課題文の読解
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
小論文の指導を20年以上やっています。
今回は課題文の攻略法について考えましょう。
最近は大学入学者の半数が推薦入試を利用しています。
自己推薦、一般推薦、指定校推薦、AO入試などと名前はさまざまです。
基本的には高校時代の内申書、小論文、面接の3点セットで合否が決まります。
AO入試などでは内申書、特に評定平均値を必要としないケースもないワケではありません。
しかし基本はこの3点セットだと考えておけばOKです。
高校時代にきちんと学業に励み、クラブ活動や委員会活動をどのように行ってきたのか。
それをみれば、大学入学後の様子もだいたい想像できます。
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ある意味、保証書と同じなのです。
学校によっては担任だけでなく、クラブの顧問、地域活動の指導者などの推薦書を必要とするところもあります。
全てが入学後の保証に支えられているといってもいいでしょう。
それでも入試のポイントはやはり小論文と面接です。
ここで全てが決まると考えてください。
特に文章を書かせるケースがポイントです。
一定程度の語彙を持ち、論理的に文を構成する力があるかどうか。
ここをみれば、ほぼ全ての学力が推察できます。
それくらいに文章は人をあらわすのです。
一言でいえば、怖いですね。
最近の小論文は課題文型とグラフの読み取り型に分かれています。
圧倒的に多いのが課題文型です。
つまり評論文型の文章の構造をきちんと読み取らないと、合格に辿り着けないということなのです。
頭を整理して
受験したい学校の過去問をまずチェックしてください。
これは必須です。
学校によってかなり内容が違います。
あらゆる手段で集めてください。
そして問題文を読む。
この時に必要なことは何か。
文章の構造を正確に読み取ることです。
筆者の立ち位置、論理の基本。
特に対立の構造を見破ってください。
どこに筆者は目をつけて、文章を書いているのか。
何を言おうとしているのか。
内容は多岐にわたっていると思われます。
①主題として、何を扱おうとしているのか。
②背景にはどのような問題があるのか。
③解決策としてどうすればいいのか。
この3点が基本です。
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これさえ見抜ければ、文章はまとめられます。
あくまでも筆者の立場にたって謙虚に読んでください。
すぐにYesNoで答える必要はありません。
まず、書き手の立場にどっぷりと浸ることです。
練習の場合はどうすればいいのか。
筆者の文章の内容を他者に説明するのです。
これが1番いい方法です。
他者への説明
本当に理解できていれば、隣にいる友人にきちんと言葉で説明できるはずです。
国語の授業でもやってきたかもしれません。
しかし先生がわからないところを継ぎ足してくれたこともあったでしょう。
それではダメです。
全て筆者の論点を構造的に説明してください。
途中でわからなくなったということは、理解できていないということの証明なのです。
本当にわかっていれば、必ず説明できます。
そこまで文章を読み込んでください。
対立の構造がどのようなものであるのか。
抽象的に説明してある部分と具体例の比較。
全てを自分の言葉で言いなおします。
そこまでやることが文章を書くための導入部分です。
できますか。
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友人に課題文の内容を説明するというのはいいですね。
相手が、わかったというまで説明しましょう。
そこまでいって、ではあなたはそこから何を書くべきかという次の段階が始まるのです。
頭の中が整理されていなければ、他者は必ずわからないという態度を示します。
その場合はもう1度読み直して、マークしなくてはなりません。
テーマの背景がきちんと理解できていないのではありませんか。
解決策だと筆者が述べている方法に対して、納得していないということも考えられます。
いずれの場合もやりなおしです。
そこまでやって自分との対比に移ります。
内容のある文章を書く作業はここから始まるのです。
身近なことから考える
ポイントは定義、根拠、原因理由、方法論です。
筆者の文章の中に書いてあることがらを自分の身のまわりに取材してください。
何か共通の問題はありませんか。
自分の家の近くに住んでいる外国人の人たちとの間に、意志の疎通がうまく図られないということがあった。
例えばゴミの捨て方です。
あるいは草むしりの行事への参加。
町内会の役員決め。
挨拶の仕方。
なんでもいいのです。
国際化の問題などと大上段にかぶってしまうと、テーマがみえなくなってしまいます。
しかしこの幾つかの事例の中には、筆者が論じようとしたことと同じか、または正反対の内容が含まれているかもしれません。
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そこから筆者が言及しなかったことに、割り込んで自論を展開することが可能です。
ただ後追いの記事を書くだけでなく、別の角度から光をあてることで、全体の内容が膨らんでいきます。
そういう新しい視点を論理的に組み立てられる能力は、貴重なものです。
大学は新入生に突飛なまでの学力を求めているワケではありません。
これから先、勉強を続けて少しずつ伸びていく可能性にかけたいのです。
そうした学ぶ姿勢をもった生徒であれば、喜んで入学を許可するでしょう。
正解は1つではありません。
あなた独自の文章が光る所以です。
違いを探し、対立点を明確にする。
特に課題文の中にある抽象論の部分に着目して下さい。
そこにヒントがつまっています。
その1つ1つから具体的に自分の周囲をみまわしてください。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。