をすればいいのか。一番はあらゆる名誉と利益を離れるということが、いちばん大切です。しかしそれを実行しようとすると、大変に困難だという話です。実際にあった話をもとにしているだけに、リアリティがありますね。

【女生徒・太宰治】少女の不安定な心理を巧みに表現した自意識の日記

太宰治の小説『女生徒』はなかなかユニークな作品です。1日の朝から夜までを日記風にまとめてあるのです。全編にわたって、1人の女生徒の自意識をそのまま、言葉でまとめ切っているのです。自己愛の中身をのぞいてみましょう。

【54字の原稿用紙】自分だけの物語として呟かれた密やかな楽しみは

『54字の物語』という本はユニークですね。新しい巻がでるたびに増刷を重ねています。何が面白いのか。誰にでもチャレンジすることができます。そこに自分の世界を織り込むことが可能なのです。さらに出版もされるとなれば、乃しいに違いありません。

【史記・仲尼弟子列伝】孔門十哲のうち両雄・子貢と子路の個性の違いとは

孔子の弟子は多士済々です。その中で最も有名なのは子貢と子路です。2人はどういう性格の人だったのでしょうか。その違いについて、『史記』の中で司馬遷は詳しく論じています。ぜひ、じっくりと読んでみましょう。

【九条殿の夢合わせ・大鏡】1人の女房の夢判断がとんでもない結果を招いた

夢をみたあと、人はだれでもその意味をしりたくなるものです。しかしとんでもない判断のミスが、その後の人生を左右することも゜あります。甘くみてはいけません。誰に絵解きをしてもらうのかということを、よくよく考えなければいけません。

【才と徳・資治通鑑】聖人・君子・小人・愚人をどう見分け配置すればいいのか

北宋時代の儒学者に司馬光という人がいます。彼が著した本が『資治通鑑』です。そこにはさまざまな帝王学が記されています。その中でも徳と才のどちらをより高く評価すべきなのかという大きな問題について考えた箇所があります。読んでみましょう。

【故郷の廃家・饗庭孝男】語り部のひとりとして一族の歴史を綴った鎮魂歌

饗庭(あえば)孝男先生のことは、いつか書きたいと思っていました。著書の中でも好きな本の一冊、『故郷の廃家』を久しぶりに読んだのがきっかけで纏めてみる気になりました。大学時代に授業を受けることができ、幸せでしたね。今になっても、当時のことをよく覚えています。

【立原道造・ソネットとの出会い】夭折の詩人の言葉には死の予感が

ソネットという詩の形式を御存知ですか。わずか14行の詩です。これを見事に自分のものにした詩人がいます。立原道造がその人です。彼の持つ言葉はとても明るいものが多いのです。しかしその反対に人間の孤独と戦う横顔も見えます。

【多田行綱の密告・平家物語】平清盛邸に馳せ参じた気弱な男の心境は

多田行綱の 密告によって鹿ケ谷の変が始まります。『平家物語』の中のクライマックスです。しかし学校では滅多にやりません。やはり密告という事実が重いのでしょう。平清盛邸に馳せ参じた気弱な男の心境はどのようなものだったのでしょうか。