【小論文・SDGs】CO2実質ゼロ・脱炭素社会への考え方まるごと

学び

SDGsの目標

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は脱炭素社会という大きな論点を取り上げます。

今年の入試には必ず出ます。

特にSDGsとの関連で取り上げられる可能性が大きいでしょう。

2015年、国連で宣言された接続可能な開発目標と呼ばれている17のテーマをご存知ですか。

必ず出題されるので、その全てに目を通しておいてください。

このブログにも関連記事があります。

最後にリンクを貼っておきます。

しっかりチェックをしておきましょう。

脱炭素社会というテーマと1番近い目標は何か。

それが「SDGsの目標エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」です。

その中のターゲットの1つに次の表現があります。

これが最も脱炭素社会の内容に合致していると思われます。

ここに示されたキーワードは自分のものにしておいて下さい。

少し長いです。

2030年までに再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。

表現はきれいですが、その道が険しく遥かなことは言うまでもありません。

少し具体的に内容をチェックしていきましょう。

脱炭素社会

脱炭素社会とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量「実質ゼロ」を目指す社会のことです。

日本は2020年、「2050年を目途に、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という脱炭素社会への道筋を明らかにしました。

温室効果ガスには二酸化炭素、メタン、フロン類などがあります。

なかでも温暖化への影響力が大きいCO2の削減が一番の課題となっています。

排出量「実質ゼロ」は、CO2の排出を完全になくすのではなく、排出量を削減すると同時に、排出が避けられないCO2を後から回収して、実質的にゼロにするということです。

わかりやすくいえば、循環型社会「ゼロエミッション」の考え方です。

あるいはCO2の排出量と吸収量を相殺してゼロとする「カーボンニュートラル」という視点なのです

どちらもCO2実質ゼロを意味する脱炭素社会の同義語として用いられています。

この2つのキーワードは大変重要です。

はじめて聞いたなどいうことがないようにしてください。

それでは数年前まではどうだったのでしょう。

「脱炭素」ではありませんでした。

CO2の排出を低く抑える「低炭素社会」とい表現が先行していたのです。

ところが2015年のパリ協定をきっかけに、対策方針は低炭素社会から脱炭素社会に変わったといわれています。

パリ協定をご存知ですね。

2015年にフランスのパリで採択された地球温暖化対策の国際的な枠組みのことです。

ここから潮目がガラリと変わりました。

なぜか。

それまで待っていられなくなったのです。

できるだけ早く

地球の温暖化のスピードが当初の予想を超えて急激なものになりつつあります。

自分の周囲を見渡して感じませんか。

明らかに大気の温度が上がっています。

少し前なら気温が30度を超えるとそれだけでニュースになりました。

しかし今はその基準が明らかに以前より高くなっています。

35度ではもう驚きません。

ニュースは40度のレベルになろうとしています。

なぜここまで地球の温度が上がってしまったのか。

地球を覆ってしまう厚い大気の層ができてしまっているのです。

途上国の産業発展による影響などもあり、低炭素社会のレベルではもう追いつかなくなりました

十分な効果が得られなくなっているのです。

温室効果ガスの影響は海水温を上昇させ、氷河まで溶かしています。

海面の水位も上昇をはじめているのです。

世界的な気候変動は豪雨、熱波、水害、山火事などを各地で引き起こしています。

パリ協定は気温を2度下げるという目標を掲げました。

これ以上の温暖化は台風、伝染病、水不足、食料不足をさらに深刻化させるといわれています。

世界の人口は増加し続けています。

現在のまま進むと、22世紀の初頭には110億人に達すると予測されています。

人口とCO2の排出量は完全に比例します。

2020年からの10年は、実は最後の10年間なのです。

つまりそこへ向けてSDGsの役割が重なります。

日本は化石燃料が主流

では日本はどうなのでしょうか。

ここが1番の大きなテーマです。

小論文でもそれではどうしたらいいのかという具体的な話に必ず入っていきます。

自分の問題として考えてください。

残念ながら日本のエネルギー産業は、石油や石炭、液化天然ガスなどCO2排出量の多い化石燃料に頼っています。

化石燃料への依存度が下がったのは原子力発電が盛んに宣伝された頃でした。

確かに原子力発電はわずかの資源で膨大なエネルギーを生み出します。

しかしそこに起こったのが2011年の東日本大震災でした。

原子炉が全て停止したのです。

安全で安心、そして安いエネルギーの供給源だと言われた原子力の現在はどうなっているのでしょうか。

東京電力福島第一原発事故から10年間で、廃炉作業や被災者への損害賠償、汚染地域の除染といった事故処理にかかった費用は少なくとも13.3兆円に上っています。

政府は処理費を総額21.5兆円と見込んでいます。

しかし廃炉作業などが難航し、想定を上回る可能性が今も濃厚なのです。

この金額をどう考えたらいいのでしょうか。

毎年足りないといって、予算を積み増しています。

賠償費用などは国が立て替えた後、電気料金や税金をもとにした資金から少しずつ返済されていくのです。

誰が払うのか考えてみれば、すぐにわかりますね。

最後は国民が底なしに払い続けるという図式なのです。

放射性廃棄物の処理などについてもまだコンセンサスが生まれていません。

原発は1度事故を起こしたら、途方もない費用がかかる厄介な装置なのです。

エネルギーをなんとしてもクリーンなものに替えなくてはならない理由がここにあります。

現在、電気や水素ガスをエネルギーとする自動車などの開発も急ピッチで行われています。

ところで製鉄は製造時に大量のエネルギーを消費します。

原料となる鉄鉱石を鉄に還元する際に大量の石炭使用とCO2排出が避けられないのです

水素を使用してCO2排出を抑える研究も始まってはいます。

しかしまだ途上です。

太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及も必要でしょう。

最悪の場合、炭素税をさらに拡大させることも考えなければなりません。

各企業のCO2排出量に応じて課税を行う制度です。

私たちも日常生活でできることは何かについても考えておく必要があります。

マイカーを利用せず公共交通機関を利用する。

エアコンの温度調節やクールビズ、ウォームビズの着用を心がけるなどはすぐに思いつきます。

しかしそれで足りるのかどうか。

この問題は根が深いです。

時間も必要です。

それでも喫緊のテーマであることに間違いありません。

あなたも自分の問題として考えてください。

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地球を覆う大気の層は既に熱を放出できなくなりつつあるのです。

このテーマは必ず今年の試験に出題されます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【小論文】世界が合意したSDGs(接続可能な開発目標)に着目する
国連サミットで決まったSDGs(接続可能な開発目標)。これに関する問題が高校入試の小論文によく出題されています。ポイントがどこにあるのか、きちんと確認しておきましょう。大変に難しいテーマですが、コロナ後の世界のあり方をまさに示しています。

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