【雨月物語・夢応の鯉魚】作者上田秋成の幻想世界に惹かれて夢見心地

上田秋成の『雨月物語』は日本を代表する幻想文学です。江戸時代の作品とはとても思えない近代性を持っています。9つの短編はどれも水準が高く、幻想世界に私たちを引きこみます。その中でも三島由紀夫が高く評価した「夢応の鯉魚」を読んでみましょう。

【アマゾン・Kindle】青空文庫をDLして名作をタダで読もう!

著作権の切れた名作をデジタル化して公開しているサイトがあります。青空文庫がそれです。パソコンやスマホ、タブレットなどで読むことができます。専用のソフトもいろいろあり、自分の好みにあわせて選ぶことができるのです。今回はkindleをご紹介します。

【建礼門院右京大夫集】平家の菩提を弔う女院の姿にこの世の無常が

建礼門院徳子の生涯はあまりにも数奇です。壇ノ浦の合戦で一度は死ぬつもりでした。ところがそれもかなわなかったのです。その後出家して大原の寂光院に住みます。かつて彼女の女房だった人が庵を訪ねます。あまりの変わりように、世の無常を知るのです。

【吾妻鏡・女の意地】静御前の義経に対する愛が源頼朝を激怒させた

『吾妻鏡』に出てくる静御前の姿は壮絶そのものです。彼女は義経と別れ頼朝に捉えられます。鶴岡八幡宮で舞を所望されますが拒否するのです。再三の要求で舞はしたものの頼朝は激怒します。このシーンは女の意地といえるでしょう。最も劇的な場面です。

【浜松中納言物語】夢のお告げと生まれ変わりを信じた輪廻転生の物語

三島由紀夫が最後に書いた小説が『豊饒の海』です。この作品には輪廻転生の思想が色濃く反映されています。そのヒントを与えたのが中世の物語『浜松中納言物語』なのです。日本と中国を行き来する人間と夢の交感が最大のドラマです。是非味わってください。

【方丈記・無常】鴨長明は時代を鋭く貫くキーマン【末法的現在】

鴨長明の随筆『方丈記』は時代を貫く内容に満ちています。地震、台風、火事、飢饉などの歴史資料としても貴重な価値を持っています。無常観についてはよく言及されますが、彼は先を見ていたのではないのでしょうか。現代の末法的要素を知ることもできそうです。

【宇治拾遺物語・悪人往生】見も知らぬ人相見の捨て身の覚悟に感じて

宇治拾遺物語には面白い話がたくさんあります。悪人だった男が人相見の捨て身の覚悟に感じて、それ以後、立派な聖になったとう逸話があります。悪人正機ともとれる考え方に当時の人たちは、感動したことでしょう。是非一度は読んでもらいたい話です。

【枕草子】清少納言の鋭い人間観察力は神品そのもの【定子への敬慕】

『枕草子』を書いた清少納言は人間観察の達人でした。ものづくしの段を読んでいると、その鋭さに舌を巻きます。じっとものを見続ける目の確かさとでもいえばいいでしょう。定子への敬慕にも並々でないものを感じます。すぐれた作品を味わって目を養ってください。

【大鏡・人心掌握の達人・道長】中納言昇進をめぐる兄弟争いの果てに

歴史物語『大鏡』にはたくさんの魅力があります。とくに中納言昇進をめぐる兄弟争いの中に割って入った藤原道長の態度です。人心をうまく操り、自分の政権運営をみごとに成功させていきます。人事を餌にして自分の意のままにしていく姿には脅かされます。

【おらが春・小林一茶】晩年に生まれた娘のあどけなさに思わず笑みが

小林一茶の俳句文集『おらが春』は実に味わい深い本です。56歳で娘が生まれた時の記述は慈愛に満ちた父親の目そのものです。幼児の記述が実にあどけなくて可愛いのです。子供を持つ人ならば、誰でもが共感を寄せることでしょう。是非ご自身で読んでください。

【徒然草53段・仁和寺の法師】中世における滑稽話の最高傑作

徒然草53段に出てくる仁和寺の法師の話は実に滑稽です。酒の席で調子にのりついそばにあった鼎を頭からかぶってしまいます。それが抜けなくなって大変なことになったのです。最後は耳がちぎれてもいいから抜けということでした。笑い話ではすまされませんね。

【権力争いの象徴・無名草子】衰亡していく家の姿に世の無常を知る

『無名草子』にはさまざまな話が載っています。中でも中宮定子が亡くなった時の様子がしみじみと書かれています。一条天皇と相思相愛だった中に、道長の権力欲が滑り込んできます。新たな攻防が始まるのです。愛情だけでは生きてはいけない時代の哀しみです。

【源氏物語・若紫】紫上は女の哀しみを一生背負い続けた【宿命】

源氏物語の中で最もよく読まれる部分が「若紫」の巻です。幼い日の紫上と初めて出会い彼女の美しさに惹かれます。二条院に連れ帰って自分好みの女性に育てあげ、ついには妻にします。しかし正妻にはなれず、子供も授かりませんでした。苦悩の日々が続きます。

【『槐記』に潜む処世術】太閤秀吉の無知を見抜いた歌詠み幽斎の血

『槐記』という本に載っている歌詠みの機転の話です。太閤秀吉の無知を知っていて、わざと相手を舐め窮地を救った話なのです。登場人物は細川幽斎と里村紹巴です。それぞれの性格がみごとに描かれています。性格の違いに着目して読める教訓に満ちた作品てす。

【歌詠みの系譜】古本説話集9話に紫式部と伊勢大輔の魂の交感を見た

古本説話集第9話に紫式部と伊勢大輔との間に行われた魂の交感の様子が出てきます。歌を詠むということは歌人にとって命と引き換えにするだけの厳しい作業でした。その重責を短時間で見事にやってのけた話の中に、歌人の系譜が見えてきます。みごとな話です。

【徒然草礼賛】百四段の味わいは特筆もの【王朝文学の華やぎに酔う】

『徒然草』は兼好法師の書いた日本を代表する随筆です。中には滑稽な話などもありますが、百四段は特に王朝文学の味わいが残る段です。彼が実際に宮中で見た豪華絢爛とした世界を、自分の想像でまとめたものでしょう。『源氏物語』を髣髴とさせるところもあります。