【徒然草・54段】必要以上に小細工すると結果は予想より惨めになるのです

徒然草はいつ読んでも心に残る本です。今回はまたもや仁和寺の法師の話です。よほど、このお寺に親近感があったのですね。必要以上に手を入れたりすると、結果は惨めなものになるという話です。愉快なので、ちょっと読んでみてください。

【項羽の最期・史記】自分の運命を見切った男の死にざまは壮絶だった

項羽の最期は『史記』にどのように描かれているのでしょうか。高校の漢文では必ず学ぶところです。平家物語を読んでいるような感覚にも囚われてしまいます。不思議な味わいのあるシーンです。ぜひ、読みこんでみてください。

【本を読むと路に迷う・朝吹真理子】自分を見失う楽しみのための読書とは

朝吹真理子氏のエッセイを題材に選んでみました。『文学国語』の教材して所収されていたからです。彼女が芥川賞を受賞した『きことわ』はユニークな構造の作品です。夢と時間が交錯する中で、人はどのような感覚を持つのかがテーマなのです。

【フェルマーの最終定理】300年間も数学者を悩ませ続けた話【完全数】

フェルマーの定理という数学の論証を知っていますか。300年の間、世界中の数学者が戦ってきた難問なのです。それを解いた人がいます。どのような苦労をして、チャレンジしていったのか。読んでいると、ワクワクしてきますよ。

【芋粥・芥川龍之介】人間の欲望には限りがなく幸福と幻滅とは表裏一体

芥川龍之介の短編はどれも面白いですね。非常に感覚が鋭いので、時に痛い思いをします。『芋粥』もそうした作品のうちの1つです。芋粥を腹いっぱい食べるのが夢だった男が、どんな思いでその日を迎えたか。その後に襲われた精神の不安について示されたものです。

【銀の匙・中勘助】灘中の名物教師が1冊に3年かけて授業をした伝説の本

中勘助の『銀の匙』という本を知っていますか。灘中の名物先生が、この作品を3年間かけて授業に使いました。多くの生徒がこの小説を通じて、国語力を身につけたと言われています。ぜひ、チャンスがあったら手にとってみてください。

【枯野抄・芥川龍之介】芭蕉臨終の場面で弟子たちがみせた心理のドラマ

芥川龍之介の『枯野抄』は芭蕉が亡くなる死の床を描いた小説です。多くの弟子たちはそれぞれの自意識で動いています。その心理を一人一人めくっていくという作業が容赦ありません。短編ですので、一読をお勧めします。

【想像し物語ること・大江健三郎】誰もが自己表現をしたいと願う欲求の意味

人間は誰でも自分を表現したいのです。それが生きているということの証しです。想像力を自由にはばたかせ、他者との垣根を払いのけようとする作業なのです。今回は大江健三郎のエッセイを取り上げてみました。

【猟師仏を射ること・宇治拾遺物語】世間知らずな聖と判断力のある猟師は

説話集の中から題材を取り上げてみました。世間知らずな聖と世の中を冷静に見ている猟師の話です。2人の対比がわかりやすいので、昔話として、長い間親しまれてきたのでしょう。ここからどのような教訓が得られるでしょうか。考えてみてください。

【フェミニスト批評の試み】男性文化の視点から離れた別の切り口を模索する

批評は長い間、男性の文化を起点として行われてきました。それを女性の視点から試みるという流れが存在しつつあります。「フェミニスト批評」がそれです。どのようにして、女性の切り口から批評を行えばいいのかという指標になります。お読みください。

【陰翳礼讃・谷崎潤一郎】風雅を愛する日本人の美意識を突き詰めた随筆

日本人の美意識を究極まで煮詰めたエッセイが、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』です。どれほど日本人が自然の明かりを大切にしてきたのかということを、論じています。ここに示された漆器に対する愛情なども、彼の経験に基づいてまとめられています。

【鞄・安部公房】青年が抱えて苦しんだ鞄の持つ意味は【寓意のナゾ】

安部公房の小説はどれも寓意に満ちています。その意味を探りながら読まないと、何が書いてあるのかよくわかりません。この『鞄』という短編も実に難解です。どういう意味があるのか、あなたも考えてみてください。

【山東京伝・内田百閒】不思議な味わいのある夢物語は師・漱石の筆致に似て

作家、内田百閒の世界は実にユニークです。今回は彼の夢物語『山東京伝』を読みます。この江戸時代の作家に弟子入りした男が見たものはなんであったのか。それを追いかけていくだけで、不思議な世界がそこにあらわれます。

【無常ということ・小林秀雄】常なるものを見失った現代人に必要な心構えは

文芸評論家、小林秀雄の評論『無常ということ』を読みます。名文の誉れ高い内容です。最初に古典の文章を取り出し、そこから人生や歴史をどう考えればいいのかというテーマを展開していきます。内容に飛躍があり難解です。

【完璧・十八史略】故事には歴史の重みと人の魂を鼓舞する知恵がある

完璧という故事はどのようにして生まれたのか。中国の歴史を読み解かなくてはなりません。『十八史略』の中にありました。「和氏の璧」と呼ばれる宝を欲しがった秦とそれを取られたくなかった趙との心理作戦の様子が元だったのです。

【那須野・奥の細道】眩しい光の中に突如あらわれた撫子のような少女は

『奥の細道』の中の「那須野」の段を読みましょう。ここで特筆すべきなのは、突然登場するひとりの女の子です。名前をかさねと言います。そこから重ねるという文字を連想し、さらに撫子の花を思い浮かべました。句と共に鑑賞してみてください。