【小論文・助詞命】てにをはって何に由来する言葉か知ってますか?

学び

助詞が命

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は助詞の話をします。

文法は苦手という人も多いでしょうね。

誰だってあんまり好きじゃありません。

しばらく今回のテーマにお付き合いください。

答案の採点をしていると、なんかヘンだなと感じることがよくあります。

内容は平均よりもまとまっているのに、文章がなんとなく落ち着かないのです。

この感覚、わかりますか。

安定感がないといったらいいのかも知れません。

こういう答案はだいたい助詞の使い方が間違っているケースが多いですね。

微妙な言い回しが正確ではありません。

だから読んでいるとくたびれる。

読後感が悪いのです。

何がおかしいのか調べてみると、「てにをは」の使い方が正確ではありません。

小学校の頃から言われてきませんでしたか。

この文章のここをなおせばもって読みやすくなるのにという台詞です。

たった1文字で文章の意味やリズムが壊れてしまいます。

助詞は日本語の最も厄介で難しい要素なのです。

ちなみに英語ならば「I」といえば「私は」「私が」の意味を自動的に含みます。

「は」と「が」の違いを気にすることは全くありません。

しかし日本語は全く別です。

「私が田中です」と「私は田中です」は明らかに用途が違うのです。

これは皮膚感覚に近いものです。

たくさんインプットをしている人には当たり前のことです。

しかし付け焼刃の勉強をしてきた受験生にとって、正確な日本語を書くことくらい、苦しいことはないのです。

「てにをは」がおかしい文

文法的におかしい文章を読むのは結構つらいものです。

これは体験してみると、よくわかります。

内容の論理性を読み込んでいる時に、突然しっくりこない表現が出てくると、少し悲しくなります。

国語力がないということがそこで露呈してしまいます。

書き言葉には特にその要素が強いのです。

ごまかしがききません。

なかなか一朝一夕で修正できるものではないのです。

どうすればいいのか。

とにかくインプットを増やすことです。

本をたくさん読んでいる人には絶対に勝てません。

頭の中に正しい文章が入っていますから、すぐに修正がきくのです。

ちなみに、なぜ「てにをは」というのでしょうか。

よく話題になるのは主格の助詞「は」と「が」ですよね。

「てにをは」の中に「が」は入っていません。

いったいどういうワケなのか。

しかしこの格助詞は非常によく使います。

この「てにをは」って何のことかと考えてみたことはありますか。

案外知らない人が多いのです。

助詞のこと全般をあらわすことは多くの人が知っています。

実は漢文の読み方から来ているのです。

御存知でしたか。

てにをはの由来

「てにをは」とは、もともとは漢文を読む際に漢字の四隅にふられた「ヲコト点」に由来しているのです。

何それの世界ですよね。

聞いこともない表現です。

昔は漢文を訓読する時、いちいちカタカナで送り仮名を書かなかったのです。

大変な手間ですからね。

どうやったのか。

漢字の四隅、上下、中間などの決まった位置に点や線を付けました。

それが送り仮名のかわりになったのです。

平安初期に始まり、寺や儒家でよく使われました。

その中でも四書五経などの儒教の本を読む時によく使ったのが儒家点と呼ばれるものです。

やり方は簡単です。

文字のどこに点を打つかで、送り仮名が自動的に決まりました。

漢字のど真ん中に点を打つと「の」と読みます。

右斜め下なら「は」です。

左斜め上ならば「に」です。

慣れると大変に便利だったようです。

mohamed_hassan / Pixabay

ちょっと見てもらえばわかるように。右の肩から2つの文字を読むと「を」「こと」に当たります。

そこからついた名前がヲコト点となりました。

漢字では「乎古止点」と書きます。

左の下から4隅の角の文字だけを読むと「てにをは」となりますね。

現在使っている「てにをは」の由来はここから来ているのです。

今では助詞の使い方がおかしかったり、話のつじつまが合わない時の喩えとして「てにをはが合わない」という言い方をします。

日本語の難しさ

職員室に生徒がやってきてたまに使う台詞に「先生でいいです」というのがあります。

他に誰もいない時によく使われますね。

何気なしに口から出てくるようです。

「先生でいいです」という表現は要するに、誰でもこの用事は足りると言っているのと同じです。

生徒に悪気はないのでしょう。

非常に投げやりな敬意を含まない表現です。

これが日本語の難しさなのです。

「で」というたった1文字ですけど、そこにはさまざまなニュアンスが込められていますね。

接続助詞で間違えやすいのに「から」「ので」があります。

先生に教えてもらったから知っています
先生に教えてもらったので知っています

「から」には教えたことを非難されているようなニュアンスがあります。

正しいのは当然「ので」です。

しかしどちらも文法的に間違ってはいません。

伝えたい内容の意味を的確に伝えるというのは大変に難しいのです。

主語の後に「が」を使うか、「は」を使うかで、文章の印象がガラリと変わるのはご承知の通りです。

「が」は主語を強調し強い印象を与える
「は」は主語を強調せず客観的な印象を与える

「私が田中です」といえば、先ほど紹介された他でもないこの私が田中ですという意味です。

それに比べると「私は田中です」はごく一般的な自己紹介に過ぎません。

もちろんどちらも誤りではないのです。

しかし意味合いは全く違います。

だからこそ、日本語は厄介です。

1文字変わるだけでも文章のニュアンスが大きく変わります。

1番いい方法は書いたら声に出して読んでみることです。

少しでもひっかかったら、助詞をチェックしてください。

それだけで、隋分違います。

インプットとアウトプットの繰り返しが大切なポイントです。

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勉強をしっかり続けて下さい。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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