書き方のヒミツ
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
いよいよ新学期が始まりました。
教科書も新しくなり、モチベーションもあがっているのではありませんか。
今がチャンスですね。
新しいことをやるのには、なによりそのスイッチが大切なのです。
1年間切らすことなく、コンスタントに勉強を続けていく。
それがなにより大切です。
そのためにはどうしたらいいのか。
勉強を習慣化してしまうことです。
小論文の場合を少し考えてみましょう。
大多数の生徒にとっては、今までやったことのない内容です。
小論文という言葉は知っていても、それが作文とどう違うのかははっきりしていません。
なんなく理屈っぽい文章を書くのかなということぐらいでしょうか。
はっきりとしたイメージは浮かんでいないケースが大半でしょう。
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新学習指導要領によれば、2年生から『論理国語』と『文学国語』に分かれるとあります。
新1年生からなので、当面今年の受験生がその授業を受けることはありません。
しかし流れはひたひたと傍まできています。
明らかに数年前よりも、今年の入試では論理を意識した文章が多く出題されました。
課題文やグラフなどを読み取りながら、そこに理由や説明を求めるタイプの問題です。
なんとなく自分の考えを書くというのではなく、明らかに証明を求めているのです。
この流れは来年以降、加速されることは間違いありません。
正解を導くといっても、ただ単に選択肢の中から選ぶのではなく、自分で書き込んでいくのです。
つまり、小論文的な思考形式が増えていくと思われます。
日本の作文教育
日本ではほとんどの学校で小論文教育を行ってきませんでした。
もちろん、作文指導をしなかったワケではありません。
学校行事などでは必ず感想文を書かされたことと思います。
その他、夏休み明けには読書感想文なども提出したことでしょう。
しかしこれらの文章は基本的に自分がどう思ったのかという共感を原点にしたものが圧倒的です。
論理の流れを必要とするものではありませんでした。
逆にいえば、あまりに論理的な文章は教える側にとっても苦痛だったのです。
そのためのメソッドもありません。
カリキュラムの中にそうした論理型の小論文授業を持ちこむことはなかったのです。
ある意味で型を学ぶという授業がどうしても必要な時期になりつつあります。
その理由の最大のものは、地球のグローバル化です。
言語を使って相手を説得する。
自分の考えを広める時に最も大切なのは論理です。
主張の正しさを誰にでも正面から突き付けるという行動です。
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そこに情緒が入り込む余地はありません。
もともと感性が豊かで季節感にあふれた環境で暮らしている日本人にとっては、もっとも苦手な分野なのです。
しかし経済重視の世界の中で、おもてなしの心だけでは先へ進まない場面も多くなってきました。
阿吽の呼吸で全てを察しあうということがいかに難しいのかを、知りつつあるというのが現状です。
国際社会の中で、意志を疎通することの難しさは並々のものではありません。
そこに登場したのが新しい学問観による小論文なのです。
背景を理解できたでしょうか。
それではどのようにしたら書けるのか。
その具体例をみていきましょう。
設計図を正確に
小論文の基本が論理にあることは再三述べてきました。
基本の型にそって表現をしていく方法を身につけていくことが大切です。
1番大切なのは効率性です。
無駄なくストレートに相手の胸に飛び込む。
つねに直球勝負になります。
相手の感性に訴えようとしても、宗教や地域性によって理解されないこともあります。
そこで必要なのがチャート図です。
羅針盤にそって進む。
そのための設計図を最初に描いてしまうことです。
これがうまく短時間でできるようになれば、失敗することはありません。
問題文の隅に簡単にメモをしてください。
できたらそれぞれの内容についての文字数を書き込みましょう。
小論文は常に型が決まっています。
その型を崩さずに書いていけば、大きく外れることはありません。
よく言われる起承転結や序論本論結論がそれにあたります。
起承転結に関していえば、「転」の部分はいりません。
これはエッセイの時に気分転換をするためのものです。
論理重視型の文章には必要ありません。
制限字数、800字でイメージしましょう。
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200~250、400~450、150~200くらいのイメージで3つに分けます。
第2段落は200字ずつに分けてもかまいません。
第1段落の序論で問題提起をします。
どこにこの問題の主眼があるのかを提示するのです。
この方向で文章を書きますという宣言です。
賛否をあらかじめ書いてしまってかまいません。
少し断定的に強く書きましょう。
「である」調以外は使わないことです。
主張の根拠、理由
第2~3段落にかけては、もっぱら主張の根拠と理由を示します。
ここがもっとも大切なところです。
自分の経験などを示しながら説明することもできます。
あまりたくさん根拠を示そうとすると、文章のリズムが壊れます。
2~3でとどめておくべきです。
そうはいってもこういう考え方もあると少し立ち止まって自分以外の考えを冷静に検証する姿勢があるとなお、評価があがります。
それだけ全体を見ているということが明確になるからです。
いずれにしてもこの真ん中に挟まれた段落が小論文の命なのです。
結論は流れにまかせましょう。
やはり他の意見を考えてはみたものの、やはり最前の論点に戻るとすれば、文章に力が入ります。
ここまでの筋道を数分以内でまとめ上げられますか。
それが文の構成力なのです。
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設計図が綿密に出来上がったら、あとは書くだけです。
何度もやってみるとわかりますが、案外時間はかかりません。
むしろ、この全体図、鳥観図の作成が命だと思ってください。
そこから先は自然に進みます。
とはいえ、練習が必要です。
さぼらずにやり切る。
このスキルは一生ものです。
ずっと使えますよ。
信じて試みてください。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。