雇い止め
みなさん、こんにちは。
ブロガーのすい喬です。
今回はコロナ禍での新しい仕事について少し書かせてください。
この2年間、全く生活がかわってしまいました。
特に飲食業でアルバイトをしていた人たちにとっては深刻です。
6人に1人が解雇、雇い止めにあったということです。
4月の時点で見込みも含めて累積10万425人が失職しました。
総務省の労働力調査によれば、2月の完全失業率は2.9%。
完全失業者数は194万人と、13か月連続の増加になっています。
そのうちの半数の人が1カ月以内に再就職を希望しているのです。
しかしアルバイト先がみつかりません。
コロナウイルスに感染するリスクが低い職種は競争率が高くなっています。
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なんとかして生活をしていくために辿り着いたのがプラットフォーム労働という形です。
仕事がどうしても見つからない人、空いている時間だけ働きたいという人たちが行うサービスとして現在定着しつつあります。
Uberのマークをつけた人が自転車に乗って配達している姿を見ない日はありません。
ごく日常的な風景になりつつあります。
料理配達専門の宅配便なのかなと最初は思っていました。
しかし少し調べてみると、全く事情が違います。
Uberという名前だけは知っていても、その実態まではよく認識していない人も多いのではないでしょうか。
Uberはアメリカ発祥のテクノロジー企業です。
同社のサービスには、ライドシェア、フードデリバリー(Uber Eats)、宅配便、クーリエ便、貨物輸送など多種に渡っています。
サンフランシスコに本社を置き、世界900以上の都市圏で事業を展開しているのです。
この会社の働き方を今では総称してプラットフォーム労働と呼んでいます。
働き手は会社に所属しているのではありません。
個人が請負の形で仕事を受注するという形式なのです。
つまり1人1人が独立した経営者でもあるワケです。
韓国・老人宅配便
話をちょっとだけお隣の国、韓国へうつさせてください。
首都ソウルには高齢者向けの無料パスを使ったユニークなビジネスがあるのをご存知ですか。
韓国には十分な年金システムが整っていないと聞いています。
もちろん、日本も十分ではありません。
しかしそれ以上に問題が山積しているのです。
そこて少しでも家計の足しになればと行われているのがこの老人宅配便です。
場所は首都ソウルに限られます。
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市内には地下鉄宅配の会社が200社以上あるといわれています。
配達員は地下鉄の無料パスがもらえる65歳以上の人なら誰でもなれます。
営業時間は朝8時から夜7時までで年中無休。
1つの仕事が完了したらすぐに次の注文のスタンバイをします。
1日目いっぱい働いて3000円くらいでしょうか。
注文が入ると受付センターは集荷先から半径1km以内の配達員に情報を一斉送信します。
スマホだけが唯一の通信手段です。
近くにいる人がすぐに応答します。
早い者勝ちです。
一瞬でスマホを操作し、相手先へ出向きます。
預かった宅配便を持参するのです。
その手段がソウルの地下鉄です。
高齢者パスを持っていれば乗り降りは無料です。
人間がひたすら無料の配達業者となって、地下鉄の中を行き来するワケです。
これが韓国の首都ソウルのもう1つの現実なのです。
ビジネスモデル
この例がUberと全く同じだというワケではありません。
特徴的なのは、仲介の場を提供するプラットフォーマーと呼ばれる事業者が、労務を供給している人に対して、使用者としての責任をほとんど負わないということです。
つまり雇人ではないので、会社にはなんの責任もありません。
特に自転車やバイクで配達をするということになると、1番心配なのが交通事故です。
その際、プラットフォーマーたちは一切の責任を負わなくていいのです。
あくまでも運転をしていた個人の上に責任が覆いかぶさってきます。
現代はインターネットやスマートフォンの普及に加えて、ビッグデータの活用が進んでいます。
労務を提供したい人とサービスを受けたい人を、インターネット上で自動的に結び付けるシステムだけがあれば、すぐに始められるのです。
なぜ請負形式にこだわるのでしょうか。
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1番のメリットはプラットフォーム事業者側にあります。
請負という契約を用いることで従業員を個人事業主として扱うと話が簡単になります。
賃金や労働時間、社会保険料の支払いがなくなります。
さらに安全配慮義務や団体交渉などの使用者としての責任を免れることもできます。
つまり面倒くさい労務関係の仕事を全部省くことができるのです。
特に社会保険関係の手数は並々ではありません。
プラットフォーム事業者は、労務提供者と消費者を結び付ける場所を提供しているだけなのです。
極端なことをいえば、事故を起こそうと、ケガをしようと何も知らないと逃げられます。
労務提供者の使用者ではないと主張すればすべてを免れることができるのです。
しかし、現実にはそう簡単に話が進まないのは、ご存知の通りです。
最近の事例を見てみればわかります。
労働法令をすべて取り払うことができたのかといえば、そう甘くはありません。
最近はある程度まで保険の守備範囲になりました。
請負の実態
請負契約には、仕事を引き受けるかどうかの自由があります。
しかし、Uberなどの事例を見ると、仕事の受託率が一定値を下回るとアプリの登録が解除されて仕事ができなくなることもあるとか。
どのようなコースを走るのかもあらかじめ指定されていると聞きます。
運賃も自分では決められません。
Uber側が労働者の報酬比率を勝手に切り下げることもあるそうです。
そのため、海外ではUberドライバーの労働者性を認め、最低賃金や労災を適用するように裁判所が判決を下した事例まで出てきました。
このあたりのせめぎあいは今も熾烈です。
働く人を雇用しないで個人事業主として扱うことには光と影があります。
新しいルール作りや法規制の可能性もありますので今後の動向にも注目する必要があるでしょうね。
「雇用によらない働き方」と美化するのは簡単です。
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しかし死亡事故などが現実に起こり、簡単に判断できないケースが多くでてきました。
インターネットなしにはまったく考えられない時代のまさにこれが現実です。
サービスを提供する就労者と、消費者を直接的に媒介して中間の利益を得る。
理想的な働き方のような気もします。
請負という形はシルバー人材センターなどでも今日、増えつつあります。
しかしUberの労働形態とはかなり違い、細かなところまでの補償が組み込まれています。
労務災害と補償の関係は非常に複雑なのです。
プラットフォーム労働は呼ばれる働き方は確かに新しい事業モデルです。
2010年以降、10年間で5倍以上になったといわれています。
コロナ禍での外出自粛のため、料理配送を利用できるのは大変便利で助かります。
しかし働く労働者の権利や保護が十分といえません。
雇用されているのか、それとも自営なのかといった複雑な論争点がまだまだ数多くあるのです。
経済関係の大学に進む受験生にとっては、きちんと把握しておかなくてはならないテーマですね。
小論文のテーマとして十分に出題される可能性もあります。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。