【算数文章題が解けない子どもたち】ことばの力が足りず学力不振に 

算数文章題を解く力はどこで養われるのでしょうか。それを解明しようとした研究グループがあります。先ごろ、本にまとめられて出版されました。読んでみた感想は、なるほどということばかりでしたね。皆さんにもご紹介します。

【兵法書・戦国策】軍師の術策は人の心を読むことに尽きる【勝利】

中国の兵法書にはさまざまなものがあります。戦国策もそのうちの1冊です。さまざまな戦いで繰り広げられた戦いの様子を裏側から描写しています。人間の心理をきちんと知らなければ、軍師にはなれなかったのです。

【玉勝間・本居宣長】師の説になづまざることの中で最も言いたかったのは

本居宣長は日本を代表する国学者です。彼の随想集に『玉勝間』があります。この本は長い間の研究生活の中で、感じたこと、考えたことを自由に綴ったものです。特に自分の師の学説になじめない時、どうすればいいのかについて、言及しています。

【林京子・空き缶】原爆の持つ怖しさを日常の中で深く静かに綴った小説

林京子の『空き缶』は大変重い小説です。しかし悲惨な様子を描くのではなく、日常の中にある原爆のもたらす悲劇を書き込んでいます。卒業した学校が取り壊しになるので、最後の見学に出かける話です。記憶の断片にあらわれる怖さを実感してください。

【漢文・日記故事】村の裕福な家の娘婿になった男の善行【死後は神に】

中国の古い本『日記故事』から有名な話を1つ紹介します。村の裕福な家の娘婿になった男の話です。かれはその財産をなんとかその家の直系の1人息子につがせるため、あらゆる努力をします。それが無事にうまくいった後、神になったのです。

【漢文・説苑】王に琴を投げつけた楽師の真意はどこにあったか【忖度】

漢時代の儒者が書いた本を読みます。『説苑』(ぜいえん)です。偉人や文人たちの話がたくさん載っています。大きく学んだ人間は行動もスケールが大きいです。それを理解する王の存在もここではクローズアップされています。

【鼠説・頼山陽】ものへの執着から抜けきれない人間を鼠に託した話

人間がものや人に寄せる執着心には醜いものもあります。しかしそうしなければ生きてはいけない事情もあるのです。頼山陽はそれを鼠に託して表現しました。もしかすると、自分自身の横顔をそこに見たのかもしれません。

【郁離子・寓話集】フグを食べて死んだ息子に対して親がとった態度は

中国の寓話集『郁離子』を読みます。180篇もある長大な本です。儒教の影響を強く受け、当時の中国の世相を詳しく書きこんでいます。フグを食べて死んだ息子に対して涙を見せなかった父親の気持ちはどのようなものだったのか。読んでみてください。

【源氏物語玉の小櫛・本居宣長】もののあはれとは理不尽な人間の性

本居宣長は彼の代表作『源氏物語玉の小櫛』のなかで「もののあはれ」ということを何度も述べました。儒教や仏教の教えに従えば、光源氏のような主人公が登場してはならないのです。しかしそこに起こったという事実だけが人間を支えるもう1つの真実なのです。

【格差病社会】あらゆる現象を説明するには便利な表現だが本当なのか

格差という言葉が聞かれるようになって20年近くが過ぎています。その実態はどのようなものなのでしょうか。橘木俊詔の新書にはその頃の警告と事実が述べられてます。今でも参考文献になりうる本です。加藤諦三の本の中にある日本人の心理と比べてみましょう。

【田久保英夫】必死になって読みふけった日々の記憶【短編の名手】

小説家、田久保英夫を知っていますか。今ではほとんど読者がいないかもしれません。しかし彼の持っている言霊の世界は確実に存在します。愛と性の中に生きる人間の執念を描いたら、彼の右に出る人はいませんでした。短編の名手です。

【岡潔】問題を出さないで答えだけを出すのは不可能【数学者の言葉】

都立西高校の推薦入試問題を扱います。同校の推薦入試における小論文の比重は33%もあります。通常は25%ですから、かなり高い得点だということがわかります。それだけ重視しているということなのです。数学者、岡潔の言葉を味わってください。

【悟浄歎異・中島敦】沙悟浄の目から見た孫悟空・三蔵法師の真実とは

中島敦の名短編『悟浄歎異』を扱います。学校では全く授業をした記憶がありません。もっぱら『山月記』が中心でした。しかし彼の小説『名人伝』などと並んで、味わい深い内容を持っています。互いの真実をどう見抜いたのかという点がポイントです。

【朝日新聞政治部・鮫島浩】特ダネへの執念が最後まで炎に【全貌】

朝日新聞の政治部記者となった著者がその内部の様子を書いた本です。実名で多くの人が登場します。会社の社員として生きていく道だけでなく、社会の木鐸として不正を暴くという側面も持っています。そのため息苦しい人生を歩むことになってしまいました。

【僕ならこう考える】思想家・吉本隆明の老年論には絶妙な味がある

吉本隆明は偉大な思想家です。彼の著書に刺激を受け、学びを続けた人はたくさんいます。しかし詩人としての地歩も、思想家としての仕事と並行してかためました。初期詩編は今も大変高い評価を受けています。ここでは彼の老年論について考えます。

【平家物語・木曽の最期】義仲の叫びと悲しみが切ない【巴への愛】

『平家物語』の中でもよく読まれる木曽義仲の最期のシーンです。朝日将軍と呼ばれ、権力を一時期は握ったものの、長くは続きませんでした。やがて合戦が続き、ついにはその命を失う時がきたのです。戦さの様子を読んでみてください。