【方丈記・無常】鴨長明は時代を鋭く貫くキーマン【末法的現在】

鴨長明の随筆『方丈記』は時代を貫く内容に満ちています。地震、台風、火事、飢饉などの歴史資料としても貴重な価値を持っています。無常観についてはよく言及されますが、彼は先を見ていたのではないのでしょうか。現代の末法的要素を知ることもできそうです。

【宇治拾遺物語・悪人往生】見も知らぬ人相見の捨て身の覚悟に感じて

宇治拾遺物語には面白い話がたくさんあります。悪人だった男が人相見の捨て身の覚悟に感じて、それ以後、立派な聖になったとう逸話があります。悪人正機ともとれる考え方に当時の人たちは、感動したことでしょう。是非一度は読んでもらいたい話です。

【枕草子】清少納言の鋭い人間観察力は神品そのもの【定子への敬慕】

『枕草子』を書いた清少納言は人間観察の達人でした。ものづくしの段を読んでいると、その鋭さに舌を巻きます。じっとものを見続ける目の確かさとでもいえばいいでしょう。定子への敬慕にも並々でないものを感じます。すぐれた作品を味わって目を養ってください。

【大鏡・人心掌握の達人・道長】中納言昇進をめぐる兄弟争いの果てに

歴史物語『大鏡』にはたくさんの魅力があります。とくに中納言昇進をめぐる兄弟争いの中に割って入った藤原道長の態度です。人心をうまく操り、自分の政権運営をみごとに成功させていきます。人事を餌にして自分の意のままにしていく姿には脅かされます。

【おらが春・小林一茶】晩年に生まれた娘のあどけなさに思わず笑みが

小林一茶の俳句文集『おらが春』は実に味わい深い本です。56歳で娘が生まれた時の記述は慈愛に満ちた父親の目そのものです。幼児の記述が実にあどけなくて可愛いのです。子供を持つ人ならば、誰でもが共感を寄せることでしょう。是非ご自身で読んでください。

【徒然草53段・仁和寺の法師】中世における滑稽話の最高傑作

徒然草53段に出てくる仁和寺の法師の話は実に滑稽です。酒の席で調子にのりついそばにあった鼎を頭からかぶってしまいます。それが抜けなくなって大変なことになったのです。最後は耳がちぎれてもいいから抜けということでした。笑い話ではすまされませんね。

【権力争いの象徴・無名草子】衰亡していく家の姿に世の無常を知る

『無名草子』にはさまざまな話が載っています。中でも中宮定子が亡くなった時の様子がしみじみと書かれています。一条天皇と相思相愛だった中に、道長の権力欲が滑り込んできます。新たな攻防が始まるのです。愛情だけでは生きてはいけない時代の哀しみです。

【源氏物語・若紫】紫上は女の哀しみを一生背負い続けた【宿命】

源氏物語の中で最もよく読まれる部分が「若紫」の巻です。幼い日の紫上と初めて出会い彼女の美しさに惹かれます。二条院に連れ帰って自分好みの女性に育てあげ、ついには妻にします。しかし正妻にはなれず、子供も授かりませんでした。苦悩の日々が続きます。

【『槐記』に潜む処世術】太閤秀吉の無知を見抜いた歌詠み幽斎の血

『槐記』という本に載っている歌詠みの機転の話です。太閤秀吉の無知を知っていて、わざと相手を舐め窮地を救った話なのです。登場人物は細川幽斎と里村紹巴です。それぞれの性格がみごとに描かれています。性格の違いに着目して読める教訓に満ちた作品てす。

【歌詠みの系譜】古本説話集9話に紫式部と伊勢大輔の魂の交感を見た

古本説話集第9話に紫式部と伊勢大輔との間に行われた魂の交感の様子が出てきます。歌を詠むということは歌人にとって命と引き換えにするだけの厳しい作業でした。その重責を短時間で見事にやってのけた話の中に、歌人の系譜が見えてきます。みごとな話です。

【徒然草礼賛】百四段の味わいは特筆もの【王朝文学の華やぎに酔う】

『徒然草』は兼好法師の書いた日本を代表する随筆です。中には滑稽な話などもありますが、百四段は特に王朝文学の味わいが残る段です。彼が実際に宮中で見た豪華絢爛とした世界を、自分の想像でまとめたものでしょう。『源氏物語』を髣髴とさせるところもあります。

【池波正太郎・人間通】没後30年企画が続々【人気の秘密は何か?】

池波正太郎の人気は没後30年たった現在も衰えることがありません。テレビ、映画、劇画などになって、たくさんの人を楽しませています。その秘密はどこにあるのでしょうか。浅草で生まれた彼が見てきたものは何だったのか。魅力への糸口はなんでしょうか。

【小論文ノート・おすすめ】代ゼミ講師の神解説は他に類を見ない逸品

長い間、小論文の問題集や参考書をみてきて、これが1番という本はどれかと言われたら、この本を勧めます。それは代々木ゼミナール編『新小論文ノート』です。解説を現役の講師陣が全てしています。それも実に細かくていねいな分析が加えられているのです。

【村上春樹】短編・レキシントンの幽霊は喪失の悲しみが揺らめく逸品

村上春樹の短編『レキシントンの幽霊』は人間の喪失感を扱った小説です。人が亡くなった後の悲しみをどうすればいいのか。悩み苦しむストーリーなのです。主人公はただ眠り続けます。亡くなった人との魂の交感の儀式を終えるまで目を覚ますことはありません。

【月刊文藝春秋】赤坂太郎の名コラムを読めば政界の鳥観図が一目瞭然

「月刊文藝春秋」赤坂太郎の名コラムをご紹介しましょう。筆者は実在しません。数人の若手政治記者の持ち回りです。政界与党の裏話を実に面白く綴っています。新聞の記事とは全く違います。政権を維持し続けたい権力者の欲望が丸見えなのです。一読して下さい。

【村上春樹】短編・象の消滅は不思議で寂しくミステリアス感100%

村上春樹の短編『象の消滅』は不思議な味わいの小説です。どこかふわっとした現実味のない、それでいて心象風景をみごとに捉えた傑作なのです。アメリカの雑誌「ザニューヨーカー」に翻訳されて掲載されました。後に舞台化もされ大きな話題になったのです。
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