本 【文学のヒミツ】小説の冒頭と結末について作家は心底苦しむという話 作家は自分の作品の冒頭の書き出しと結末の表現に人一倍苦しむものなのです。みごとに言葉が決まれば、そこから想像力が広がるのです。不思議なメカニズムがあるのを知っているのは、字際に創作をする人だけなのです。創造のもつ理解不能な世界です。 本
本 【老子・タオの思想】なぜいまこの思想家にこれほど心が惹かれるのか 老子の思想はまさに現代人の心にピッタリと寄り添ってきます。みんな頑張りすぎて苦しいのです。どこかで安らぎを求めています。しかしそれがなかなか現実のものにはなりません。そんな時、心の隙間にすっと入ってくる新しい時代の思想なのです。 本
本 【韓非子】才ある者が世に出たあと地位をキープするのが難しいワケは 韓非子の中の短文をご紹介します。説話から教訓をひいたものです。才能ある人間が世に出ることはそれほど難しくはありません。しかしその地位を持続して権力を持つことは大変に困難なのです。どうすれば可能なのか。その謎にせまります。 本
本 【テルミヌスの変身】誰もが境界の終点になってしまった現代の悲劇 高校1年で学ぶ【テルミヌスの変身」という評論を読んでみましょう。テルミヌスとは境界を示す言葉です。ローマ時代の境界という言葉がなぜなくなってしまったのか。そこには通信技術の画期的な発達がありました。人々がそれぞれ終点に変貌したのです。 本
本 【無名草子・清少納言】中宮定子に身も心も捧げた才ある女性の末路は 無名草子には清少納言のことを書いた部分があります。鎌倉時代の考え方からすると、あまりにも才能を持った女性の一生は幸せにはならないと考えられていたようです。父親から漢文を習ったことで、他の女房達との関係はそれほどうまくはいっていませんでした。 本
本 【おくの細道・象潟】松島に似た風光の地に芭蕉は寂しさと悲しみを見た 『おくの細道』の旅は5カ月間続きました。その中に秋田の象潟の章があります。今と違って海の上に島がぽっかりと浮かんでいました。松島と似たような風景だったのです。その様子を芭蕉はなんと表現したのか。味わってみてください。 本
本 【紫式部・無名草子】いつかは読みたい源氏物語が誕生するまでの秘話 『無名草子』は鎌倉時代の評論です。その中に『源氏物語』を書いた紫式部の記事があります。どのような経緯でこの本が生まれたのかということが示されています。今の時代とは違う、書くことに対する態度もそこには見えて楽しいのです。 本
本 【握手・井上ひさし】ルロイ修道士の優しさがどこまでも身に沁みる 短編『握手』は読んだ後、こころが温かくなる名品です。井上ひさしが修道士との出会いを通じて、人間に対する信頼を手にしていった軌跡が描かれています。そこに登場する指言葉はさまざまな意味をもち、この小説の味わいを深めています。 本
本 【人新世の資本論】SDGsが大衆のアヘンならプランBは地球脱出か 一昨年に出版された新書『人新世の資本論』は今も売れ続けています。なぜこの本が注目を浴びたのでしょうか。地球の温暖化を抑制するために、国連はSDGsを提唱しました。しかし目標の達成は容易なものではないのです。その問題点とは。 本
本 【恋の歌を読む・俵万智】与謝野晶子の白桜集にあふれる鉄幹への慕情 与謝野晶子の歌を読むと、人生の意味をいろいろと考えてしまいます。恋の歌を調べながら、俵万智の筆はどうしても晶子の心の中を知りたくなります。そこには夫、鉄幹への慕情が強くありました。遺歌集『白桜集』です。 本
本 【城の崎にて・志賀直哉】死生観に裏打ちされた名作【人は寂しき】 志賀直哉の『城の崎にて』は彼の死生観が色濃くでた小説です。生き物の死を通して、生きることと死ぬことの意味が色濃く伝えられます。事故で療治をむしている自分の姿と死んでいく小動物の対比が見事です。 本
本 【真夏の死・三島由紀夫】子供を失った母親が見た海の風景【死生観】 三島由紀夫の短編『真夏の死』を読みます。ここには彼の死生観がよく出ています。海の事故で子供を失った母親がどのようにその悲しみの記憶を拭い去っていったのかという軌跡を追いかけて行った作品です。一読をお勧めします。 本
本 【真田太平記・池波正太郎】9年間をかけて書いた時代小説の最高傑作 時代小説にはおもしろい本がたくさんあります。池波正太郎の『真田太平記』もその中の1冊です。ぜひご一読ください。江戸の風が身に沁みますよ。 本
本 【チーズはどこへ消えた?】ビジネスマンの心に潜む変化への迷いは 『チーズはどこへ消えた』という本を知っていますか。現代のビジネスマンの中にある不安を言葉にした時、それがチーズだったのです。それまでは食べられたチーズがいつの間にか、なくなってしまいます。どうしたらいいのか。そのテーマが主題です。 本
本 【恩師・一期一会】人との出会いがこの世界を支える【僥倖の時間】 高校時代に国語を教えてもらった先生のことが忘れられません。野口武彦先生です。先生はその後、神戸大学の教授になりました。学生運動の活動家でもありました。小説を次々と発表し、その後文学評論を書き始めました。恩師と呼べる人です。 本