【足摺岬・とはずがたり】補陀落渡海という水葬の風習がこの地名の由来だった

足摺岬という地名の由来を書き留めた「とはずがたり」の一説を読みます。学校では滅多に取り上げられることはありません。昔の人の仏に対する信仰心の篤さがよくわかります。補陀落渡海という風習とあわせて理解してください。

【苦しかったときの話をしようか・森岡毅】就活のための断トツ本はこれ!

森岡毅さんの本はたくさんの人に読まれています。彼がどれたけの実力をもっているかをよく知っているからでしょう。口にしたことを必ず実現させる。USJをV字回復したこともよく知られていますね。今回は彼の代表作を読みます。

【ようこそ、ヒュナム洞書店へ】ベストセラーを置かない独立店を愛した人々は

『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』は読む価値のある本です。読後感が非常にさわやかなのです。登場人物たちは、みな苦しんでいます。自分がどういう形でこの世に存在すればいいのかが、よくわからないのです。しかしみんな必死です。

【このついで・堤中納言物語】姫君のところへ通う男に心の変化が【子は鎹】

『堤中納言物語』から「このついで」の段を読みます。子供が男女の仲を復活させる大きな役割を果たしたという話なのです。最後に詠んだ歌が、男の心をつなぎ留めました。歌にはそれだけの力があるということなのでしょう。味読したください。 

【更級日記】神秘的な夜の山の美しさと少女の夢見がちな心の風景がみごと

『更級日記』の足柄山を読みましょう。菅原孝標女が父親と一緒に京都に戻ることになりました。その時の喜びと戸惑いを実に見事に描写しています。彼女の持つ観察力の鋭さが文章の中ににじみ出ています。味わってみてください。

【癇癖談・書を読む】学者は貧乏と相場が決まってるけど、だから何?というお話

本をよむことがそんなに価値あることなのかどうか。それを根本から考えてみようという随筆です。作者はあの『雨月物語』の上田秋成です。どういうつもりでこのエッセイを書いたのでしょう。その意味の深層を探ってみることにします。

【岩鼻や・去来抄】芭蕉・去来・酒堂3人の解釈の違いに俳諧の深みが潜む

俳句の話です。向井去来の『去来抄』の中にでてきます。岩鼻やという句の解釈をめぐって芭蕉との考え方の違いが明らかになります。たった一つの表現を変えただけで、世界の構図が違ってしまうのです。

【馬ぶねの人・大和物語】男が結局元の妻のもとに帰ったワケ【歌徳】

『大和物語』は日本を代表する歌物語です。その中に「馬ぶねの妻」という話があります。男が新しい妻を持ってから、前の妻とくらしていた時の家財道具を全部運んでしまったのです。たったひとつ残された馬ぶねを使いの者が取りに来た時、彼女は歌をうたいます。

【盲亀浮木・今鏡】人がこの世に生まれることの不思議こそがラビリンス

盲亀浮木という言葉を知っていますか。仏教の経典からとった表現です。盲目の亀が大海に浮かんだ木につかまることの困難さを示したものです。それだけに木につかまった時の幸福度を想像してみてください。『今鏡』に所収されています。

【讃岐典侍日記】先帝への慕情と幼い天皇に仕える女官の複雑な心情とは

『讃岐典侍日記』を読んだことがありますか。教科書には載っていません。しかしそこには当時の女性のおかれていた立場が仄見えてきます。寵愛してくれた堀川天皇が崩御し、その子供である新帝の世話をしなくてはならなくなりました。その過酷な運命とは。

【十八史略・文帝編】駐屯地に赴いた天子を将軍たちはどのように出迎えたのか

『十八史略』は実によく書かれた歴史書です。この中には今でも参考になる史実がたくさんでてきます。周亜父将軍の話などは、軍律の在り方を実にみごとに描き出しています。じっくりと読んでみてください。

【撰集抄】仏道修行に徹した増賀上人は名利を求めるのを避けたけれど

仏の道に生きるためには、何をすればいいのか。一番はあらゆる名誉と利益を離れるということが、いちばん大切です。しかしそれを実行しようとすると、大変に困難だという話です。実際にあった話をもとにしているだけに、リアリティがありますね。

【女生徒・太宰治】少女の不安を巧みに表現したお得意の自意識日記【怖い】

太宰治の小説『女生徒』はなかなかユニークな作品です。1日の朝から夜までを日記風にまとめてあるのです。全編にわたって、1人の女生徒の自意識をそのまま、言葉でまとめ切っているのです。自己愛の中身をのぞいてみましょう。

【54字の原稿用紙】自分だけの物語として呟かれた愉楽の時が公開され

『54字の物語』という本はユニークですね。新しい巻がでるたびに増刷を重ねています。何が面白いのか。誰にでもチャレンジすることができます。そこに自分の世界を織り込むことが可能なのです。さらに出版もされるとなれば、乃しいに違いありません。

【史記】孔門十哲のうち両雄・子貢と子路の個性の違いは徳力にあった

孔子の弟子は多士済々です。その中で最も有名なのは子貢と子路です。2人はどういう性格の人だったのでしょうか。その違いについて、『史記』の中で司馬遷は詳しく論じています。ぜひ、じっくりと読んでみましょう。

【九条殿の夢合わせ・大鏡】1人の女房の夢判断がとんでもない結果を招いた

夢をみたあと、人はだれでもその意味をしりたくなるものです。しかしとんでもない判断のミスが、その後の人生を左右することも゜あります。甘くみてはいけません。誰に絵解きをしてもらうのかということを、よくよく考えなければいけません。