成績をつけない場所
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
登校拒否の子供たちがあとをたちませんね。
どれくらいいるのかご存知ですか。
不登校,学校不適応ともいいます。
文科省は年間50日以上欠席した児童生徒を登校拒否児と定義しています。
年々増加しているのです。
もちろん性格によるケースもあるでしょう。
しかし今では学校や家庭などを含んだ社会的原因が重視されています。
そのため、担任の先生だけではカバーできなくなっています。
スクールカウンセラーや教育支援のための専門スタッフを常時配置したりしているのです。
2021年度、都道府県別の不登校生徒数は次の通りです。
小学校 中学校 高校
1位 東京都6,411人 東京都12,628人 大阪府4,980人
2位 神奈川県5,175人 大阪府9,817人 東京都3,516人
3位 大阪府4,508人 神奈川県9,533人 神奈川県2,867人
圧倒的に大都市に集中しているのがよくわかります。
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人口が多いのですから、ある意味当たり前です。
そこで都道府県別1000人当たりの不登校生徒数もみてみました。
数字は以下の通りです。
1位 沖縄県15.3人(小学校)高知県50.5人(中学校)滋賀県24.6人(高校)
2位 島根県14.6人(小学校)北海道50.3人(中学校)鹿児島県24.3人(高校)
3位 長野県13.1人(小学校)福岡県46.7人(中学校)大阪府23.3人(高校)
必ずしも大都市に集中しているというワケではありません。
この数字をまず頭に入れておいてください。
中学校が突出
不登校の生徒が増えるのは、明らかに中学校時代からとみることができますね。
もちろん、小学校から続いているケースも多いです。
しかし中学生になると、それが2~3倍に膨れ上がります。
なぜなのでしょうか。
最初にすぐ頭に浮かぶのは学習への不適応です。
急に内容が難しくなりますからね。
授業についていくのは大変です。
ほとんどの生徒が3年後には高校へ進学します。
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そのためのプレッシャーは並々のものではないでしょう。
中間、期末などのまとまった試験が数日間ずつ、各学期にあります。
学期末には5段階評定もでます。
この重圧は誰にでも十分に想像できます。
ちょっとしたつまづきが登校を妨げる要因になり得るのです。
もう1つ大切なことは人間関係構築の難しさです。
いじめとまではいかなくても、ちょっとしたからかいなどが発生するケースもあります。
当事者たちはそれほどに重く受け止めていない場合でも、からかわれる側の生徒からみれば、非常につらいことです。
昨今はSNSなどを通じて、教師や親にわからない形でいじめを行うケースもあります。
その他、体調不良がしばらく続くケースなども起こります。
昨今では不登校が社会的に認知されてきました。
無理に登校させることはないと考える親もいます。
不登校の生徒だけを預かる特別教室を開いている自治体も多いのです。
そうしたところに通っている間に、学校への足が遠のいてしまうということも当然あるでしょう。
クラスに2~3人は
1000人当たりの不登校数をみると、1位の高知県では50人の中学生が学校に通っていません。
つまり100人当たり5人です。
通常ならば中学校の場合100人では3クラス編成になります。
とすると、各クラス1~2人不登校生徒を抱えることになります。
さらに学年の途中からポツポツと増えていきます。
理由は本当に様々です。
コロナで神経過敏になる生徒も出ています。
家庭の事情も大きく作用しています。
二グレクトの親のケースもあります。
あるいは夫婦仲が悪く、離婚するケース。
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さらに家計が苦しくなり、子供にまで目が行き届かない場合もあります。
この世に存在するありとあらゆる場合が全て彼らの肩にのしかかってくるといってもいいでしょう。
最近ではヤングケアラーの存在なども注目されています。
中学生くらいになると、家庭の事情を教師にきちんと伝えないケースも出てきます。
カウンセラーがいくら面談をしても埒があかないということもあります。
それでなくても教員は多くの生徒を抱えています。
登校拒否の生徒に対してはとりわけ、時間を割かなければなりません。
学校全体のバックアップがないと、なかなかうまくいかないというのが現状です。
評価が重い
小学校でもよくいわれることですが、児童が教室に辿り着けないという現象があります。
人間関係がうまくできあがっていないと、机に向かっているだけで息苦しくなってくるのです。
現実に過呼吸を起こす生徒もいます。
頭痛、腹痛、めまいなどは実によくみられる症状です。
その場合は、すぐに養護教諭が間に入ることになります。
今は保健室が非常に大切な場所になっています。
フル稼働といってもいいのではないでしょうか。
たえず症状を訴える生徒がいるというのが現状です。
保健室の大切な要素の1つとして、誰もが口にする言葉があります。
それは成績をつけない場所だということです。
教室に入るとということは、すぐ成績に直結します。
生徒は内申書の存在を知っています。
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近年の観点別評価は非常に厄介なものです。
単純に1~5までの評価をつけるワケではありません。
授業態度や、興味、意欲、関心といった項目に分けて、A、B、Cなどに分けていきます。
さらに提出物の存在なども大きいのです。
ちょっとした小テストから、感想文まで全てが評価の対象になります。
それらを積算した最後のものが1~5までの総合評価になるのです。
教員はたえず評価をつけ続けなければなりません。
これはやってみるとわかりますが、想像以上に苦しいです。
ぼく自身、中学校の講師を短い期間でしたが2度ほどやりました。
その時にはじめて、この観点別評価を試みたのです。
実に大変でしたね。
この視線が生徒をある意味で委縮させてしまうのかもしれません。
最近の私立受験の背景には成績のあり方も関係しているような気がします。
パラメーターを幾つもつくって正確に評価をするというのは、容易なことではありません。
道徳の授業にまでそれが及ぶのです。
どのような感想文を書けば、評価が高くなるのか。
勘のいい生徒ならば、いち早く教師の意図を察知してしまうかもしれません。
不登校の問題は、学校現場を疲弊させています。
朝、親からの電話を受けるのを自動応答システムにした学校もあると聞きます。
現場はそこまでいってしまっているのです。
あなたはどう思われますか。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。