小論文の型
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は小論文の型について説明します。
基本的に論理的な文章は、この型にそって書きましょう。
少々のミスがあっても、なんとかそれらしく見えるものです。
大きくポイントをはずすことはないのです。
書き方はちっとも難しくありません。
ただしあまり気を緩められては困ります。
型は所詮、1つのルールでしかありません。
全ての枠をはずしてみた時に見えてくる構造そのものなのです。
船でも飛行機でも部品を全て取り去った時にあるものが、スケルトンと呼ばれる基本の躯体です。
それを構築しようというのです。
今からわかりやすく説明しましょう。
あなたのやることはそこに部品を組み込んでいくことです。
もっと言えば、血と肉をつけるのです。
その内容が新鮮なものであればあるほど、評価は高くなります。
古びたものであれば、既視感だけが強くなるのです。
どこかで読んだのと似ているとなれば、当然採点者は低い点数しかつけません。
小論文の型を覚えてください。
この書き方は、今までブログで解説してきた内容をまとめたものです。
順番に配置の仕方を覚えていきましょう。
それだけで、小論文にふさわしい形になります。
小論文の躯体
小論文は次のような形でできています。
①テーマの方向性
わかりやすく言えば問題提起です。
自分がどこへ向かってこの小論文を書こうとしているのかを示します。
航海のための水先案内です。
この順番にそっていけば、必ず最後の結論に達するということを宣言します。
読者はこれがあるだけで、安心してその後を読むことができるのです。
②言いたいことの数。
よくスピーチなどにも出てきますね。
今日、お話したいことは3つあります、という例の型です。
順番に3つの話を短く区切って書きます。
最後のまとめに入ったところで、これで話は終わるのだということが読者にもよくわかります。
普通、スピーチは3分が限度と言われます。
文章もそれと同じです。
何度も同じ話を繰り返すのは最悪です。
伝えたいことは3つあると、最初に言い切ってしまいましょう。
人間の脳は3という数字が最も頭に入りやすいと言われています。
なんとかトピックスを3つ以内にまとめてください。
もちろん、2つでもかまいません。
それ以上は避けること。
文が冗長になってまとまらなくなります。
③結論をあらかじめ伝える
何が言いたいのかよくわからなくなったのでは意味がありません。
最初に結論を相手に伝えておきます。
その際、YesNoで答えられる問題の場合はここではっきり述べてください。
そうすれば、読者は安心して先を読めます。
理由が最大のポイント
④理由をきちんと示す
なぜ自分がこのような考えを持つようになったのか。
その理由をここではっきりさせてください。
あなたの結論が正当なものかどうか、判別されます。
小論文の基本はまさにここにあるのです。
どんな考えをもって、この結論にいたったのかということを論理的に説明する場所です。
ここが曖昧だと、どんなに美しい文章で飾っても意味がありません。
小論文の命は論理です。
採点者はそこだけをみます。
この答案にはきちんと論理が貫かれているか。
途中で心棒がぐらぐらと揺れていないか。
採点はもっぱらそこを中心にするのです。
どんなことがあっても、理由をきちんと書き込んでください。
逆にいえば、ここがうまく書けない場合は、失敗だったということになります。
自分自身が納得できる論理を示していないからです。
ましてや、他人を説得することなど無理に決まっています。
理由を示すところでは、あらゆる知識を動員してください。
ただし公序良俗に反する考え方はとりあげないこと。
危険な思想の持ち主として、評価は低いものにならざるを得ません。
具体的な経験
⑤自分の経験、見聞を示す。
これは④の理由を裏付けるための装置です。
小論文では理由だけを示したのでは、なかなか理解してもらえません。
そこでこんなことがあったという具体的な話を書くのです。
長くてはダメです。
自分勝手な自慢話も避けましょう。
どちらかといえば、失敗した時にそこから何を学んだのかといった類いの方が、理解されやすいようです。
当然、文章の中に人間性が浮き上がってきます。
それだけに注意が必要です。
採点者がチェックするのは字数だけではありません。
全ての文章との整合性をみます。
この経験談が、今回の論理の組み立てにどのような役割を果たしているのかを冷静にみてとろうとします。
いい気になって文章を書くのだけは、絶対に避けること。
⑤最終的な結論
最後のまとめです。
簡単な結論でいいので、もう1度繰り返してください。
くどくならないようすることです。
これで全文が完成します。
過去問をこの型にはめて書いてみましょう。
必ず、あなたの書いた文章が小論文らしくなったと感じるはずです。
学校ではなかなか教えてくれません。
実際の問題を試しにやってみてください。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。