【不登校への処方箋】苦しさを察してくれる人を探すことの大切さ

学び

不登校

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は中学生の時期にピークを迎えるという不登校について考えてみます。

数字を見ると、愕然としますね。

特にここ2年ほどはコロナの影響による不登校も増えていると聞きます。

もちろん、数字がすべてをあらわすワケではありません。

理由は人それぞれです。

数が判明したからといって、問題が解決するものでもありません。

しかし統計資料を冷静な目で見ることも大切です。

全国にはどのくらいの不登校生徒数がいるのでしょうか。

都道府県ごとにかなり違いがあるのでしょうか。

2021年度の不登校生徒数は次の通りです。

最も数字の多い中学生だけをみてみます。

都道府県別の不登校中学生徒数は 1位 東京都12,628人 2位 9,817人 3位 9,533人です。

ちなみに全国の合計は132,777人です。

文科省は年間30日間欠席すると不登校という判断をしています。

もちろん、長期の疾病、ケガなどは除きます。

全国には昨年度3,229,698人の中学生がいました。

単純に計算すると4.1%が不登校ということになります。

東京ではその数値が4.2%になります。

304,405人の総数に対して、12,628人の不登校生徒がいるのです。

1学年に100人の生徒が在籍していると、約4~5人。

1クラスあたり、平均して1~2人は学校に来ないということになります。

実感との差

ぼくが今まで経験してきた感じからいえば、もっと多いですね。

近年のコロナ禍の影響がかかなりあると思います。

特に4月当初のクラス替えで、生徒は人間関係をつくるのに苦労します。

その時に学校が休みだったせいか、生徒はどうしていいかわからなくなったようです。

これは大学生の場合にもよく聞きます。

リモートの授業で全く学校に行かなくなり、友人関係がつくれないという悩みです。

ましてや、それよりはるか年齢が下の中学生、高校生にとっては死活問題です。

基本的に必修授業が多く、人間関係が非常に濃密です。

それなのに、顔をみたことがないとか、話をしたことがないなどということがあると、どうしていいかわからなくなってしまうのです。

そういう意味で「友人関係」を築くのに躓いたというパターンが最も多いのです。

それ以外では、就寝時間がどうしても遅くなってしまったとか、学業に対する不安などもあげられます。

もう1つ大切なのが、担任や、授業担当者との関係ですね。

ここで躓くケースもあります。

問題の根が1つだけというワケではありません。

最近ではイジメを指摘する声も少なくないのです。

ちょっとしたからかいが相手を傷つけ、それが原因で不登校になるケースもあります。

あるいは初対面で、マウンティングが行われるケースもあります

やはり最初の出会いは大きな意味を持ちます。

それがうまくいかないと、緊張状態がほどけることもありません。

神経の過敏な生徒の場合はいくつもの原因が重なり、自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。

親との関係がうまくいかないケースも多いです。

なかなかこれが原因だと断定できないのが、不登校の難しさなのです。

トラウマ

人間はちょっとした言葉や仕草にも深く心を動かす生き物てす。

それだけ複雑なのでしょうね。

何が原因だということがわかれば、それを取り除いていけばいい。

しかしそれが簡単にできないのが、こころの内側の問題です。

いくつもの原因が複雑にからみあい、容易に解けません。

誰もが普通でいたいのです。

あたりまえのように学校に通い、友人と楽しく語らう。

その姿が当然何度もイメージされるに違いありません。

しかしそれができない。

本人はさぞや苦しいことでしょう。

その気持ちを誰かに語りたい。

内側にためておくのは苦しいです。

話をきいてくれる人がいれば、誰かにすがりたいというのが本音でしょうね。

最も身近にいるのはだれですか。

やはり家族です。

兄弟姉妹でもかまいません。

しかしそこまで、相手の心理状態に斟酌することができるのか。

それが大きな問題ですね。

となると、やはり親ということになります。

ある意味では親が試されるということにもなります。

子供は親の背中を見ています。

もっといえば価値観です。

何を自分の子供に望んでいるのか。

親にしてみれば1番、つらいところです。

通信制という選択

中学校は学校に通わなくても卒業はできます。

義務教育です。

卒業証書も手渡されることになります。

問題はその先ですね。

事実上、高校全入の時代です。

不登校からの高校進学を支えているのは、通信制や定時制高校だといっていいでしょう。

東京都の場合、都立にはチャレンジ校という枠があります。

内申書がいっさいいらないのです。

試験は面接と作文、入学志願書だけで決まります。

もう1つが最近、話題になっている通信制高校です。

N高校には15,000人の在籍者がいるそうです。

年に数回、通学する以外は全てネットで授業を受ければいいのです。

しかし最初にイメージするほど、簡単ではありません。

よほど自立した生活をしていない限り、つい安易な方向へ流れてしまいます。

いつの間にか生活のリズムが壊れ、中退ということにもなりかねません。

入学時に学力試験、面談、作文などを行なう場合もないワケではありません。

しかし落とすための試験ではないので、入学そのものは容易です。

むしろ大変なのは卒業です。

卒業後の進路状況は実際どうなのか。

ポイントは「サポート校」の選択にあるような気がします。

自宅学習だけでは無理という生徒のために、精神的な支援にまで踏み込んだサポート校に通えれば、かなり卒業までの道が見えてきます。

しかし費用はバカになりません。

いずれにしても誰かにつねに何かを話すことが大切です。

この繰り返しがこころを少しずつ軽くしてくれます。

「不登校新聞」などというWebもあります。

学校との関わり方は実に多様なものです。

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基本は不登校の生徒が1人でも幸せになることです。

そのための道のりはつねに用意されているという事実を知っておくことでしょう。

今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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