【蠅・横光利一】川端康成と並ぶ新感覚派の特異な小説を味わう

新感覚派の旗手、横光利一の『蠅』という小説を読みましょう。出てくる風景は少し前の日本にあったごく普通のものです。そこに生きる人々の暮らしもありふれたものです。しかしそれが次の瞬間にはまったく別の表情を見せるのです。まさに不条理です。

【安藤忠雄・連戦連敗】ホントに好きじゃなければ無理【独学の強さ】

建築家安藤忠雄の生きざまはすごいものがあります。全て独学で学びました。世界を旅して自分の感覚にあう建築とは何かを探し続けたのです。彼の本を読むと、本当に好きでなければ大成しないということがよくわかります。

【危機突破】リーダーは命令せず走りながら1人で考える【人事命】

週刊文春の編集部がどのようにしてスクープをものにしているのか。大変興味がありますね。それをオンラインと組み合わせて収益化する仕組みを作ったというのが、目新しいところです。デジタルの時代に紙媒体が生き残るのは至難です。ヒントを得て下さい。

【無常迅速・都のつと】遍歴の歌人が残した紀行文には真心が溢れる

遍歴の歌人、宗久が記した紀行文集が『都のつと』です。学校ではほとんど扱うことがありません。挿話の中で無常迅速について語ったところはしみじみとして味わい深いです。原文と現代語訳を載せました。どうぞご一読ください。

【児のそら寝・宇治拾遺物語】幼い僧の天真爛漫なあどけなさが絶品

『宇治拾遺物語』の中でも有名な「児のそら寝」には子供のあどけない様子が滲み出ています。高校に入って最初に習うのがこの話なのです。幼さの持つ天衣無縫な魅力が、たくさん漂っています。後に続く「絵仏師良秀」との差を味わってください。

【コミュニケーション力と沈黙】発信力の確かさが人間的な魅力の核

齋藤孝の新書『コミュニケーション力』は興味深い本です。人間はつねに発信力を求められているのです。特に今日のようなグローバル社会においては自分をどう表現するのかということは大きな意味を持ちます。同時に沈黙が大切なことは言うまでもありません。

【すさまじきもの・枕草子】をかしの世界を貫く超感覚派【清少納言】

清少納言が書いた『枕草子』は何度読んでも面白い本です。彼女のセンスが抜群なんですね。特にものづくしの章段は実に味わい深いです。今回は「すさまじきもの」を読みましょう。意味がわかりますか。興覚めのするものという意味です。

【うつくしきもの・枕草子】小さなものに対する愛情は日本民族の魂か

枕草子の中で清少納言は小さなものへの愛情をたくさん語っています。特に子供の仕草などには愛着が深かったようです。なぜ小さなものをこれほど愛したのか。そこには日本人に共通する感性が宿っているのかもしれません。縮み志向について考えてみました。

【言葉のチカラ】和歌は鬼神を揺るがし人の心を和らげ慰める魔法の杖

和歌を詠んでいると、あらためて言葉の力について考えさせられます。定型の持つ迫力は時代を越えて、人々の心をとらえてきました。古今和歌集の仮名序を書いた紀貫之は鬼神の心を鎮めるものは歌だと書いてます。じっくり味わい、良さを体感してください。

【執着を断つ・不浄観】説話集『閑居友』に見る壮絶な修行とは

中世の仏教説話集にはものすごく壮絶な話が載っています。学校ではほとんど習いません。死者をじっと見るだけの不浄観と呼ばれるものです。この修行については谷崎潤一郎に『少将滋幹の母』という小説があります。読んでみて下さい。衝撃的です。

【枕草子・参内】初々しい清少納言の実像に出会える唯一の章段はコレ

『枕草子』は日本を代表する随筆です。その中でも日記の章段は清少納言の最も細やかな感性が色濃く滲んだところです。はじめて中宮定子のいるサロンに出仕した時の様子は思わず微笑みたくなるほどです。彼女の柔らかな感性に触れてみてください。

【タイの僧院にて】文化人類学者が素手で知った托鉢とアジアの純真

文化人類学を研究していた著者は自ら、タイの僧院に入ることを決意します。内側に入らなければ何も見えないと信じたからです。最も厳しいと言われる総本山で托鉢修行の日々を送りました。やがて栄養失調になり還俗。その時の様子を描いた本です。

【四国遍路・辰野和男】弘法大師と同行二人【いつの日か自分も】

辰野和男の著書『四国巡礼』は20年も前の本です。しかし少しも色褪せていません。むしろ今の時代の方が輝いているようです。そこには人間が原点に戻ろうとする勢いがあるのです。人々の心にあたたかい優しさが生まれます。その不思議を読み解いてください。

【トロイアの遺跡・古代への情熱】シュリーマンに祝杯を捧げたくなる

シュリーマンの著書『古代への情熱』は手に汗握る冒険譚です。楽しいですよ。自己顕示欲が少し強い側面もありますが、それを差し引いても面白いのです。どうしてここまでのことができたのだろうと驚いてしまいます。人間には夢が大切ですね。

【よき友・徒然草】お金では買えない一生の宝【ものくるる友が神】

よい友とはどういう人のことを言うのでしょうか。『徒然草』の中で兼好法師は3つのタイプをあげました。その1番がものをくれる人です。誰でも同じですね。何かをもらうというのは嬉しいものです。しかしそれだけではありません。友達は一生の宝です。

【尾崎放哉・海も暮れきる】俳人は孤独と戦った【咳をしても一人】

作家、吉村昭の『海も暮れきる』は自由律俳句の俳人、尾崎放哉の物語です。小豆島を訪れ、そこで死ぬまでの話です。荒れ果てた寺に住み着いた男がみた風景は、毎日穏やかな瀬戸内海の自然でした。そこで亡くなるまでの8カ月を過ごしたのです。