【宋名臣言行録・王旦】賢者で有能にして忖度のない臣下の実力を見抜いた男

今回は漢文の文章の中から、古来の賢人たちの言行録を読みます。『宋名臣言行録』がそれです。皇帝の周囲には多くのすぐれた臣下が集まります。その中でもことにすぐれていたのが、王旦でした。彼のとった行動は、後の世の参考にもなります。

【晋書・周処伝】自らの行いを反省し修養して重職に就いた名将【除三害】

『周処伝』から名将、周処の若き日の話を紹介します。荒くれ者だった彼を村の人たちは嫌っていました。その後、自らの行いを反省したのです。一心に修養して次々と重職に就きました。除三害といわれた若い日の逸話を読みましょう。

【空白の意味】日本人は白い無の境地を心から愛した【美しさとは何か】

日本人論の1つとして、この著作を考えてみましょう。日本人の描く絵にはどうして余白が多いのでしょうか。江戸前期まで活躍した長谷川等伯の「松林図」にもたくさんの余白があります。その意味はどこにあるのか。これは日本人の心性を理解するための表現なのです。

【子産・春秋左氏伝】大国との均衡を保ち平和を実現した名宰相【仁人】

『春秋左氏伝』という本の中に子産について論じた章があります。子産というのは鄭という国の宰相を長くつとめた人です。大国に挟まれながら、なんとか自国の力を保ち、平和に暮らせるように尽力をした仁の人です。

【阿弥衆の役割】デザイナーはなぜネクタイを締めようとしないのか

デザイナーはなぜネクタイを締めようとはしないのか。そり理由を考えていくと、中世の阿弥衆にまで想像力は飛躍します。彼らはクライアントの思惑を超えて、自分の芸術性を高めようとしました。それはなぜなのでしょうか。

【故事成語・桃李成蹊】美しい花や果実の木がそこにあるだけで道が【史記】

漢文を元にした故事成語はたくさんあります。有名なものを幾つか知っているだけで、随分世界が広がりますね。ぜひ覚えてほしいものです。今回は「桃李成蹊」という言葉を学びましょう。大切な表現です。

【筑紫道記・宗祇】我が身の卑賎を恥じる必要はないという歌詠みの信念

連歌という形式は室町時代が最後の華でした。その後、俳諧にとってかわられていくのです。宗祇は連歌を完成した人と言われています。どのような信念をもって、歌を詠んでいったのでしょうか。一緒に彼の旅日記を読んでみましょう。

【枕草子命名のナゾ】「枕」という言葉に潜むヒミツを探ってみると

『枕草子』というのはよく考えてみると、不思議なタイトルですね。なぜ、このような題名になったのでしょうか。その理由を探ろうとすると、いくつかの謎に前方をふさがれてしまいます。今回は彼女の跋文を元に、その秘密にせまります。

【無名といふ琵琶の御琴を】定子のいるサロンが放つ中世の華やかさと影

中宮定子のサロンの様子を描いた段です。清少納言と定子の関係が実に色濃く出ています。なんかして定子がすばらしい女性だったということをアピールしたかったのでしょう。その熱意が痛いほど感じられます。最も幸せな時でした。

【侵官之書・韓非子】法や規律に背く行為は善意によるものでも認めず

韓非子の「侵官之書」を読むと、一見簡単そうなことが書いてあると感じます。しかしその考え方を遡ってくと、法治主義の持つ厳しい現実につきあたるのです。儒家の考え方とは違う、法家の思想を学んでください。

【野分の垣間見・源氏物語】嵐の後六条院を見舞った夕霧は偶然継母を見た

『源氏物語』の中に「野分の垣間見」という章があります。それまで一度もみたことのない継母を始めて夕霧が見かけるシーンです。美しい母の姿にそれまで別の女性に寄せていた心が、失せてしまうほどのものでした。紫の上です。

【落語の国の精神分析】東大入試に登場した落語関連の難解な評論はコレ

落語に関係した本というのは、だいたい噺家の聞き書きが大半です。しかしかつて東大の国語の入試問題に出た評論は、全く違う趣向のものでした。精神分析学者が、落語という素材を使って、噺家の精神のありようを分析したものだったのです。

【蜜柑・芥川龍之介】疲労と倦怠の日を送る作家が生の意味を垣間見た瞬間

芥川龍之介の短編の中から1作を選んでみましょう。『蜜柑』はどうでしょうか。ほんとうに短い作品ですが、当時の芥川の心理状態を見事に描き出しています。奉公にでる少女が、汽車の窓を開けて蜜柑を投げたというだけの話ですが。名作ですね。

【宮城谷昌光・春秋時代】心憎いまでの柔らかな描写力を持った作家

宮城谷昌光の小説をご紹介します。多くの本がベストセラーになっていますね。そこにあるのは歴史だけではありません。人間が描かれているのです。どのようにして人は生きていけばいいのかということが、彼の小説にはたくさん散りばめられています。

【花山院の出家・大鏡】藤原兼家と道兼親子の陰謀に騙された天皇の悲劇

「花山院の出家」という話は『大鏡』の中でも代表的なものです。必ず高校の教科書には所収されています。権力闘争の中で、半ば騙されて出家してしまった天皇の悲劇です。その後、藤原摂関政治が大きく動いていった政変でした。

【三顧の礼】有能な人材を登用すれば自ずと展望が開ける【劉備と孔明】

『三国志』は魅力的な話ですね。登場人物にそれぞれの味があって、引き付けられてしまいます。その中でも軍師である諸葛孔明の存在は絶大です。彼の知略によって、どれだけの戦いに勝利できたのか。一つ一つチェックしていくだけで楽しいのです。