知識は落とし穴
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回はNG小論文のヒミツにせまりましょう。
特に優等生と言われている人の答案に多く見かけるパターンです。
たくさん勉強することは、けっして悪いことではありません。
多くのことを知っているのは知らないのより、はるかにすばらしいのです。
しかし程度があります。
人間はともすると、自分の知識を人に知ってもらおうとしがちです。
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それが小論文では落とし穴になるのです。
こんなに書いたのに、何が悪いのとつい訊きたくもなりますよね。
なんといっても課題文のテーマにあわせて、自分の知識を披歴したのです。
それのどこがいけないというのでしょうか。
採点者のハートになぜ刺さらなかったのか。
不思議で仕方がありません。
しかしそこに大きなワナがあるのです。
小論文は自分の知っていることを書く場ではありません。
それは大学に入ってから論文にしてください。
受け売りの知識はいりません。
極端なことをいえば、教科書に書いてあることを1度は全て忘れるくらいの覚悟が必要です。
せっかく勉強したのに、それを否定するのかと言われても困ります。
なんのために小論文の試験があるのかを考えてみてください。
大学はあなたの持っている知識の量を計りたいワケではないのです。
そういう試験がイヤだから、小論文という新しい書かせるタイプのテストを始めたのです。
つまりその場で与えられた課題や資料の中から、何が論述できるのかという瞬発力を調べたいのです。
模範解答はダメ
どうしても自分が知っている分野のテーマが出ると知識を披露したくなるのが人情というものです。
蘊蓄という言葉がありますね。
ウンチクと読みます。
その内容についての細かな知識です。
こだわりです。
誰でも自分が専攻したいと思っている教科内容については、ある程度のことを知っています。
当然、大学側も志望にあわせた課題を提出してくることは予想できます。
偶然、自分の知識と課題文の内容が合致したとしましょう。
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ガッツポーズが自然に出てきそうですね。
よしこれなら書けるということになります。
しかしそこが1番の落とし穴なのです。
いい気持になって歴史の事実や、科学の内容、さらに音楽の理論などを振り回されても困るのです。
採点者は受験生よりも、知識が豊富なことは言うまでもありません。
小手先のことで相手を感心させて、なんとか大学へ滑り込もうという手は通用しません。
知識があってはいけないと言っているのではないのです。
それを一旦忘れましょう。
課題文にある内容だけを精査してください。
そこに繰り広げられたテーマの中で何が言えるのかを考えるのです。
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具体的には何を言えばいいのか。
問題点を探すのです。
どこに解決すべき課題があるのか。
それだけを必死に探すのです。
その時に知識を役立てることは言うまでもありません。
しかしそれをいちいち書く必要はないのです。
優等生は批評家になりやすい
優等生にもいくつかのタイプがあります。
積極的になんでも自分からやる人がいます。
人のやりたがらないことも引き受ける人です。
こういう型の人は多くの友人から支持されますね。
その反対はどうでしょう。
他人のすることをじっと見ていて、悪いところがあるとすぐに批判をする。
それも表立ってやるのではありません。
陰にまわって言うのです。
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これは最低です。
小論文でもこれをやったらNGです。
批評をする時、自分の知識をひけらかすというオマケまでついたら、もう何も言うことはありません。
小論文はこういう態度と正反対のところにあるのです。
自分の考えを必ず前面に出しましょう。
課題文の中でここならば書けそうだというところを見つけたら、そこを深掘りしていくのです。
テーマについては、今までさまざまな記事にしました。
今年は新型コロナウィルスの蔓延により、世界の様相が激変しました。
現在も集中豪雨による被害は拡大する一方です。
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災害に関する問題が多く出題されるものと思われます。
だからといって調べておいた内容をそのまま置きにいくようなことをしてはいけません。
自分で調べた知識をワンセット蓄えておいて、それをそのまま文章の中に貼り付けようとする態度です。
こんなことをしたら必ず不合格になります。
自分の言葉で
問題を見つけたら、解決策を考えるというのが基本です。
自分の意見を書くのです。
だれかの借り物をそのままペーストするのだけは絶対にやめましょう。
必ずバレます。
大学でもコピペの問題は深刻です。
レポートを書かせると、どこかの研究紀要にあったような文をみつけてきて、それをコピペするのです。
案の上、後で面接をして質問すると何も答えられません。
これに比べれば自分のものになった知識を書く方がまだましでしょう。
あなたの知識は古びたものになってはいませんか。
今では錆びついて通用しないものかもしれません。
または他の人があちこちで使っているフレーズの焼き直しになってしまっているのかもしれないのです。
災害の問題1つにしても、毎日変化しています。
それを自分の言葉で表現することの方が、どれだけ重要な意味を持つことでしょうか。
どんなに稚拙でもかまいません。
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試験場で考えた自分の提案、自分の問題意識をそのままぶつけてください。
採点者を信じていいと思います。
人間ですから、必ずセンサーが反応します。
そこに未熟ではあっても真摯にものを考えようとする態度がある限り、高く評価されるはずです。
みつけた問題点は小さなものかもしれません。
しかしそれを全力で押し開き、テーマを先に発展させてください。
みなさんの力を信じています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。