【男こそ・枕草子】美徳のよろめきを読みながら清少納言を考える

清少納言『枕草子』にはさまざまな内容があります。その中で男女の愛情を描いた部分は理解するのが難しいですね。じっくり読んでいると、人間は少しも進歩していないとしみじみ考えてしまいます。三島由紀夫の『美徳のよろめき』を思い出してしまいました。

【小論文・ルールブック】あたりまえだけどとても大切なことを実践する

あたりまえだけど大切なことというのは規範意識に支えられたルールブックのことです。かつてこのタイトルで出版された本がありました。道徳の授業を実践することは大変に難しいものです。その中で、本当に教師が自分の心から発信した授業がこれだったのです。

【クレールという女・須賀敦子】信念を持つ女性の生きざまに憧れる

イタリア文学者、須賀敦子のエッセイです。タイトルは「クレールという女」。高校3年生用の教科書に所収されています。内容は抵抗運動の中で生きた人々の真実の愛とは何かという深いテーマです。すばらしいエッセイです。ご一読ください。

【俳優という生き方・中村敦夫】木枯らし紋次郎の特異な演劇人生

俳優中村敦夫の人生は特異なものです。さまざまな経験が彼の本にはたくさん描かれています。小説も書きました。政治活動もしました。ある種、冷めた目で芸能の世界を切り取っています。社会活動に軸足をうつしてからの行動もユニークです。

【葉山嘉樹】セメント樽の中の手紙は過去の作り話ではない【事故】

つい数日前、東京都府中市の工場で事故がありました。過去にブログにも取り上げた小説に似た悲惨なものです。葉山嘉樹というプロレタリア文学の作家が書いた『セメント樽の中の手紙』がそれです。時代が変わっても仕事の内実は今も同じなのです。

【空海・最澄】密教と顕教の教えが2人を割いた【陳舜臣・司馬遼太郎】

陳舜臣と司馬遼太郎が書いた空海の本は実に豊かです。そこへ最澄がからむと、この時代の仏教界の流れが手にとるようにわかります。唐の都へ行って、灌頂を受けてきた空海が、次に何を狙ったのか。そのターゲットを最澄の立場から考えるのも興味深いです。

【近代能楽集・三島由紀夫】能を現代に蘇らせた出色の創作劇

作家三島由紀夫は能を現代劇に仕立て上げました。彼の持つ美意識が能の形而上学にピタリと合致したのでしょう。しかし実際に上演するのは大変に難しいのです。三島の世界を再現するために、俳優たちは苦しみました。  

【月山・森敦】雪に閉ざされた寺で過ごしたひと冬の日常【原風景】

作家森敦の魅力はその特異な世界にあります。10年働き、10年遊ぶという生き方を実践してきました。それが彼の文学にさまざまな陰影をつけています。旧制一高を退学した後に、多くの小説家たちと知り合い、特に横光利一に師事しました。

【万国旗と電信柱・別役実】不条理演劇の時代を生き抜いた劇的な作家

別役実をご存知でしょうか。新しい芝居を探りつづけた劇作家です。ベケットの影響を強く受け、反演劇を目指しました。その芝居にひとたび触れると、日常の生活が全く違うものに見えてしまうのです。不思議な魅力に満ちた作家でした。

【アルジャーノンに花束を】人間にとっての幸福とは何かがわかる本

ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』という作品を読んだことがありますか。脳の手術を受け、劇的にその数値を伸ばしていく話です。ハツカネズミのアルジャーノンも同じ手術をうけますが、その後の変化は、悲惨な未来を予感させるものでした。

【モモ・童話】盗まれた時間の意味を女の子に教えられた【時間泥棒】

ミヒャエル・エンデの童話『モモ』はけっして子供のためだけにある作品ではありません。彼の鋭い視点は自分に向けられたベクトルの矢そのものです。なんのために現在という時間をつぶして生きていこうとするのか。その意味を考えさせる名作です。

【枯木灘・中上健次】路地に命をかけた紀州新宮の作家【神話の系譜】

中上健次の小説には神話に繋がる広さと深さがあります。紀州はまさに神話の故郷なのです。多くの小説の中で『枯木灘』の世界は超絶しています。そこに描かれた血族の姿は、この国の民族が持つ神話への畏敬にも通じています。一読を勧めます。

【字のない葉書・向田邦子】父親の愛情を澄んだ目で捉えた好エッセイ

向田邦子の名エッセイ『字のない葉書』は中学2年生の教科書に載せられています。学童疎開をさせた1番下の妹は子供なので文字も書けません。つらい思いをしないようにと、父親はたくさんの葉書を持たせます。その結果はどのようなものだったのでしょうか。

【三顧の礼・三国志】劉備玄徳が諸葛孔明を迎えるためにした礼の奥義

三国志は本当に面白い読み物です。日本でも多くの作家が挑んでいます。横山光輝は60巻に及ぶ漫画を描きました。その中によく使われる表現「三顧の礼」があります。劉備が諸葛孔明を自分の参謀にと願った時の礼の究極の姿なのです。

【捜神後記・陶淵明】1匹の犬が2度も主人公の命を救ったという奇譚

陶淵明の怪異譚『捜神後記』の中から珍しい話を1つ紹介しましょう。高校では選択科目でしかやらないと思われます。このような類の話は読んでいると実に不思議な感覚になるものです。中国にはこうした怪異譚の系譜がたくさんあるのです。

【奥の細道・平泉】芭蕉の視線の彼方には杜甫の漢詩・春望が見えた

『奥の細道』の中でも「平泉」はとりわけ表現のみごとな段落です。その理由は背景に杜甫の詩を連想させるからです。「春望」の世界をイメージしながら、この段を読むと、格別の感慨があります。松尾芭蕉は有名な俳句をここでつくりました。
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