意識して課題文から離れる
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は課題文に賛成する場合と反対する場合の書き方の違いについて考えます。
YesNoのどちらがいいのでしょうか。
結論からいえば、どちらでもかまいません。
その内容によって合否が決まるワケではないのです。
では何によるのか。
論理の構造です。
どのように結論まで文章を導いたのか。
それにつきます。
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どちらが有利ということはありません。
筆者のテーマに賛成する場合は、とにかく課題文の内容から少しでも離れる努力をするべきです。
どうしてもYesが先行すると、つい同じ内容を繰り返すケースが増えます。
そうなった場合、文章の新鮮味がなくなります。
もちろん、主張が重なることが多くなるのは、誰にも予想がつくはずです。
しかしだからこそ、意識して離れてください。
筆者べったりはNGです。
新しい視点を採点者はつねに期待しています。
たくさんの答案を読んでいると、似た内容の文章が非常に多いことに気づかされます。
文章を読むことに飽きてしまうのです。
もちろん、仕事ですからきちんと読みます。
それだけに、ユニークな内容の論文に好印象を持つのは当然のことでしょう。
補強しながら書く
ポイントは内容の補填です。
わかりますか。
足りないところを付け足していくのです。
筆者がそこまでは言及しなかった内容をさらに豊かなものにします。
Yesの根拠が同じだとすると、採点者はまたかという気分になるものです。
そこに1つでも新しい考えが展開されていれば、印象がガラリとかわります。
ただしこの時に自分はこんな経験をしたとか、こんな本を読んだという体験で文章のリズムを変えようとするのは簡単なことではありません。
確かにユニークな経験があれば、十分効果的ではあります。
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外国での見聞にしても、あなたが実際に体験したことの重みはあります。
しかしそれを振り回しすぎると、文の流れが死んでしまうのです。
字数制限の中でまとめるために、日頃から練習をしておきましょう。
どうしても同じになってしまうのを避けるためには、幾つかの方法があります。
最初に課題文の内容を短くまとめるのもその1つです。
この時、筆者と同じ表現を遣うのを極力避けましょう。
必ず別の言葉でまとめるのです。
字数は多くなくていいです。
ごく簡単な形で、ポイントを絞ってしまいます。
これには当然、語彙力が必要です。
筆者となるべく同じ単語を使わない、というくらいの気概をもって挑んでください。
この練習は難しいてすが、効果的です。
国語力が必要なのはいうまでもありません。
小論文で使われるボキャブラリーというのは、どうしても似通ってしまいがちなのです。
それを少しでも避けているという姿勢は、読んでいるとすぐにわかります。
表現でどうしても無理な場合は、内容を違った形でまとめることです。
書いてない内容を探す
筆者が書かなかったケースについて言及するのです。
あるいはあなたがその立場になったら、どういう風景にみえるのか。
ある事象についても、加害者ではなく、被害者の立場だったら、どのように感じるのか。
それも補填の1つの方法です。
あらゆる角度からテーマを俯瞰してください。
逆にいえば、蟻の視線で地面から見上げることも可能です。
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自分の家庭はどのようなのか。
あなたのおかれた環境はどうなのか。
そこで感じた不安や不満はないか。
どこかに視点を移してみれば、それだけで新しい要素があふれ出してきます。
それくらいの柔らかさがないと、少しでも違う視点を効果的に表現することはできません。
難しいのはよくわかります。
そこを乗り越えなければ、合格はおぼつかないのです。
反対の場合はどうするのか
では反対の場合はどうすればいいのでしょうか。
最初にその結論に至った根拠を示す必要があります。
断言するくらいの、強い調子で書いてください。
少し書きすぎではないかというくらいで大丈夫です。
一般的に反対意見の方が、内容的には強くなりがちです。
それだけに、完全に相手を否定してしまいたくなるかもしれません。
これは絶対にNGです。
筆者の人間性を前面に出して、それを言い負かそうなどという態度をとってはいけません。
あくまでも、論理の上での否定にとどめるべきです。
一般的に日本人は、議論が苦手です。
どうしても人間性まで踏み込んでしまいがちなのです。
これだけは絶対に避けてください。
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筆者の主張を否定するのですから、あなた自身の主張をきちんとまとめて提出しましょう。
これがなければ意味がありません。
その際、字数とのバランスを大切することです。。
採点者は当然、この論拠の部分を注意深く読みます。
きちんと論理が整っていれば、俄然評価が高くなります。
無理にこじつけたような内容では、否定したことにはなりません。
ここが合否を決める大きなポイントになるのです。
どうしてもうまく書けそうもない場合はどうするか。
YesNoの範疇を出ます。
仮説を書きましょう。
全く新しい見方を示して、筆者のいる場から外に出るのです。
もちろん、自分勝手な論理ではダメです。
そこにはきちんとした整合性が必要です。
しかしそれがうまくいけば、この受験生にはかなりの力があるとみなされます。
独自のアイデアなんて無理という人は、この方法をとらないこと。
墓穴を掘ります。
筆者の意見をどちらにでも修正可能なので、それだけ自由があるのです。
それだけに、内容をきちんと把握していなければ、とんでもないことになります。
練習してみてください。
どういう書き方が自分に向いているのか。
いつも真っ向から反論する方が楽だということであれば、その道をたどる書き方を学ぶべきです。
時間がそれほどにあるワケではありません。
あなたの努力が必ず実を結びます。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。