新聞の役割
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は新聞の役割について書かせてください。
あなたの家では新聞を購読していますか。
授業中に訊ねたりすると、愕然とします。
最近はとっている家庭も少なくなりましたね。
テレビとネットで十分という意見をよく耳にします。
つい数日前、ちょっと小旅行に行ってきました。
その際、新幹線の中で感じたことを1つ。
驚いたのは、本を読んでいる人が誰もいなかったことです。
週刊誌は何人かいました。
それ以外の人はスマホかノートPC。
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寝ている人も少しはいたかな。
新聞なんて夢のまた夢です。
ある大手の新聞はここ数年で読者数が半分になったとか。
今までならとても載せてはもらえなかった、強精剤の広告までが登場する昨今です。
以前なら新幹線の扉の上にあった電光掲示板のニュースも、ありません。
流れているのはひたすら広告だけです。
最新のニュースはスマホで十分な時代なんですね。
誰も新聞を読まなくなった事情も理解できます。
ニュースの速報性は、絶対ネットに勝てません。
これから新聞はどこへいくのでしょうか。
小論文の命
新聞は小論文と高い親和性を持っています。
入試問題の担当者は、日々、新聞記事を注意深くチェックしています。
なぜか。
そこに今日の社会が見てとれるからてす。
1つ1つのニュースだけではありません。
世相もくっきりと浮かび上がるのです。
間もなく、今年の流行語も発表されるでしょう。
1つ1つの表現の中には、その年に人々が何を強く感じたのかということがあらわれます。
もちろん、それをすぐに小論文のテーマにするワケではありません。
しかし大いに参考にするのです。
なぜ新聞が大切なのか。
自分の好むニュースばかりではないからです。
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ここがポイントです。
ネットニュースを長く読んでいると、アルゴリズムが働いて、その人の性向をチェックし始めます。
スポーツが好きだというレベルではありません。
野球、サッカー、バスケットなどという競技の種類をこえます。
あるチームに特化したニュースばかりが流れるようになるのです。
これが1番怖いことです。
バリエーションに富んだ記事が次第に少なくなっていきます。
怖いのは、そのことに気づかなくなることなのです。
自分にとって不都合なニュースは、全てフェイクになってしまう可能性すらあるのです。
前アメリカ大統領は、自分にとって不快なニュースは捏造だと言い続けました。
それを信じる多くの民衆が生まれたことも事実です。
苦手な分野
新聞の持つ大切な一面は、苦手な分野に満ちているということです。
だから読まないのだ、と言われてしまえば、それだけのこと。
しかし、あえてここで考えなければなりません。
そうであるからこそ、読まなくてはならないという一面もあります。
自分がどの方向に向いているのかを、常に認識する。
いわば羅針盤のかわりにするのです。
新聞社も1つの企業体です。
同じ思想信条の人に向けて、都合のいい記事を流し続けた方が購読者数は伸びるかもしれません。
しかしそれは禁じ手です。
政党の機関紙ならば、それも可能でしょう。
宅配や駅売りで手に入れられる新聞には、それ以外の公器としての要素も強いのです。
さまざまな立場の人の意見を載せることの意味もそこにあります。
経済に特化した新聞について考えてみましょう。
昨今の円安ドル高について、日々、市場の動きを詳しく報じています。
アメリカの金利の動きがほんの僅かの時間に、世界の経済を動かします。
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グローバルな最先端の仕事をしている人たちにとって、経済の知識は重要でしょう。
特に資源のない日本は、輸出入に頼る以外に生き残る道はありません。
情報が遅れることは致命的です。
それならば、なおのことネットが命だと考えがちです。
1つ1つの情報はまさにその通りです。
ただしその後に分析が必要なのです。
ここに新聞の価値があります。
分析と解説は、新聞の独擅場です。
小論文への橋渡し
このサイトでもSDGsなどの話は何度も取り上げてきました。
その難しさも同時に展開してきたつもりです。
大きな視点からみれば、地球温暖化の流れをとめ、再生エネルギーの循環的活用を促進しなければならないのは当然でしょう。
ところが世界の流れはどうか。
ロシアのウクライナ侵攻の余波を考えてみてください。
世界は石油や石炭に再び傾斜しつつあります。
原子力発電に秋波を送っている国もあります。
もちろん、それぞれの国の事情によって、対応は様々です。
目指す方向は一様ではありません。
世界の流れをきちんと視野に入れていないと、小論文をいくら書こうと思っても、自分に都合のいい部分だけを細切れで提出することになりがちです。
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それだけは避けなければいけません。
一例をあげましょう。
アメリカの中間選挙で話題になっている「人工妊娠中絶」の問題をあなたはどう考えますか。
なぜアメリカでこれが大きな問題になるのでしょうか。
インフレに悩んでいる一方で、多くのアメリカの若者たちがこのテーマに食いついた理由はなにか。
それがわからなければ、小論文が書けない可能性も出てきます。
「なんでも見てやろう」の精神が必要でしょう。
その態度が大学に入学後、必ず役に立ちます。
苦手意識を必ずつぶしてください。
自分が受験する学部だけでなく、その周辺の学際的な問題も包括的に学習していくことをお勧めします。
家で新聞を取っていない場合は、図書館でもどこでもいいです。
必ず目を通す習慣を持ってください。
それが役に立ちます。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。