【世阿弥・風姿花伝】芸能に携わる者にとって魂の書といえばこの1冊

世阿弥が書いた『風姿花伝』は芸能に携わる者にとってはバイブルのような本です。ありとあらゆる心構えが書いてあるのです。最も有名なのは「秘すれば花」という言葉です。「まことの花」を探し求めて日々稽古に励むのです。それだけが心を支えます。

【萩原朔太郎・竹】青空を突き抜ける竹の根が神経にみえた詩人の薄幸

日本人は竹が好きです。独特の感性でその美しさを描写しました。ところが詩人萩原朔太郎にそれが神経そのものに見えたのです。感性の鋭さというしかありません。前橋の公園を訪れた時の文章をあわせて掲載させてもらいました。お読みください。

【山崎正和・水の東西】なぜ日本人は噴水を好まないのか【自然観】

山崎正和の「水の東西」は比較文化論の評論としても秀逸です。なぜ日本人は噴水を好まないのか。その理由を日本人の自然観の中に探します。まさに好きではなかったのですね。自然に逆らってまで、地上高く水を噴き上げることには大変な抵抗がありました。

【方丈記・無常観】人間の真実を描写した鴨長明の名著は永遠に残る

日本を代表する鴨長明の随筆『方丈記』。そこには無常観という日本人にしっくりと馴染む哲学があります。「行く川の流れ」に代表される名文は和漢混交文と呼ばれています。コロナ禍で廃業していく店舗をみるにつけ、長明の言葉が重く感じられてなりません。

【川端康成・雪国・山の音】息苦しいまでに孤独で繊細な感受性の人

川端康成の小説はあまりにも繊細で現代の人にはなかなか受け入れられにくくなっています。しかし自らの生をじっと見つめるまなざしには実に豊かな命が宿っています。ここでは『雪国』、『山の音』、『伊豆の踊り子』を取り上げてみました。

【さびしい王様・北杜夫】面白くてやがて哀しい大人のための童話

北杜夫の童話『さびしい王様』は1つの寓話です。権力を握った者の内面に深く入り込んだ傑作だと言えるでしょう。子供が読んでも面白いですが、むしろ大人のための童話です。自分を振り返るための鏡として利用することができる名作なのです。

【徒然草・折節の移り変わるこそ】変化を捉える兼好法師の目の確かさ

徒然草の中でも有名な章段が「折節の移り変わるこそ」です。自然の微妙な変化をきちんととらえる兼好法師の目は実に確かです。日本人の感性の基本をこの章段が作り上げたと言っても過言ではありません。十分に鑑賞し、声に出して読んでみて下さい。

【中原中也・汚れちまった悲しみに】倦怠感と絶妙な言葉のリズム

中原中也は女性に大変人気のある詩人です。なかでも「1つのメルヘン」と「汚れちまった悲しみに」はとてもファンが多いのです。柔らかな言葉が詩人の苦悩に包まれて優しく耳に響きます。言語感覚のすぐれた詩人の代表といえるのではないでしょうか。

【宮沢賢治・永訣の朝】妹トシの死の光景【おらおらでしとりえぐも】

宮沢賢治は誰もが知っている童話作家であり詩人でもあります。また農学校の教員でもありました。その世界は独特の優しさに満ちています。妹が亡くなる時の様子を描いた「永訣の朝」は忘れられない詩です。1度全文を読んでみて下さい。

【立原道造・夢見たものは】純粋な幸福を願う詩が気品のある合唱曲に

立原道造は生涯にたった2冊の詩集を出しました。それぞれに味わいのある珠玉の作品ばかりです。そのうちの1篇に作曲家木下牧子がメロディをつけました。多くの人によって現在もよく歌われています。混声、女声、男声それぞれに良さのある名曲です。

【高村光太郎・智恵子抄】詩人の心を照らし続けた光源【レモン哀歌】

高村光太郎の詩の中に登場する智恵子は実にあどけない魅力的な女性です。おそらく詩人を照らし続けた唯一の光源であったのでしょう。詩集「智恵子抄」は愛情の究極の形をみごとに描いた作品です。ことに「レモン哀歌」は亡くなった後の追慕に満ちています。

【泉鏡花・外科室】坂東玉三郎監督・吉永小百合主演の幻想世界【美】

泉鏡花は幻想的な作風の小説家として知られています。その彼の作品「外科室」が映画化されたのは今から20年前。女形として有名な坂東玉三郎が初めて監督をしました。主演は吉永小百合です。是非、特異な作品に触れてみてください。原作は青空文庫で読めます。

【半沢直樹】印籠を持たない孤独な水戸黄門が勧善懲悪に挑む【痛快】

テレビドラマ「半沢直樹」が絶好調ですね。最近にない視聴率を叩き出しています。そのヒミツはどこにあるのか。勧善懲悪だからというだけでは説明できません。銀行の合併にからむ暗闇が次々と明らかにされていきます。配役の妙とあわせて、手に汗を握ります。

【動物あるある】パンダの座り方にも人気の秘密が【ベビースキーマ】

動物の生態を知るとなるほどと感心させられることばかり。中でも人気者はなんといってもパンダでしょう。なぜ親しみを持つのか。理由を考えてみると、ベビースキーマという考え方に辿り着きます。なんのことでしょうか。ちょっとだけお付き合い下さい。

【トリビアの宝庫・絶句】動物たちに人生の深淵と厳しさを教えられた

動物の世界は弱肉強食です。その様子をわかりやすく、楽しく伝えてくれる本があります。漫画とエッセイで構成されていて、大変に読みやすいのです。人生の深淵にふれることもできます。是非1度手にとってみてください。いろいろと考えちゃいますよ。

【伊勢物語】成人した貴公子には恋の予感がメッチャ似合う【初冠】

伊勢物語は歌物語の代表です。高校の古文の授業でも必ず学習します。美しい言葉の表現と絵画的風景がみてとれます。さらに和歌の柔らかな言葉が心を穏やかにさせてくれるのです。主人公を在原業平に仮託してつくりあげた華麗な物語の世界を味わってください。