【小論文・投資教育義務化】高校で金融教育が必修化されることの意味

学び

金融教育義務化

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

世の中の変化はめまぐるしいです。

政府の方針が少しずつ方向を変え、人々の意識もそれに応じていかなければならなくなっています。

まさか学校で投資の授業が必修化されるとは思ってもみませんでした。

これからの時代を乗り越えていくための「金融教育」です。

わかりやすくいえば、もう政府に頼らないでくれということなのです。

少子高齢化が進み、社会資本が先細りしています。

それにともない、福祉政策に充当する財源も期待できません。

さらに若い世代の人には、年金、医療などの負担がこれからますます重圧としてのしかかってきます。

現在の水準を容易には保てないと判断した政府は、年金の支給年齢を引き上げ、さらに健康保険の料率をあげようとしています。

かつてのように75歳の後期高齢者は1割負担でいいなどという時代は、とうに過ぎ去ろうとしているのです。

さらに国民年金や厚生年金を積み立てる年齢を先に伸ばし、少しでも財政の逼迫を防ごうとしました。

こうした社会の変化は教育にすぐ反映されます。

新しい「高等学校学習指導要領」を見てみると次のように書かれています。

①家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること。

②家計管理については収支バランスの重要性とともに、リスク管理も踏まえた家計管理の基本について理解できるようにする、とあります。

さらにもっと突っ込んだ次のような記述もみてください。

③生涯を見通した経済計画を立てるには、教育資金、住宅取得、老後の備えの他にも、事故や病気、失業などリスクへの対応が必要であることを取り上げ、預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴、資産形成の視点にも触れるようにする。

ライフステージ

ここまで高校の授業が、経済の問題に踏み込んだことはかつてありませんでした。

日本人の投資に対する感覚は、一種のギャンブルに近かったのです。

大多数の人は銀行に預けたきりでした。

定額貯金、定期預金、さらに国債といった、全くリスクのない方法で資産を守っていたのです。

しかしマイナス金利、超低金利の時代が現在も続いています。

世界の流れの中で、最も動きの悪い時代が長くなり、世界の高金利政策のあおりをうけて、日本では歴史的な円安が続きました。

さらにウクライナ侵攻の影響で、電気、ガス、水道などのインフラをはじめとして、ほぼ全ての物価が急速に値上がりしたのです。

一方で、賃金の上昇は全くみられません。

世界の中で、日本は完全に取り残されてしまったのです。

政府が投資をしてくれという掛け声ととともに、もう金融の問題を全て政治に委ねないでほしいという叫びも聞こえてきます。

それがそのまま、教育現場に投げ込まれたというのが、今の実情なのです。

ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察することが喫緊のテーマになりつつあります。

現在のレベルの年金額は、今後もう保証できないというのが、政府の本音です。

必ず目減りしていくのは確実なのです。

そのため、将来を見通し、事故や病気、失業、災害などの不可避的なリスクや、年金生活へのリスクに備えた経済的準備をしなくてはなりません。

そのための資金計画を具体的に考え、学ぶことが大切なのです。

高校の家庭科でここまで教える時代になりました。

一部の高校では、生徒に仮想的な投資をさせ、お金そのものの生きた授業をしているところもあります。

しかし公立高校では従来、そのような実践はしてきませんでした。

教師もきつい

2022年4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたのは承知の事実です。

18歳になり、クレジットカードをつくったり、ローンを組むこともできるようになりました。

親の同意が必要なくなったのです。

20歳未満を対象にしていた「未成年者取消権」も行使されなくなりました、。

怖いですね。

安易な契約から、トラブルに巻き込まれる可能性が高くなる懸念もあります。

その流れもこの金融教育が重要であることの1つの大きな意味です。

あまり若いうちから、お金のことを教えなくてもいいのではないかという考えが、日本では昔からありました。

そういう意味で、金融教育を受けた経験がないといういう人が大半なのです。

お金は不浄なものでした。

学問の対極にあったのです。

しかし現実はそのようなことをいってられなくなりつつあります。

「金融リテラシー」はまさに現代の若者が、着実に身につけなければならないスキルなのです。

カードを作るのは簡単なことです。

しかしそれを上手に使うことが出来なければ、すぐに自己破産の危険水域に入ってしまいます。

ここで少し視点をかえてみましょう。

先生の立場になったらどうか。

教えるのは至難です。

おそらく今までに全く経験のない授業をやらなくてはいけません。

金利のABCから、円安、円高の経済問題。

さらには投資の実際。

ものすごい数の保険の中から、最も自分に適したものを選ぶための方法。

これらを実践の中で教えていくのです。

実際に株の取引きをしたことのある教員は、どれくらいいるのでしょうか。

リスクを少しでも減らす方法を教えなくてはなりません。

これは理屈ではなく、金銭に関わる戦いでもあるのです。

資産形成

ここで注目すべきなのは、「資産形成」という新たな視点です。

従来の家庭科の授業では、家計管理が全てでした。

家計簿のつけ方などを教えていればそれで済んだのです。

しかし新しい学習指導要領では、資産運用の内容が盛り込まれています。

「守り」だけではありません。

完全に「攻め」の態勢に入ったと言わざるを得ないでしょう。

おりしも「NISA」や「iDeCo」などの新しい商品の制限も大幅に緩和されました。

複利の意味を理解し、投資信託商品などをいかに選ぶか。

いずれ早い時期に、実践を通して学ぶ時代が来るでしょう。

自分の年金資産は自分で守り、つくり上げる時代です。

終身雇用が崩れ、退職金制度もなくなっていきます。

あるいは退職金を確定拠出年金制度に変更した会社も増えるでしょう。

在職中に投資をしながら、自己責任で老後資金を蓄えるという図式に変化するはずです。

貧富の差や金融リテラシーの有無が将来の年金額にまで及ぶのです。

NISAの話題は、おそらく無税のワクに対する意識をさらに鋭敏にするでしょう。

学ぶか学ばないかで、人生が大きく変わる時代になったことは、間違いがありません。

投資には当然リスクがつきまといます。

それをうまく回避するにはどうすればいいのか。

そのことも金融教育を通じて学ばなければなりません。

グローバル時代の資産運用には、英語力もコンピュータの活用に対するスキルも必要なのです。

今年度の小論文のテーマとして、この問題が扱われるのは間違いがありません。

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まだ誰もが意識していないだけに、数学的な問題とグラフなどを使い、金融リテラシーに踏み込む内容が出題される予感がしています。

今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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