課題文には話題がいっぱい
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は課題文型の文を攻略する方法について考えましょう。
大学によっては長文を出題するところもあります。
80分で1200字書けなどという問題が出ると、ちょっとゲンナリしますね。
でも仕方がありません。
チャレンジするのみです。
最初はまず課題文の読解です。
国語力をフルスロットにして読みましょう。
大切なのはキーワードの発見です。
どのように見つけてまとめあげますか。
きっと重要なポイントだと思われる言葉をあちこちから集めてくるのでしょうね。
可能性のあるテーマを手元に引き寄せるんじゃありませんか。
それを使ってとにかく文をまとめ上げる。
それでいいのです。
決して間違ってはいません。
しかしあまりこの方法ばかりを実践するのはお勧めしませんね。
小論文としてはかえって散漫な印象になってしまうことも多いのです。
800~1200字なら、なんとしても主題は1つに絞りましょう。
あれもこれもと欲張ると、結局どれも中途半端になってしまいます。
他の論点を捨ててしまえというと、抵抗のある人もいると思います。
しかし試験は合格するためのもの。
政治演説ではありません。
あちらにもこちらにもすべていい顔をすることはできないのです。
刺さるテーマを
まず関連が1番あると考えるテーマだけに着目してください。
だからといって自分に都合のいい論点だけを前面に出すのは得策ではありません。
必ず筆者の視点にそって短くまとめつつ、自分の意見との差を上手に披露するというのが大切なのです。
筆者の意見に対してあまりくっつきすぎると、ただの繰り返しになってしまいます。
その際は仕方がないので、筆者の言葉が足りない部分を補ったという体裁にするしかないでしょう。
基本は自分の意見をはっきり課題文と区別させることです。
最後まで独創的であることが基本中の基本であることをしっかりと認識しておいてください。
しかし言うのは容易いです。
正面から反対するのは本当に難しいものです。
よく小論文は必ずYesNoをはっきり書けばいいといいます。
全くその通りですが、しかしやってみると、そんなに簡単なものではありません。
本当に自信があって書けるのならば、その線上で進めてください。
しかしていねいに反論しながら、採点者を説得するというのは並々の技量ではできません。
むしろ逆に弱点をつかれてギブアップということになってしまいがちです。
このあたりが小論文の難しさでしょうかね。
そういう場合はどうしたらいいのか。
どうにもならなくなったら、課題文の中にあるこれだというキーワードに理解を示します。
そこで1歩下がるのです。
それから自分の意見を再度持ち出してていねいに説明します。
そうすると、きちんと反論をしているようにみえます。
その時によく使われるのが「確かに~しかし」のパターンですね。
これがあると、1歩下がって筆者に敬意を示したということがよくわかります。
そこで採点者は受験生の柔らかい一面を見抜くワケです。
日本は同調圧力の強い国です。
無理に反論をゴリ押しするよりもずっと賢いやり方でしょう。
主張を強めたい時
もちろん、このやり方でもNoを結局示すことに変わりはありません。
それだけに慎重な形で文章をまとめることだけは肝に銘じておく必要があります。
ポイントは解決策を徹底的に書くことに尽きます。
小論文というのは結局問題点をみつけ、それに対して解決策を考えるという作業なのです。
要約すれば、これ以外にありません。
YesNoのどちらにせよ、必ず解決していくために何をすればいいのかという論点を示さなければならないのです。
では具体的にどうすればいいのか。
これが最後の切り札だというとっておきの表現がいくつかあります。
ここを注意して読んでくださいというサインを出すことです。
「ポイントは」と言われたらやはりそこを読みますものね。
同じように「この文章で主張したいことは」とか「述べたいことは」といったような定型の文章を入れると、そこに目がいきます。
さらにいえば、「~のようである」といったまわりくどい言い方をせず、ズバリと言い切ること。
「~は~である」「~は~だ」式のはっきりした形を明確にすればわかりやすい文になります。
しかし究極は問題の解決そのものです。
これは大変に難しいです。
それでなくても小論文に出る課題というのは、どれ1つをとっても難問ばかりです。
それをわずかの字数で解決策にまで導くというのはよほどのことです。
アピールすることが大切
当然、内容に矛盾が生まれるかもしれません。
結論にまだ達していないかもしれないのです。
それでもかまいません。
言い切れない時は、ここまで自分の力で考えたということを精一杯アピールしましょう。
比喩などを書いているゆとりはありません。
真っすぐに自分の考えを示すべきです。
採点者たちもそこまでの解決策を要求してはいません。
そこへ辿り着くまでのプロセスを見ているのです。
それこそが大学へ入ってからの学力の源泉だからです。
伸びしろといってもいいかもしれません。
柔らかさをアピールしましょう。
ある地点では相手に身を委ねることも大切です。
ディベートをイメージして下さい。
一方的に自分の言いたいことを述べるだけではありませんね。
相手の考え方に耳を傾けるシーンがあります。
まさにあれと同じです。
じっくりと話を聞いた後、おもむろに主張するのです。
元より正解はありません。
覚悟の上です。
その時の新しい自分自身の考えを示してください。
試験当日に読んだ新聞の記事がもしかすると、その時最も自分にふさわしかった論点になるのかもしれないのです。
そういう意味でアンテナを張り続けてください。
感度をおとさないこと。
その努力さえ続けていれば、まだまだ伸びます。
勉強を続けて下さい。
最後までおつきあいいただきありがとうございました。