【小論文のキモ】主語を私にすると文が感覚的になり論理性が欠如する

学び

主語がポイント

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は主語にこだわってみました。

文章を書くことに慣れていないと、どうしても主語が曖昧になってしまいます。

1つ1つ文を積み重ねていく時に強く意識しなくてはダメです。

初心者はつい「私」を連発しがちです。

「私は~思う」式の論文を書きがちなのです。

これは絶対にNG。

小論文はどこまでいっても論理優先の文章です。

それなのに「私は~思う」という文があると、確かにあなたはそう考えるかもしれない。

では他の人も同じなのかという問いかけが当然出てきます。

あなたがそう思うのは勝手です。

しかし他の人が違うことを考えていた場合、どうやってその論理の整合性をまとめるのか

そこまでの方法論を持っているのかという問いかけが必ずなされるのです。

自分が直接経験したことなら、なんとか説明できるかもしれません。

感じたことをまとめているうちに、「私は~思う」と書くのは自由です。

しかし主観に頼って判断した内容を結論にまで引き伸ばした時は話が複雑になります。

本当にそれで多くの人を納得させられるのかどうか。

ただ私が思ったと書くだけで、読者はその通りだと考えるでしょうか。

その説明のために、かなりの字数が必要なのではないですか。

あるいは説得が不可能になるケースも考えられます。

個人的なテーマならば、それでもなんとかなるかもしれません。

しかし小論文には社会的な内容が多く出題されます。

その時に「私は~思う」式の文をただ書いたのでは評価されません。

ではどうしたらいいのか。

「私」を避ける

答えは簡単です。

主語を「私」にしないことです。

わかりやすくいえば、新聞と同じタイプの文章を書くのです。

朝日新聞記者だった森本哲郎という評論家はかつて『私のいる文章』という本を書きました。

これは記者の苦しさをまとめたものです。

新聞記者は絶対に「私は~思う」という記事を書いてはいけないと教えられます。

新人の頃から「私」は禁句になるのです。

どんな時でも一般論として耐えられる文を書けと先輩に叩き込まれます。

自分の名前を出して署名記事を書く時だけ、封印された「私」が許されるというワケです。

逆にいえば、それくらい「私」には強い呪縛力があるのだと考えてください。

geralt / Pixabay

主語をきちんと選べば、それだけでかなり社会的なテーマにそって論理的な文章をまとめることができます。

試みに1度新聞記事を読んでみてください。

どこにも「私」はありません。

誰が読んでも、まさにその通りだと納得できる文でなければ、記事にはなりません。

初心者は作文や感想文以外に文を書くという経験をしていません。

思ったことをまとめればそれでいいのだろうと勝手に理解しています。

それが大きな失敗の元です。

小論文の試験でも同じことをしがちなのです。

ここで方法を学んでください。

よそ行きの言葉

どうしたらいいのか。

少しよそ行きの言葉を使ってください。

これが小論文成功の秘訣です。

使う言葉も、どちらかといえば漢字主体の方がいいです。

もちろんカタカナ語もなければ、形が整わないということはあるでしょう。

それでもなるべく漢字主体のフォーマルな表現でまとめること。

無理に知らない言葉を使う必要はありません。

しかしどこへ出しても恥ずかしくない表現でなければなりません。

それだけで隋分と文章の格があがります。

わかりやすく言えば、大人の文章になるのです。

それが正確に書ければ、評価は高くなります。

しかし道のり簡単ではありません。

どうしたらいいのか。

mohamed_hassan / Pixabay

まず、言葉を知らなくてはなりません。

語彙を増やすことです。

どうしたらいいのか。

基本は読むことです。

読まなければ書けません。

新聞でも雑誌でもネットでもなんでもいいです。

ただし社会的な内容の記事を意識して読んでください。

SNSのためのリテラシー、SDGsの未来と言われて、それがなんのことかわからないようでは話になりません。

AI社会の可能性というテーマで書く問題が出た時も、その構造が基本的にみえていなければ、課題文を読んだだけでは無理ですね。

基本的なことをわかりやすく解説した新書をお勧めします。

スキマ時間を有効に

わからないこと、不得意な分野を中心にスキマ時間を使いましょう。

ネットでもかまいません。

わかりやすく解説したページがあります。

記事の1つ1つを身体に染み込ませるように読んでください。

そうすれば力になります。

実際どのような内容の課題文が出ても、対応できるだけの力をつけておかなければなりません。

もちろん、これが正解などというものはないのです。

その場でこしらえていく力がどうしても必要です。

学校によってはこの言葉を必ず文中に入れなさいという指示があったりもします。

あるいは体験を交えて書きなさいというものもあります。

「私」を主語にしていいのはその時だけです。

ただし全体の分量の30%にとどめること。

geralt / Pixabay

例示は文章の流れを止めるものであってはいけません。

そこだけ浮いた印象を与えてしまいがちなのです。

特に「私」が出てくる文章が続くと、それだけで全体のバランスが崩れてしまいます。

理解できましたか。

苦しいですけれど、最低限このことだけは守ってください。

何回も練習している間にだんだん論文の文体が自分のものになっていきます。

その段階にまでなれば、もうこっちのものです。

最後にもう1度だけ繰り返しておきましょう。

「私は~思う」式の文を書かないこと。

これだけ言っても、実際はこのタイプの文章ばかりが並びます。

それだけ論理的な文を書くということは難しいのです。

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あらためて肝に銘じておいてくださいね。

最後までおつきあいいただきありがとうございました。

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