【小論文失格】同じ単語と言葉を続けて使うのはダメな文の証拠です

学び

同じ単語はダメ

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は書き方の基本をおさえます。

難しいことを言うつもりはありません。

しかし毎年添削をしているうちに、文章の上手な人と下手な人の違いが短時間で見分けられるようになりました。

どこが違うのか。

みなさん、わかりますか。

それは使っている単語です。

別の言葉でいえば表現です。

下手な人は言葉の数が少ないのです。

つまり語彙が貧弱です。

たくさんの表現を知らないから、同じ単語を何度でも使います。

バリエーションがないのです。

「自分で学習する」「自分で調べる」「自分で考える」「自学自習をする」「自分で研究する」

これは全て同じ流れの中にある一連の表現です。

もしこの言葉が400字詰め原稿用紙の中に7~8つも出てきたらどう感じますか。

同じところをグルグルと回っているだけのような気がするでしょう。

最後に結論として、だから自学自習は必要なのだといわれても、そこに具体的な話もないままでは、なんのための文章なのかわからなくなってしまいます。

必要なのは小論文の核です。

当然内容を膨らませる部分がなくてはなりません。

文の中に体験、経験、見聞、考えなどが入っていることで、その人間の横顔がより陰影を持つのです。

体験をきちんと入れましたと言われて何度も読み直したこともあります。

しかしそれらしいものは何もありません。

同じ表現のオンパレードなのです。

これでは論文とは呼べません。

自分では気づかない

添削をする時、あまりに同じ表現が多いとまずマークしてみます。

幾つ似たような言葉がでてくるのか。

それを数えるのです。

そして書いた本人に見せます。

するとたいていの人が驚きますね。

まさか、こんなに書いていたとはというワケです。

自分では全く気づいていません。

ただなんとなく書き流しているだけなのです。

人間の心理として、1度使った単語をすぐにもう1度使いたくなります。

脳のどこかにインプットされたままになっているんでしょう。

再び飛び出てくるのです。

だからつい使ってしまう。

これは誰でもそうです。

後で気づけばいい方でしょう。

大半の人はそれと認識していません。

夢にも思っていないのです。

どうしたらいいのか。

訓練するしかありませんね。

自分が書いた言葉に対してつねに冷静に着目していなければならないのです。

せめて同じ表現を続けては使わない。

これがポイントです。

少し上手に見える方法

1つの言葉を使ったら、なるべく次は別の表現に言い換える練習をしましょう。

類義語といいます。

いつも「自分で勉強」するという表現を使っている人は、別の言い方にかえましょう。

ちなみにどんな表現があるのでしょうか。

それを頭の片隅に入れておくことで、文章の単調さから抜け出すことができます。

勉強する 勉める 勉学に励む 学業に励む 勉強を頑張る 学習する よく学ぶ 
研鑽を積む 刻苦勉励する 勉励する 教訓を得る 
学ぶ 会得する 飲み込む 詰め込む 頭に入れる 修得する 修める 咀嚼する 
吸収する マスターする

ただ勉強するという言葉だけでもいろいろなバリエーションがあります。

これがあらゆる内容についてあるのだと考えて下さい。

4文字熟語などを入れればさらに内容は膨らみます。

自学自習をはじめとして、切磋琢磨(せっさたくま)苦学力行(くがくりっこう)蛍雪之功(けいせつ

のこう)刻苦勉励(こっくべんれい)
などさまざまな表現が出てきます。

それらを上手に使い分けながら文章を書いていくことで、全体の内容が膨らんでいくのです。

採点者の判断材料は1枚の答案が全てです。

文章にあらわれた表現で受験生を判断するしかありません。

とはいえ、口当たりのいい美辞麗句を並べればそれていいというのではありません。

その人の内側から出た言葉の数々が心を打てばいいのです。

geralt / Pixabay

もちろん論理性もいります。

しかしそれ以上にその人がどんなボキャブラリーを持っているのかということも国語力を見抜くための材料になります。

分かりやすい深い言葉で小論文を書く。

それが力のある文章への近道なのです。

練習あるのみ

一朝一夕にできるのかと聞かれれば、できませんというしかないでしょう。

あと2か月でなんとか合格できる小論文の書き方を教えてくださいという生徒がたまにやってきます。

なんとかしてあげたいのは山々です。

しかしそれほどに簡単なものではないことだけは断言しておきましょう。

ではどうしたらいいのか。

ひたすら書くことです。

先ほどいったように、自分の表現を読み直してみてください。

同じ内容が無限ループのようにグルグルと循環していることはありませんか。

もしそうならば、どこかでそれを断ち切る方法を学ばなければなりません。

いつも書き出しと結論の部分が似ていて、同じ内容に見えてしまうという人もいるでしょう。

それは内容が深まっていない証拠です。

きちんと書けていれば、だんだん深化していくはずなのです。

当然結論は書き出しから何歩も踏み込んだものになります。

表現の重なりと全体の文章の流れをみれば、だいたいの実力はわかります。

cherylholt / Pixabay

たまたま試験のテーマと自分の関心や興味とがピッタリあうということがあるかもしれません。

しかしそれは些細なことです。

きちんと練習していれば、どのような問題が出てもフォローできます。

そこまでいかなければ、本当の実力とはいえません。

今回は表現に特化して解説しました。

自分の書いた文を赤でマークしてみて下さい。

あまりにも何度も似た単語を続けて使っているのに驚くことでしょう。

そこからです。

時間はあまりありません。

言葉はあなた自身です。

スポンサーリンク

文は人なり。

まさに名言ですね。

最後までおつきあいいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました