【ワークライフバランス】長時間労働は過去の遺物【ワンオペ爆死】

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みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は日本人の働き方について考えます。

最初に質問です。

日本人の労働時間は1年間に何時間ぐらいだと思いますか。

以前からワーカーホーリックなどと呼ばれ、日本人は家にいる時間より会社にいる時間の方が長いとよく言われてきました。

働きすぎと言われている日本人ですが、その労働時間は年々減少傾向にあるのです。

ここ数年は1年間のトータルが1500~1600時間です。

世界各国と比較したデータでもイタリアやアメリカより短い統計データが出ているのです。

少しは改善されてきたのでしょうか。

さすがにモーレツサラリーマンの時代は終わったのかと安心してはいけません。

ちょっと待ってください。

これは見かけの数字なのです。

確かに全ての労働者の時間は減りました。

ただし正社員に関していえば以前の2000時間のままなのです

1500時間は数字のトリックです。

労働時間の減少はパートタイム労働者比率の増加によるものがメインです。

パートの従業員は当然のことながらフルタイムで働く人ばかりではありません。

最近では全労働者の30%に達しています。

非正規労働者と言われる人たちです。

正社員だけで見るとここ数10年間、2000時間以上の労働時間をキープしています。

G7各国の中でもトップクラスの長時間労働が続いているのです。

日本全体でみれば、少子高齢化を背景に労働人口が減少しています。

効率化をあげるためにデジタル化が進めばすすむほど、労働の集約率が高くなります。

ストレスの多い、集中を必要とする仕事を長い間すればどうなるのか。

当然、家事、育児に参加できないケースが増えます。

その結果、しわ寄せは間違いなく女性に降りかかってくるのです。

年功序列社会

会社勤めをしてみればよくわかることがあります。

その1つに早く退社しにくいという日本企業の体質があります。

年功序列システムが生んだ悪弊のトップです。

上司が目の前で仕事をしているのに、自分だけ先に退社するというのは勇気を必要とするのです。

これは実際に働いてみなければわかりません。

「私、定時で帰ります」などというドラマが存在するのにはちゃんとした理由があります。

長時間労働を是認する日本の企業体質はそれほど簡単にかわるものではありません。

コロナ禍の中、多くの会社がPCによるリモートワークや、勤務時間を選べるフレックスタイム制などを導入しました。

さらに休暇システムや子育て支援にも取り組んでいます。

都心から引っ越して、緑が多い郊外の環境で仕事に取り組むという姿も見られるようになりました。

しかし子供が家にいる場合、落ち着いて仕事に取り組むことができない。

会議中にもいろいろ神経を使って煩わされることも多いと聞きます。

それでも会社側はさまざまな労働環境を準備しなければなりません。

理由が幾つもあるからです。

その第1が優秀な人材の確保です。

特に若くて質の高い社員をどれだけ集められるのかというのが、会社にとっては死活問題です。

かつてのように年功序列で高齢の社員に高い給料を支払っていればいいという時代ではありません。

45歳定年制も囁かれています。

グローバル企業になればなるほど、主戦場は世界のマーケットになります。

豊かな家庭生活が営めなければ、仕事にそのエネルギーが向かうこともありません。

就活に挑む学生たちは、会社の持つ社会的な責任の他、どこまで人材の活用を本気でしようとしているかについて注目しています。

子育て支援に協力するなどといっても、その実態が何もなければ、就職希望者は少なくなってしまうのです。

年に2000時間働くということは週5日間として1日に10時間近く会社にいることを意味します。

つまり毎日2時間の残業です。

家に帰って家族とふれあい、自分の勉強をしようというだけのゆとりが持てるとはとても思えません。

家は寝に帰るだけの場所になります。

それが日本の現実なのです。

世界の流れからは取り残されるしかありません。

女性の活躍する社会

ワークライブバランスの重要性が持つもう1つの要素は女性の活躍する社会の構図です。

高学歴社会の日本で、女性も4年生大学へ進学するようになりました。

当然、それに応じて就職し、働く人の数も増えたのです。

もはや結婚相手を探すだけの腰掛け就職ではありません。

しかし子育て、介護などの時間をどう捻りだすのかというのが大きな問題になっています。

子育て、介護と仕事の両立が言葉でいうほど、簡単でないのは誰もが知っているからです。

日本の企業風土はまだまだ男性中心です。

俗にガラスの天井などといわれますが、昇進、昇給等の側面からみてもジェンダーギャップは大きなものがあります。

かつては女性がトップに昇り詰めるためには、結婚や子育てを諦めるしかありませんでした。

さすがに今はそこまでのことはありません。

しかし現実に保育園が足りず、待機児童が存在する地域もあります。

セクハラなどの問題などで、男性社員との間に軋轢が生まれることもあるのです。

業務を見直し、女性が自分のアイデンティティを最大限に発揮できる職場環境を作らなければいけません。

そのためにはいくつもの施策があります。

出社、退社時間をより自由にすること
休暇をとりやすくするための工夫
仕事の内容の精査
企業風土の根本的な改革
給料体系の見直し

考えるべきことはたくさんあるのです。

それらを1つ1つ当事者の意見を聞きながら実行していくことがますます必要になるでしょう。

営業職などにおける接待の在り方などもコロナで激変しました。

これも企業文化がかわるチャンスになりつつあります。

企業文化とモチベーション

ワークライフバランスの推進で最も厄介なのは企業風土の在り方です。

制度がいくらあっても魂が入っていなければ意味はありません。

日本人は「残業」「労働時間」「休暇」に関して他人の目を気にする傾向があります。

有給休暇があっても全て消化することなど夢だという職場もたくさんあります。

社員が制度の活用をためらうケースが多いのです。

会社の文化を支えているのは社員はもちろんです。

しかし大きな影響力を持っているのは管理職です。

制度を使いやすくするためには何が必要なのかを考えなくてはなりません。

笛吹けど踊らずでは絵に描いた餅なのです。

行政も大きく舵をきり、中小企業においても実践されるように支援しています。

しかし現実にそこまでやってしまうと、会社が機能しないということもあるのです。

労働関係の法令を守りながら、より働きやすくしていくことがますます大切になるでしょう。

うまく回っていけば、従業員の心も穏やかになります。

パートタイム労働者を切れば、その分の仕事は必ず正社員に回ってきます。

人件費の抑制は喫緊のテーマです。

しかし正社員の労働を強化してはなんにもなりません。

ここが1番難しいところです。

社員のモチベーションをどう高めるのか。

よりよい人材に定着してもらうために、職場環境の充実は大きなポイントです。

社外へのアピールが増せば、優秀な人材の採用にもつながります。

小論文のテーマしては仕事と家庭の両立のために、今、会社組織や行政がやるべきことは何かという論点でまとめておいてください。

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飲み会がなければ仕事ができないという労働慣習にもメスを入れて欲しいのです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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