【タイの僧院にて】文化人類学者が素手で知った托鉢とアジアの純真

文化人類学を研究していた著者は自ら、タイの僧院に入ることを決意します。内側に入らなければ何も見えないと信じたからです。最も厳しいと言われる総本山で托鉢修行の日々を送りました。やがて栄養失調になり還俗。その時の様子を描いた本です。

【四国遍路・辰野和男】弘法大師と同行二人【いつの日か自分も】

辰野和男の著書『四国巡礼』は20年も前の本です。しかし少しも色褪せていません。むしろ今の時代の方が輝いているようです。そこには人間が原点に戻ろうとする勢いがあるのです。人々の心にあたたかい優しさが生まれます。その不思議を読み解いてください。

【トロイアの遺跡・古代への情熱】シュリーマンに祝杯を捧げたくなる

シュリーマンの著書『古代への情熱』は手に汗握る冒険譚です。楽しいですよ。自己顕示欲が少し強い側面もありますが、それを差し引いても面白いのです。どうしてここまでのことができたのだろうと驚いてしまいます。人間には夢が大切ですね。

【よき友・徒然草】お金では買えない一生の宝【ものくるる友が神】

よい友とはどういう人のことを言うのでしょうか。『徒然草』の中で兼好法師は3つのタイプをあげました。その1番がものをくれる人です。誰でも同じですね。何かをもらうというのは嬉しいものです。しかしそれだけではありません。友達は一生の宝です。

【尾崎放哉・海も暮れきる】俳人は孤独と戦った【咳をしても一人】

作家、吉村昭の『海も暮れきる』は自由律俳句の俳人、尾崎放哉の物語です。小豆島を訪れ、そこで死ぬまでの話です。荒れ果てた寺に住み着いた男がみた風景は、毎日穏やかな瀬戸内海の自然でした。そこで亡くなるまでの8カ月を過ごしたのです。

【大根の兵隊・信心】徒然草にはユニークな話がいっぱいあって楽しい

『徒然草』は大変に楽しい本です。愉快な話がたくさん載っています。今回は毎朝食べていた大根が兵隊に変身してあらわれたというユニークな内容です。人間、篤い信仰心があれば、いざという時に助けてくれるものがあらわれるのかもしれません。

【知の価値】なぜ本を踏んではいけないのかを真剣に考えてみた

齋藤孝の『なぜ本を踏んではいけないのか』は意味の深い本です。書籍には本来人格が宿っているのです。だからこそ踏むことはできません。現代は全てを情報という言葉で解決してしまう傾向が強くなりました。そこにリスペクトの余地はないのです。

【100冊の本】時代とともに生き続けてきた文庫本の未来は

毎年、夏になると、新潮文庫やカドカワ文庫の100冊が書店の店先を飾ります。夏休みの読書感想文の題材ともなっているのです。しかし昨今は長い文章を書くのが苦手な人が増えています。そこでより短く手軽に応募できる形に変化しつつあるのです。

【法隆寺を支えた木】宮大工の神髄がこもった名著に心洗われる

『法隆寺を支えた木』という名著を御存知でしょうか。薬師寺西塔を建立した宮大工、西岡常一の本です。読んでいるだけで、厳粛な気持ちになります。1000年の時を生きる建物をつくるということの意味を考えさせられるからです。

【鴻門之会・項羽と劉邦】この章段を読むと漢文に100倍の親しみが

「鴻門之会」は稀有な物語です。漢文でもこのあたりまでくると、かなり面白く、興味をそそられます。勉強が楽しくなるのです。歴史の醍醐味と合わせて、さらに学びたくなる所以です。是非、チャンがあったら、司馬遼太郎の本も手にとってみてください。

【土佐日記・紀貫之】仮名で書きたい一心から女だと名乗った男の日記

古今集を編纂した紀貫之の日記を読みましょう。当時の男性貴族はみな漢字で日記をつけました。しかし彼はなんとしても柔らかな仮名を使ってみたかったのです。そこで自分が女性だという仮託のもとに、全てひらがなで日記を著しました。ユニークですね。

【論語のトリセツ】現代に生きる孔子の教えをチョットだけつまみ食い

中国の思想家、孔子の残した言葉は今でも十分に通用します。むしろ複雑な現代だからこそ、その意味がより深いものになりつつあるのです。漢文の授業で習った基本的な文言をいくつか紹介しましょう。是非、座右の銘にしてください。続編も書く予定です。

【知の巨人・立花隆】秘書日記に綴られた意外なジャーナリストの素顔

知の巨人、立花隆が亡くなりました。80歳でした。彼は3万冊の本を読み、100冊の本を書いたと言われています。その事務所が募集したアシスタントに応募した人の日記があります。立花隆の素顔をそのまま描き出しています。

【方丈記・飢饉】地震と火事に襲われた歴史を生々しく綴った名随筆

歴史を生々しく綴った随筆に『方丈記』があります。鴨長明の代表作です。洪水、地震、遷都、火事、飢饉などの様子が、見事に綴ってあります。歴史の証言と言ってもいいでしょう。養和の大飢饉について書かれた部分を今回は読んでみます。

【門出・更級日記】京の都に憧れた少女時代が今はただ懐かしい

日記文学の代表『更級日記』を読んでみましょう。幼いころから京都での生活に憧れ、『源氏物語』を早く読みたいと願っていました。しかし姉たちも文章まで覚えているワケではなかったのです。父親の任期が終わり、いよいよ都へ出発する時がやってきました。

【鶯宿梅・大鏡】みやびを求めるあまり暴走した若き日の失敗談

『大鏡』の中でも有名な鶯宿梅の一節です。昔は清涼殿の脇に梅の木を植えました。ところが枯れてしまったので、適当な木を探したのです。それがなんと紀貫之の娘の家にありました。天皇の命令とあらば、反対はできません。彼女はさてどうしたのでしょうか