本 【奥の細道・平泉】芭蕉の視線の彼方には杜甫の漢詩・春望が見えた 『奥の細道』の中でも「平泉」はとりわけ表現のみごとな段落です。その理由は背景に杜甫の詩を連想させるからです。「春望」の世界をイメージしながら、この段を読むと、格別の感慨があります。松尾芭蕉は有名な俳句をここでつくりました。 本
本 【高瀬舟・森鴎外】弟殺しの罪人は微笑んで島流しの刑に【青空文庫】 森鴎外の小説『高瀬舟』は中学校時代に習う作品の1つです。そこでは安楽死の是非が語られます。死ぬことが確実にわかっているのにいつまでも苦しませておくことは許されるのかという大きな医学上の問題です。さらに道徳的なテーマでもあるのです。 本
本 【やめて幸せになる100のこと】好きなように生きたらいいじゃない 人生は複雑です。簡単にやめることのできないこともあるのだよ。とはいえ、いろいろ考えていると、やめたいなあ、と思う。誠に面妖なものなんです。それが生きるということだ。 本
本 【風の歌を聴け・村上春樹】真に孤独な作家は処女作に向かって進む 村上春樹の処女小説『風の歌を聴け』は不思議な魅力に満ちた作品です。登場人物たちの言葉にどのような意味があるのか。その1つ1つを解きほぐしていくことで、作家の内面にせまることができます。彼が何を感じ、考えているのかを探ってみましょう。 本
本 【ありがたきもの・枕草子】清少納言の観察力にはただ脱帽するのみ 清少納言の『枕草子』には鋭い観察力があふれています。とくにものづくしの段は秀逸です。今回は「ありがたきもの」を読みましょう。滅多にないものという意味です。人の悪口を言ったり、噂をしたり、仲違いをしたり。人間関係は厄介なものです。 本
本 【山椒魚・井伏鱒二】寓話にこめられた生存の苦悩【自意識と虚勢】 井伏鱒二の代表作『山椒魚』はどのようにも解釈できる寓話です。いわゆる人間の自意識を扱った作品とも読めます。また現在の引きこもりなどの現象を考える時の参考にもなります。いろいろな議論のたたき台になる作品です。一読をお勧めします。 本
本 【ブログ・900本】言葉の扱いに悩んだらコレ【記者ハンドブック】 このブログもいよいよ記事数が900になりつつあります。2年半、毎日ずっと3000字以上書いています。言葉の表現に悩む日々です。どうしてもわからないときは、『記者ハンドブック』をみます。最新の書き方が示してあるからです。 本
本 【奥の細道・立石寺】松尾芭蕉が感じた閑かさは蝉しぐれの中にあった 松尾芭蕉は尾花沢から戻り山形県の立石寺に立ち寄りました。『奥の細道』に所収されている俳句の中でも屈指の作品がここで生まれたのです。その経緯をみてみると、俳聖と呼ばれた芭蕉がどれほどに推敲を重ねて、この句が生まれたのかがよくわかります。 本
本 【日本辺境論・内田樹】この国は辺境に徹して延命の余地を探すのか 内田樹の『日本辺境論』は今から10年前に出版されました。新しい日本人論の1つに加えていいだけの質を持ち得ていると思います。日本及び日本人はどういう場所にいるのか。世界の流れの中でどの位置をしめているのか。考えてみてください。 本
本 【荘子・知足の探求】上り坂の儒家に対して老荘の思想を寓話にした書 『荘子』を読むと老荘の思想がどういう骨格でできているか、よくわかります。「道」と呼ばれるものごとの根源に向かって欲望をおさえ、生きていくことを示しています。寓話に託された真実を読み取り、現代の指針にできればと思いました。 本
本 【石林燕語】1枚の命令書に仕組まれた人心掌握法の術とは【恩と威】 『石林燕語』という本を知っていますか。中国の古い知恵には学ぶべきことがたくさんあります。昔の話ではありますが、現代に通じる真実が多くあります。宋の太祖は部下が戦さに臨む際、軍律違反者に対して1枚の紙にかいてある通りにせよと命じます。 本
本 【白鳥・三島由紀夫】乗馬クラブで若い男女が抱いた仄かな愛情の行方 三島由紀夫が16歳の時に発表した短編集に所収されています。タイトルは『白鳥』です。乗馬クラブでのある時間を切り取った小説です。若い男女が1頭の馬を心の中で共有します。そこに至る感情の襞をみごとに描写しています。味わってみましょう。 本
本 【虫めづる姫君・堤中納言物語】珍奇な人物の特異な人生観を味わう 「堤中納言物語』という古典の中に出てくる姫君はかなり特異な人生観の持ち主です。タイトルは「虫めづる姫君」と言います。とにかく虫が大好きなのです。珍しいのを集めては自分で名前までつけます。どうしてこんなことになったのか。その理由はさて。 本
本 【かぐや姫・竹取物語】帝の求愛を拒絶し人の心を失う羽衣を着て月へ 日本最古の物語、それが『竹取物語』です。作者は誰かわかっていません。わずか10センチ足らずで生まれ、3カ月後には成人してしまいます。貴公子や帝にも求愛されたものの、それを拒絶し、8月15日の夜、月の世界へ帰っていってしまったのでした。 本
本 【出版翻訳家】出版業界の実態を赤裸々に綴ると悲しい【今は警備員】 この本を読んでいると悲しくなりますね。ここまでズボラな世界だと思いたくはありません。契約という概念がないのでしょうか。なんでも口約束で済ませてしまう体質が残っています。たとえ契約をしても破棄されてしまうのです。 本
本 【故事成語・先ず隗より始めよ】大事をなすための戦略とは【戦国策】 故事成語を学びましょう。生きていく上での糧になります。「先ず隗より始めよ」という言葉をご存知ですか。高校時代に漢文の授業で習ったはずです。2つの意味があります。どちらも使いますので、覚えておいてください。とても有益な言葉です。 本