本 【源氏物語玉の小櫛・本居宣長】もののあはれとは理不尽な人間の性 本居宣長は彼の代表作『源氏物語玉の小櫛』のなかで「もののあはれ」ということを何度も述べました。儒教や仏教の教えに従えば、光源氏のような主人公が登場してはならないのです。しかしそこに起こったという事実だけが人間を支えるもう1つの真実なのです。 本
本 【格差病社会】あらゆる現象を説明するには便利な表現だが本当なのか 格差という言葉が聞かれるようになって20年近くが過ぎています。その実態はどのようなものなのでしょうか。橘木俊詔の新書にはその頃の警告と事実が述べられてます。今でも参考文献になりうる本です。加藤諦三の本の中にある日本人の心理と比べてみましょう。 本
本 【田久保英夫】必死になって読みふけった日々の記憶【短編の名手】 小説家、田久保英夫を知っていますか。今ではほとんど読者がいないかもしれません。しかし彼の持っている言霊の世界は確実に存在します。愛と性の中に生きる人間の執念を描いたら、彼の右に出る人はいませんでした。短編の名手です。 本
本 【岡潔】問題を出さないで答えだけを出すのは不可能【数学者の言葉】 都立西高校の推薦入試問題を扱います。同校の推薦入試における小論文の比重は33%もあります。通常は25%ですから、かなり高い得点だということがわかります。それだけ重視しているということなのです。数学者、岡潔の言葉を味わってください。 本
本 【悟浄歎異・中島敦】沙悟浄の目から見た孫悟空・三蔵法師の真実とは 中島敦の名短編『悟浄歎異』を扱います。学校では全く授業をした記憶がありません。もっぱら『山月記』が中心でした。しかし彼の小説『名人伝』などと並んで、味わい深い内容を持っています。互いの真実をどう見抜いたのかという点がポイントです。 本
本 【朝日新聞政治部・鮫島浩】特ダネへの執念が最後まで炎に【全貌】 朝日新聞の政治部記者となった著者がその内部の様子を書いた本です。実名で多くの人が登場します。会社の社員として生きていく道だけでなく、社会の木鐸として不正を暴くという側面も持っています。そのため息苦しい人生を歩むことになってしまいました。 本
本 【僕ならこう考える】思想家・吉本隆明の老年論には絶妙な味がある 吉本隆明は偉大な思想家です。彼の著書に刺激を受け、学びを続けた人はたくさんいます。しかし詩人としての地歩も、思想家としての仕事と並行してかためました。初期詩編は今も大変高い評価を受けています。ここでは彼の老年論について考えます。 本
本 【平家物語・木曽の最期】義仲の叫びと悲しみが切ない【巴への愛】 『平家物語』の中でもよく読まれる木曽義仲の最期のシーンです。朝日将軍と呼ばれ、権力を一時期は握ったものの、長くは続きませんでした。やがて合戦が続き、ついにはその命を失う時がきたのです。戦さの様子を読んでみてください。 本
本 【山月記・中島敦】臆病な自尊心と尊大な羞恥心のゆえ虎になった男の話 中島敦の小説『山月記』は必ず高校で習う小説てす。人間ならば誰でもが持つプライドが邪魔をして、素直になれないということがあります。その故についに仕事をやめ、詩人になろうとしました。しかし挫折し、やがて虎に変身してしまうのです。 本
本 【赤い繭・安部公房】非在の証明にこれほど真剣な主人公は皆無だった 安倍公房の小説はどれも存在の本質に迫ろうとする難解なものです。しかし理解できないのかと言われると、そんなことはありません。どれも大変に面白いのです。それは戯曲も同じです。見た後、その世界で立ち止まらざるを得ないものばかりです。 本
本 【平家物語・祇園精舎】滅びの美をここまで感動的に描いた古典はない 平家物語はすばらしい歴史書です。一族が隆盛を誇り、やがて滅びいくという話は日本人の感性に合うのでしようね。特に滅んでいくものは美しいと感じる意識が無常観とあわさると、みごとなものになります。是非、声に出して読んでみてください。 本
本 【静縁のこけ歌・無名抄】過ぎたるは及ばざるが如しとは【鴨長明】 鴨長明の著書『無名抄』は中世の歌論書としてよく知られています。その中にある歌を作った高僧の話があります。自分ではいい歌だと思ったものの、批判され、どうにも納得できずに、他の歌人にみてもらいました。その結果どうなったのでしょうか。 本
本 【漢文・世説新語】人生の達観した生き方を一兵卒から学ぶ【身の丈】 『世説新語』という本をご存知ですか。高校の漢文の授業でも習います。今回はその中でもよく取り上げられるある兵士の話です。命を狙われている人を助けるために、お酒を飲み、酔っ払ったフリをして、わざとここにお尋ね者がいると叫んだのです。その結末は。 本
本 【先哲叢談・儒者伝】君子の心構えを説いた伊藤仁斎のスケールの大きさ 先哲叢談という儒者伝について勉強しましょう。あまり高校でも扱うことはありません。ここでは伊藤仁斎を批判する態度について書かれています。その時、批判された仁斎は大きな心のまま、動揺もせず反論もしませんでした。 本
本 【鶏鳴狗盗・孟嘗君】勝ちすぎれば必ず滅亡を早めると信じた政治家 鶏鳴狗盗という言葉を知っていますか。高校の漢文で必ず習います。内容はそれほど難しいものではありません。孟嘗君の話です。宮城谷昌光の小説にもあります。その話から展開し、政治家の生き方についても考えてみました。 本
本 【禁色・三島由紀夫】金屏風に描かれた絢爛たる異世界の絵巻【同性愛】 三島由紀夫の小説『禁色』は特異な作品です。同性愛者たちの生態を描きながら、同時にかつての女性たちに対する復讐を描いています。そのための道具が、若くて美貌の私大生です。彼の持つ魅力に翻弄されていく姿をよみといてください。 本