【小論文・勉強することの意味】教育系大学に頻出する問題はコレ【核】

学び

勉強することの意味

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は勉強することの意味というタイトルの問題をやりましょう。

国立大学の教育系学部に出題されたものです。

グラフの読み取り問題です。

国立教育政策研所が小学校4年、5年、6年を対象に実施した学習指導要領実施状況調査から回答が50%を超えた4つの質問項目を抜粋したものです。

内容は「ふだん何のために勉強をしていますか」という問いに対してのものです。

実際のグラフでは選ばれた4つの回答を見てみましょう。

「将来好きな仕事に就くのに役立つから」というのはどの学年でもほぼ同じで63%です。

これは小学校4年、5年、6年と数字が変わりません。

その次に「普段の生活や社会に出てから役立つから」というのはだんだん学年が上がるにつれて増えていきます。

4年生で58%、6年生で65%です。

逆に「よい成績を取りたいから」というのは学年が上がるにつれて段々下がります。

最後に「わからないことを知りたいから」というのは6年生になるとほぼ52%ぐらいです。

ちなみに小学校4年では63%ぐらいあります。

細かく見ていくと、「将来好きな仕事に役立つか」と「普段の生活や社会で役立つから」の2つの項目において学年が上がるにつれて回答者の増加が見られます。

「よい成績を取りたい」と「わからないことを知りたいから」と回答した者の割合が学年とともに低くなっているのです。

問題はこの結果をふまえて、あなた自身の意見を次の2点に触れながら600字以内で記述しなさいというものです。

①なぜこのような結果が現れると思いますか。
②将来あなたが児童や生徒と接する際に「勉強することの意味」をどのように説明しますか。

この2つです。

子供が成長するにつれて勉強することの意味を時間的にも空間的にも学校外に求めるようになるのはごく通常の形でしょう。

そこだけを論点としてまとめただけでは600字の内容としては、新鮮味がありません。

最近、学校の先生はブラック労働だと言われ、希望者が非常に減っています。

教育系の大学では小論文を採点しながら、学生の資質を見ることに躍起になっています。

本当に学ぶことの意味をきちんと理解していないと、その場しのぎの学習になってしまう可能性があるからです。

それを避けるため、小論文や面接を通してその人柄に近い部分まで踏み込んで評価しようとする出題傾向が見られます。

過去問をチェック

過去問を読めば、そのあたりの事情がよくわかるはずです。

教育にまつわるトピックを扱った小論文問題を多く解いてみてください。

このグラフ問題は、それほど複雑な内容のものではありません。

しかし正確に内容を読み取る必要があります。

グラフや表の読み取りで1番大切なのは、共通点と相違点のチェックです。

特に相違点についてはどこが違ったのかに着目することです。

違うところに目を付けてください。

共通点については基本的に同じです。

それよりもやはり違いの方が大切です。

大きな変化があれば、その意味を類推してください。

グラフが急激に伸びたり下がったりする変化の把握が大切です

この問題では600字での意見論述ですから、いきなり結論を決めて進もうと思っても途中で内容が少し変わってしまうということもあるかもしれません。

そうなると時間がなくなってしまいます。

書き直しは避けなければなりません。

ある程度内容をチェックしながらアイデアや箇条書きスタイルで書き出してみましょう。

その後で、議論の方向性などを固めていくのがいいと思います。

書きやすいテーマから

書きやすいテーマとしてはどんなことがあるのでしょうか。

4つの回答を見ながら、数字の変化が似たものをセットにして論じる方がいいでしょうね。

小学校4年と6年では、成長の内容が驚くほど違います。

急激に社会性が身についてくるのが6年生なのです。

それだけ、世の中が広く見えてきます。

高学年になるほど、「就職や生活社会に出て役立つ」というのが次第に上がっています。

「成績のため」とか「わからないことを知りたい」というのはだんだん減っています。

学校の持つ役割がかつてとはずいぶん変わっているという推論は成り立つでしょうか。

今はネット社会です。

学校へ行かなくてもネットで自分で調べることが十分可能になってきました。

それがこのグラフの読み取りからも得られるのではないかと思います。

新しい学習指導要領が次々と始まっています。

学校を取り巻く問題は山積しているのです。

以前までとは違うフェーズに向かっているといっても過言ではありません。

社会で起こっている現象が、学校に凝縮されているとも言えます。

かつてなら、わからないことはすべて学校で取り上げる範疇の問題でした。

先生に訊く。

図書室で調べる。

どちらもあたりまえのことでした。

しかし世界があまりにも複雑になりすぎ、学校で処理できる内容は限られています。

その実態を児童たちが肌で感じていることの証左でもあります。

親が学校に寄せる期待も下がりつつあります。

難しい時代に入りました。

学校をとりまく現状

ここではたった1つのテーマを取り上げてみました。

あなたははどうお考えでしょうか。

特に最近は教師の多忙が言われています。

親の過剰な期待の中で教師の能力の格差のようなものも口にされるようになりました。

以前なら、噂のレベルで済んでいました。

しかし今はSNSの時代です。

ちょっとしたことがすぐに投稿され、広がってしまいます。

情報化との戦いの時代でもあるのです。

教師は個人情報の保護を常に求められます。

教師と生徒との距離もかつてと同じではありません。

高校などでは進学実績を上げる必要もあります。

学校間での生徒獲得競争も熾烈です。

結局は合格実績の高い学校へ生徒が流れていく傾向が強いのです。

少子化の問題も当然あります。

中学受験が盛んな地区とそうでないところの格差も指摘されています。

そこへもってきて私立の学費を行政が負担するようになりました。

しかし学費はそれだけでは済みません。

塾代などにかかる費用が増大しています。

入試制度もめまぐるしく変化し、それに対して、親も動揺しています。

大学付属中高校の人気などが拍車をかけています。

そうした環境の中で小学生たちも、無縁なワケではありません。

親や教師の変化を日々見ています。

この問題はどこからでも切り込むことが可能です。

ただし字数との関係はきちんと守ってください。

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AIの時代に入り、記憶することの意味が大きく変化しました。

新しい教育環境の中で、教師を目指す人にとっては難しい局面に入っています。

今回も最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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