【小論文・オンライン教育】一斉授業との差を徹底検証する【長所短所】

学び

オンライン教育

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回はオンライン教育について考えてみます。

2020年、新型コロナの大流行によって、全国的に学校が休校となりました。

その後しばらくして、オンラインでの授業が始まったのです。

学校現場は現在も試行錯誤の状態が続いています。

ICT教育にはやくから取り組んでいた学校と、そうでないところとの格差もかなりあります。

公立と私立との違いも、マスコミでは大きく取りざたされました。

教育関係の大学、学部ではさっそくこの問題を取りあげ、小論文の問題にしています。

オンライン授業における教師の役割とは何か。

学校の存在意義とは何か、などというより根源的な設問が投げかけられました。

その中で、「オンライン教育のあり方」という真正面から向き合ったテーマを題材にした大学も数校あります。

今回はその中で、佐賀大学教育学部の後期試験に出された小論文を考察してみましょう。

発言者は学校教育コンサルタントの為田裕行氏です。

『先端教育』(2020年7月)という雑誌に掲載された記事が出典です。

タイトルは「授業とは、教師の役割は何か。問い直される学校の存在意義」という文章です。

制限字数は800字、時間は100分です。

佐賀県は生徒向け教育用PCの普及率が、低い県として知られているようです。

それだけに、ICT教育の普及については強い関心を持っていると言っていいでしょう。

新しい時代に即応した教育と機器との関連は、喫緊のテーマだったと思われます。

解答を準備するにあたって、何が必要なのか。

オンライン教育に対する自分の考えを書くにあたって、何がキーポイントになるか。

その見極めがなかなか難しいともいえます。

制限時間に余裕があるので、メモをしながら、自分はどのように教育を受けてきたかを反芻してもかまいません。

対面授業とリモート授業という二項対立をうまく利用できれば、違いのはっきりした論文にすることもできるでしょう。

最初に課題文を読みましょう。

全体は長いので一部、割愛してあります。

課題文

現在のオンライン教育は、まだまだ地域、学校、クラスに縛られていると為田氏は言う。

極端な話、プログラミングと英語の授業は学校とは別のオンラインスクールで学び、算数はオフラインで学校で学ぶといった選択ができるのがオンライン教育の良さである。

また、個別最適化の学びという場合、多くは先に進んでいく方をイメージするが、例えば、小学5年生の教室にいても、分からない部分があるなら、小学3年生の授業を聞ける。

それが自由にできるのがICTの力で、オンライン教育の良さと言える。

一方で、これまで学校という「場」にいたからこそ、勉強できていた子は多くいるだろう。

オンライン教育は「自分でやらなければいけない」部分が大きい分、自己調整力が必要である。

モチベーションを自分でコントロールして勉強を進めていけない子は、どんどん学習が遅れてしまう怖れもある。

pixel2013 / Pixabay

オンライン、ICT、デジタルを使いこなすことで縮まる格差もあれば、オンライン、ICT、デジタルで拡大する格差もあるということだ。

新型コロナウィルス感染症をきっかけに、オンライン教育が否応なく進んでいく。

その影響をより大きく受けるのは、学校、先生側より授業を受ける子どもと保護者だろうと為田氏は言う。

特に、公立の小学校や中学校では、もともと学力差のあるところに加え、オンライン学習で自分で勉強できる子、できない子、同じ課題を5分で終えていた子、30分かかっていた子、終えられなかった子が一緒になって教室に戻っていく。

そうなった時に「今までの一斉授業って何だったのだろう」「これまでの授業と同じでいいのか」という問いは必ず生まれてくるはずだ。

「先生は、今まで以上に拡大している学力差と学びへの姿勢の差に直面する。さらに、遠隔授業で受けたものも単位に認めるとなってくると、「学校って何なの」という話になる。

「プリントを配って採点し、成績がつくだけでいいのか」とどんどん学校側にボールが投げられていく。

学校には学校のリアル教育の価値がある。

オンラインである程度できると分かった後に、ICTですべきこと、リアル教育ですべきことは何か。

「学校はこうあるべき」という次の思考に進められるかどうかで、学校間の差が出てくることになるだろう。

考え方の基本

課題文はインタビューをもとにしてまとめた文章です。

話し言葉を元にまとめたので、理解しづらいところがあるかもしれません。

それだけにキーワードを取り出すのが少し難しいケースもあります。

一般的には、論点のポイントになる部分は必ず抽象的な表現の中心にあるのです。

それを忘れないでください。

ここでは何でしょうか。

「先生は、今まで以上に拡大している学力差と学びへの姿勢の差に直面することになるでしょう。さらに、遠隔授業で受けたものも単位に認めるとなってくると、「学校って何なの」という話になる。

この部分の表現は重いですね。

つまり学力差と学びの姿勢への姿勢の差が、リモート授業でより如実に出てしまうということです。

今までは一斉授業のため、なんとなく授業に参加していたという生徒も多いはずです。

それが自分の意志で内容を選択しながら、先に進んでいかなければならないことになります。

さらに集団で学ぶことと、自宅で個人学習をすることの意味は何であるのか。

この内容に合致した体験があれば、その時あなたが何を思ったのかということを書くことも可能でしょう。

メリットとデメリット

当然、感染症にかかる確率が一気に下がるという意味で、このタイプの授業が有効なことは間違いありません。

不登校気味の生徒にとっては恩恵になります。

しかし実際に十分活用できる機器が用意できなければ、参加することはできません。

学校から貸し出してもらったタブレットなどを、どう使いこなすのかというスキルも同時に必要となります。

当然のことながら、コストも発生します。

それ以上に問題なのは、そこまでして自分のモチベーションをあげ、授業に参加できるのかということです。

1つの経験談の例としては次のようなことがあります。

これはある知り合いのケースです。

ある教材会社のストリーミング授業を契約してみたものの、最初だけはパソコンの前で受講したようです。

しかし、数か月するうちにだんだん続けて聞くことが苦痛になっていったというのがあります。

結局、自分は学校へいってクラスの中で一斉に学ぶ授業だからやってこられたのだという、思いが強まったということのようです。

確かにこのケースは十分に想像可能です。

個室で黙って1人で勉強を続けられる生徒には向いているものの、全てがその資質を持っているとは限らないからです。

ではリモート授業は緊急避難のシステムにすぎなかったのかどうか。

ここをきちんと分けて論じる必要があるでしょうね。

結論はどちらでもかまいません。

メリットとデメリットがどの程度拮抗するのか。

そのレベルを明確に認識しながら、文章をまとめてください。

これを成長の契機とするという考え方もあります。

従来の一斉授業の補完システムとして活用するという路線も考えられます。

主体性をもって学べる人間を養うという意味での、存在意義も成り立つでしょう。

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さまざまな角度から、考えて文章をまとめてみることです。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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