ハートを刺激する
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回はいろいろな課題文を練習してきた受験生の皆さんの悩みを一緒に考えましょう。
とにかく小論文は難しいです。
その理由は簡単。
正解がないからです。
もちろん、全くないというワケではありません。
それに近いものは当然あるのです。
しかしそのバリエーションがあまりにも多い。
つまり書く人の数だけあると考えてください。
顔、形、気性が違うように、1つとして同じものはありません。
それだけに自分をどうアピールするのかというのが、大きなテーマなのです。
採点者の先生方は毎年、たくさんの答案を読みます。
その中の何枚かを合格答案にしていくのです。
あなたが採点者だとしたら、どういう答案を最もすぐれたものと判断しますか。
ポイントはそこです。
伝える内容にばかり頭を悩ませているだけではダメなのです。
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誰に伝えたいのか。
あなたの目の前にいる人はどういう人なのか。
どのような言語体系を持ち、どんな考えをしているのか。
それを知らなければなりません。
大学での授業案内を読んだことがありますか。
その先生のシラバスをみれば、研究のおおまかな方向がわかります。
興味や関心の内容にも少し触れることができるのです。
相手を知る
受験生のあなたは自分が書く文章のことばかりが前面に出て、採点者のことまで頭がまわらないでしょう。
それは当然のことです。
しかし誰にとっても必ず納得してもらえるような文章は存在しないのです。
そこでどこまでが理解してもらえる範囲なのかを常に考える必要があります。
忖度をしろとかおもねって書けという意味ではありません。
ここまでは論じてもいいというレベルを自分なりに考えることが大切です。
たとえばYesNoで答えなくてはならない問題がでたとしましょう。
原発の是非でも死刑制度の在り方でもいいです。
これはとてもナイーブな問題で、どちらの立場で答えるかによって、文章の内容が全くかわってしまいます。
いわゆるテーマを深掘りしていくというタイプの問題ではありません。
さてあなたならどちらにしますか。
Yesで書いたら、結論までそのまま走り続けなくてはいけません。
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途中で屋台骨が揺れると、すぐに減点です。
こういうタイプの文章は論理の組み立てがすべてです。
受験生はどちらの立場で書くでしょうか。
Yesが多いと考えますか。
全くその反対の方が多いでしょうか。
入試の場合は目立つことも大切です。
相手を知らなければ戦えません。
どういう考えをもった先生が採点をしているのか、考えたことがありますか。
採点者の見ている風景を
ここからが大切なポイントです。
徹底的に相手の立場に立ってください。
その大学の採点者は何を考えているのか。
そんなことはわかるはずがないと言われれば、それまでです。
書店の新書コーナーへ行きましょう。
おびただしい本が平積みになって並んでいます。
いくつか論争になっているトピックスをみながら、どの人がどんな立場で論じているのかをチェックしておくのです。
これは小論文を書く時には必要な行動です。
今、何がトレンドなのかを知っておくことで、どのような課題が出るのか知ることができます。
試験のための準備と考えて時には気分転換をはかりながら、書棚を眺めるだけでもいいのです。
ポイントはここからです。
出題者と同じ視点に立ちましょう。
自分ならどのような問題を出したいか。
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その時、採点のキーワードは何にするか。
どこまで書けたら合格にするのか。
それを考えながら、書棚を眺めまわしてください。
つまり採点者と同じ風景を見ようと努力するのです。
それだけで、今までとは全く違った景色になります。
感覚をどこまでも同じレベルへ持っていくのです。
簡単ではありません。
しかし小論文で合格するためには、それくらいのことができなくてはダメなのです。
言葉はきついですが、昔から喩えがありますね。
「己を知り敵を知れば百戦危うからず」なのです。
経験をどう書くか
採点者が評価する時、最もよく読むのが経験の記述です。
一般論が続く中で、ここには受験生の顔が覗きます。
誰もが他人の経験を共有することはできません。
しかしそれでも知りたいのです。
その人がなぜこういう考えを持ったのか。
その背景を強く説明づけるからです。
それだけに表現には十分気をつけてください。
ここまで書いたら、採点者はどう感じるのか。
どんな風景がそこに見えるのか。
それを冷静に判断しなければなりません。
目に見えるようにまとめるのです。
大袈裟にいえば、相手の琴線に触れるのです。
ハートにアタックして、つかまえてしまいます。
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この受験生に会ってみたい。
この学生を是非入学させたいと思わせれば即合格です。
嘘をつけとは言っていません。
相手の心に刺さる真実の文章を重ねていくことです。
必ず伝わります。
人間はそういう生き物なのです。
論理的に積み上げ、経験を真面目に述べ、それでも不合格だというのなら、それは縁がなかったと考えてください。
試験は非情なものです。
常に謙虚な気持ちで書くことです。
読んでいただくのです。
そのことだけは絶対に忘れてはなりません。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。