【夏目漱石・硝子戸の中】短編の味わいここに極まれり【日常風景】

夏目漱石の短編『硝子戸の中』は日常の風景をそのまま綴った作品です。次々と起こる毎日の出来事をじっと見守る1人の作家の視線がやさしいのです。末期の目に満ち溢れています。そこに繰り広げられる出来事が、今の時代にも繋がっているような気がします。

【共生の思想】哲学者・梅原猛の予言に示された文明の未来図とは

哲学者、梅原猛は生涯において教壇に立ち続けました。中学生に向けても何度か授業をしたのです。そのうちのいくつかが採録されて本になっています。非常にわかりやすく解説されています。是非手に取ってみてください。私たちの未来の可能性が描かれています。

【NHK・元ディレクター・今井彰】飽くなき真実への探求心に脱帽

元NHKディレクター、今井彰の本を紹介させてもらいます。伝説のドキュメンタリー「プロジェクトX」の企画から制作まで一貫して関わってきました。その力量は並外れたものがあります。退局後は作家として次々と問題作を発表しています。一読して下さい。

【やまなし・宮沢賢治】透明感に満ちた自然の豊かさを感じさせる童話

宮沢賢治の童話『やまなし』は透明感あふれる作品です。小学校の教材に所収されてから、多くの人の知るところとなりました。川底の風景を基調として、自然の豊かさを静かに描写しています。生きることの意味を問いかけたすばらしい童話なのです。

【ネイティブ信仰からの脱却を】なんのために英語を学びたいのか

面白い本です。同時通訳で活躍中の女性の書いたものです。偶然のようにアメリカの大学へ留学することになりました。そこでの英語の勉強がやがて彼女の人生を劇的に変えます。その勉強の仕方がものすごいです。日本に戻ってからの仕事ぶりも読んでみて下さい。

【名人伝・中島敦】狂気でも冗談でもない結末の言葉に真実が宿る

中島敦は『山月記』で有名な作家です。虎になった人間の話は必ず高校時代に習います、その小説家の作品に『名人伝』というのがあります。弓の名人になりたかった男が長い修行を経てついに名人になります。しかし弓の存在を既に忘れていました。

【作家・中上健次】路地の魅力が昭和の力の源泉だった【風景の変化】

日本の風景はここ数10年で大きく変わりました。路地がなくなり、道路が舗装されました。かつて路地を舞台にして小説を書いたのは中上健次です。彼の紀州新宮を中心とした世界はそれが神の領域に入るものと仮託されました。崇高な世界の造詣だったのです。

【徒然草・神無月のころ】人間の貪欲な魂は細部に宿る【兼好法師】

人間の心というのは、日常生活の細部に滲み出てくるものです。それが怖いですね。徒然草を書いた兼好法師は観察眼の豊かな人でした。他の人なら気づかないようなことまで、見えたのです。「神無月のころ」という一節はまさに人間の本質を示すものです。

【蜜柑・芥川龍之介】日常のわずかな瞬間に作家の内面を垣間見る

芥川龍之介の短編『蜜柑』は実に味わいのある作品です。暗い気分で電車に乗っていると、少女が突然やってきます。トンネルを抜けたところで、窓から蜜柑を投げたのです。少女は奉公に出るのでした。蜜柑が別れを惜しんでやってきた弟たちとの惜別の品でした。

【建築家・安藤忠雄】大阪茨木市・光の教会は不可能との戦いだった

大阪茨木市にある光の教会をご存知ですか。建築家安藤忠雄が設計した有名な教会です。わずかな資金で建てるために、基本構造だけのコンクリート製です。十字架は壁にスリットを入れただけの簡素なもの。しかしその美しさは特筆に値します。一見の価値があります。

【姨捨山・大和物語】悲しい伝説は時代を超えて【今もあるある】

大和物語は伊勢物語と並ぶ有名な歌物語です。これの結晶がやがて『源氏物語』となりました。その中で有名な段「姨捨山」を読みましょう。年老いた親を山に捨ててくるという伝説に基づいた話です。食料を確保するために口減らしをした日本の風習の1つなのです。

【この国のかたち・司馬遼太郎】壮大な闇を持つ人物に憧れる民族の心

司馬遼太郎の史観は独特のものです。『この国のかたち』を読むと、彼の歴史観や民族観がよく理解できます。特に偉大な暗闇を持った人物に対する憧れは、他の民族にはみられません。西郷隆盛や坂本龍馬の人気のヒミツはまさにそこにあるのです。

【日本永代蔵・井原西鶴】本邦初の経済小説はミラクル級のホームラン

井原西鶴の『日本永代蔵』はまさに経済小説そのものです。お金をテーマにしてこれだけ真っすぐに切り込んだ浮世草紙は初めてでした。江戸時代の貨幣経済をみごとに描いた小説としては出色です。登場人物にも不思議な魅力がたっぷりです。味読してください。

【続古事談・清盛・福原遷都】人の心を見抜くワザは一朝一夕にならず

人の本心を見抜くというのは難しいです。『続古事談』という本に平清盛の遷都に反対した男の話がでてきます。福原に都を移したものの、なにもかもうまくいかず、京都に戻りたいと考えていた矢先のことでした。藤原長方の反対で清盛は京都に都を移したのです。

【源氏物語・葵上】正妻に取り憑いた物の怪の正体は噂のあの人だった

『源氏物語』の中で1番人気のあるのは、この葵上の段です。六条御息所の生霊が源氏の正妻、葵上に取り憑くシーンは、誠に読みごたえがあります。この段は能にもそのまま移植されました。最後に般若の面をかぶり、 嫉妬の炎に狂う御息所を演じるのです。

【魯迅・藤野先生】国籍と立場を超える生涯の師を持てた文人の幸せ

魯迅の『藤野先生』は胸が熱くなる小説です。国籍と立場を超えて留学生であった魯迅に正対しました。途中で医学から文学への転身を図った時、藤野先生は1枚の写真に惜別と書いて渡してくれます。一生の師として尊敬し続けた魯迅の真摯な態度を読み取って下さい。
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