寄席で落語を聞くなら池袋演芸場が一番という5つの理由

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池袋の寄席

みなさん、こんにちは。

アマチュア落語家、すい喬です。

今回はちょっとした寄席の穴場をご紹介します。

というか、知ってる人は知っています。

あたりまえですけどね。

通の方の出向く寄席です。

つまり本当に落語の好きな人しか来ないところ。

その前に少しだけ寄席の歴史をひもとくと…。

もともと寄席は神社や寺院の境内の一部を借りて行われたものです。

人を寄せるところから寄せ場とも呼ばれました。

それが原型となって、初めて本格的な寄席が開かれたのは、寛政10年(1798年)に江戸下谷にある下谷神社の境内だといわれています。

初代・三笑亭可楽によって開かれ、今でも寄席発祥の石碑があります。

ちなみに三笑亭可楽という名前は「山椒は小粒でぴりりと辛い」からとったものだとか。

おしゃれですね。

ぼくが入れていただいてる会の顧問、三笑亭可龍、可風師匠ご両人は九代目三笑亭可楽師匠のお弟子さんなんです。

これもなにかのご縁でしょうか。

さて池袋演芸場の話です。

池袋北口から1分。

すぐにわかります。

ビルの一階に大きな看板があります。

それ以外はごく普通かな。

狭いですよ。

地下に潜っていくのです。

席もわずかに92席。

椅子もこじんまりしてます。

ちょっと荷物を置ける台が目の前にありますけど、これを出すとちょっと狭苦しいです。

とにかくコンパクト。

これが池袋演芸場です。

一番前に座らなくても、噺家が目の前にいます。

汗が見えます。

それくらい近い。

マイクなんていらないです。

でもちゃんとありますけど。

生の声で落語を聞くというのは、最高の贅沢です。

大きなホールは、本来落語のためのものではありません。

息遣いまで聞こえて、本当に落語の醍醐味がわかります。

こんな定席の寄席は、他にはありません。

池袋演芸場は、もともとは「池袋ピース座」という名の映画館の3階にありました。

実はこの頃、よくここの建物の前を通ったのです。

どうしてあの時に入らなかったのかな。

実に悔やまれますね。

大きな看板が寂しくかかっていたのをよく覚えています。

今でもよく落語家さんがマクラでここの演芸場の不人気ぶりを話します。

とにかくツバナレ(お客さんが10人以上になること)したことがないそうな。

なぜツバナレというかというと、1つから数えて9つまでは「ツ」の字がつきます。

観客 photo

10になってはじめて「ツ」の音が消えます。

そこで10人以上お客さんが入った状態を「ツバナレ」というのです。

1人でもお客がくると、すぐに前座は下ろされたそうです。

数人しかお客さんがいないのはしょっちゅうだったとか。

かつての寄席はそんな日常だったのです。

今の賑やかな寄席が嘘のようです。

大半のお客さんは畳敷きだったために、寝て聞いていたとか。

下手な噺家はお客さんの足の裏だけを眺めていたという噂です。

ちょっと大袈裟かもしれませんけど…。

1951年に開場したものの、お客さんが全く入らなかったことで1970年に席亭が閉鎖を検討しました。

しかし当時の落語協会会長、六代目三遊亭圓生がなんとかそこをと嘆願し、存続が決まったとか。

それ以降は落語協会専門の寄席になりました。

現在では春風亭昇太師匠が会長の落語芸術協会と交互にやっています。

とにかく入り口が裏通りにあったので、どこから入ったらいいのか迷ったお客さんも多かったそうです。

それでも寄席を愛した立川談志はここへくると、じっくり長い噺をしました。

どうしても池袋は最後に回すという噺家が多かったのです。

生来の反骨精神で談志はここを一番にしたかったんでしょうね。

その後、1990年には改築のため一時閉鎖されます。

地下の演芸場

1993年には再び開場。

改築により入り口の場所が路地裏から駅前になりました。

地下の寄席というのははじめてです。

ビル階段 photo

Photo by KentaHayashi

もちろん畳もはずし椅子席に生まれ変わりました。

何度もいいますが、とにかく全てがコンパクトです。

これはテレビでみただけですが、楽屋もめちゃくちゃに狭い。

うなぎの寝床という表現がぴったりで、3畳分あるかないか。

噺家さんも大変です。

しかし序列が優先の世界ですから、一番奥が最古参の人の座る場所と決まっています。

香盤通りなのです。

ちなみに香盤とは噺家の序列表のことをさします。

人気は関係ありません。

あくまでも入門した順です。

そんな調子ですから、客席もちょっと混み合うと補助のパイプ椅子を出したり、あとは立ち見ということになります。

かつてどうしても小三治の落語が聞きたくて、並びました。

夏の恒例になっていたのです。

何年前でしょう。

とにかく暑かったですね、あの日は…。

前から4番目くらいに座ったのはいいものの、身動きがとれません。

するとどこからかテレビカメラが…。

地元のケーブルテレビが何か撮るのかなと思ってました。

あの時の師匠の出し物は「天災」でした。

テレビカメラ photo

あれ以来、ぼくも稽古して自分のレパートリーにさせてもらってますけどね。

ところが後にこの日の様子がNHK特集で放送され、なんとそこにぼくも映っておりました。

何人もの方から、あんなところで何をしてるのと随分訊かれたもんです。

あの時はまったく参りました。

ただ落語を聞きにいっただけなんです。

それくらい客席と高座が近いのです。

噺をたっぷり聞ける

それともう一つ。

ここのすごいのは通常一人15分の枠を20分とっていることです。

つまり他の寄席よりもじっくりと噺ができる。

それが芸人にとってはたまらないのです。

いつも冗談オチで上がってくる噺家もここならば、最後まで喋れます。

冗談オチってご存知ですか。

最後までやれないので、「冗談言っちゃいけねえ」と呟きながら、噺を終えるのです。

あんまりこれが続くと、客席から「冗談言っちゃいけねえ」とクレームがつくとかつかないとか。

逆にいえば、噺をじっくりと聞きたいお客さんはこの寄席を目指します。

下席以外は通常、午後と夜の部の入れ替えはありません。

そうでない時は、夜は特選落語会になり、独演会や、二つ目の研究会などさまざまな催しになります。

必ずチェックすることをお勧めします。

自分の好きな噺家をたっぷりと聞きたいときは、夜の特選会を狙っていくのもいいのではないでしょうか。

ここは2つの大きな協会で運営されています。

これ以外の会に入っている人は特別企画の時だけ、出演することもあります。

落語協会は奇数月の中席・下席(昼は通常、夜は特別企画)、偶数月の上席・下席(昼は通常、夜は特別企画)
落語芸術協会は奇数月の上席、偶数月の中席。
落語芸術協会が担当する際は、10日間の中で5日ずつに分けて内容を変えています。

また、昼の席、夜の席でそれぞれ出演者が異なります。

着物割引も

また、上席、中席、下席のそれぞれに昼の部、夜の部が設けられています。具体的な開始時間は以下の通りです。

上席 (特別興行を除き、昼夜入替えなし)
昼の部:12時開場12:30開演
夜の部:17時開演
中席 (特別興行を除き、昼夜入替えなし)
昼の部:12時開場12:30開演
夜の部:17時開演
下席 (毎日入れ替えあり)
昼の部:13:30会場14時開演
夜の部:17:30会場18時開演

入場料は以下の通りです。

●1日~20日
一般 学生 小人
2500円 2000円 1500円
 ★特別興行は料金の変わる場合があります。
 <特別割引>
  ☆浴衣&着物割引:昼夜とも2000円
  ☆学生服割引:(中学生・高校生対象)1500円
  ☆シルバー割引:65歳以上は昼夜とも2000円
  ☆親子割引:(小人料金が1000円)
●21日~30日
一般 学生 小人
昼の部 2000円 1500円
夜の部
日替わり特選会は日毎に料金が変わります。
<特別割引>
  ☆親子割引:(小人料金が1000円)
池袋の繁華街の入り口にあるため、飲食店は選び放題。終演後、ちょっとお酒でもという気分になりますね。

夏は浴衣でというのも結構です。

料金も割引いてくれますしね。
 
飲食はアルコール類は禁止されています。
 

お菓子を食べながら、お茶を飲むというのが定番でしょうか。

寄席は気楽でいいです。

是非、池袋で落語ライフにチャレンジしてみてください。

帰りも駅が目の前なのですごく楽ですよ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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