【小論文・遺伝子組み換え】安全性か効率かで大揺れ【生物多様性】

学び

殺虫トウモロコシ

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

世界の流れは効率重視に傾いています。

経済優先なのです。

少ない労力で最大限の収穫を得るために日々悪戦苦闘しています。

農業品目について考えてみましょう。

代表はなんといっても大豆、トウモロコシなどです。

コストが低く、安全で採算にのる作物を大量に市場に流す。

利益率がよければ、採算ベースにのり収益も上がります。

そのためにはどのような科学技術でも応用するのが資本の論理です。

代表的な例はどのようなものでしょうか。

これが今の農業の現実です。

驚かないでください。

トウモロコシ自身が毒素をつくるという話を知っていますか。

実を食べた害虫が死んでしまうのです。

俗に「殺虫トウモロコシ」と呼ばれています。

あるいはラウンドアップという除草剤をまいても枯れない遺伝子をもった大豆の存在はどうでしょうか。

たくさん除草剤をまくと雑草だけが枯れるのです。

収穫する大豆本体にはなんの影響もありません。

これほど楽な農業はありませんね。

農業の現場で雑草の処理くらい手間のかかるものはないのです。

オーガニック

オーガニック野菜という言葉をよく聞きます。

全てを有機的な自然環境にまかせて収穫した作物のことです。

化学肥料などを使いません。

しかしその野菜をとるために、雑草との戦いは壮絶なのです。

手間がメチャクチャにかかります。

それがイヤなら除草剤を撒いてしまえばいいのです。

遺伝子を組み込んだ作物は除草剤などには負けません。

順調に生育するのです。

枯れるのは周囲の雑草だけです。

まさに画期的ですね。

人間の手が全く必要ないのです。

そのための人件費が完全に浮きます。

しかし同時に土壌の汚染や残留農薬のリスクは高くなります。

消費者にとっては、あまり喜ばしいことではありません。

確かに価格は安くなります。

しかし健康への危険性は一気に増します。

効率だけを追求していくと、このようなことが頻繁に起こるのです。

それでも資本の論理は容赦しません。

効率が優先されるのです。

低コストで収益性の高い作物を作り出すためにはなんでもするというのが、今日の農業の在り方になりつつあります。

当然、こうした考え方に反対している国もあります。

資本の論理を優先するのか。

それとも人体への安全性を優先するのか。

問題の根は深いのです。

賛成と反対

遺伝子組み換え技術に対する見方は世界を二分しています。

推進派はアメリカ。

反対するのはEUと日本といった図式です。

理由は人体への安全性と生物多様性への影響です。

DNAを書き換えていくということは、エコロジーの考え方からいけばありえないことです。

将来、遺伝子を組み換えた作物が自己増殖していく可能性がないワケではありません。

臨界点に達した時、その危険性を取り除くことができるのかどうか。

ある意味原子力開発に似た体質を持っています。

地球そのものを根源的に破壊してしまう悪魔の技術といえるのかもしれません。

ところで遺伝子組み換えとは何なのでしょうか。

基本的な認識が必要ですね。

小論文を書く時、ここは大切なポイントです。

知識を蓄えておいてください。

難しい技術まで知る必要はありません。

しかし基礎的な内容はおさえておくべきです。

簡単に説明しましょう。

一言でいえば、作物などに対し、他の生物の細胞から抽出した遺伝子を組み換えて注入することです。

その結果、新たな性質を持った品種が生まれます。

殺虫トウモロコシの例をもう1度思い出してください。

「品種改良」とは明らかに違います。

さまざまな種類の種を交配させて、害虫などに強い品種ができるまで続けるのが品種改良です。

これはあくまでも自然に行います。

無理な形でいびつになることはありません。

コメの品種改良を思い出してください。

長い時間と試行錯誤が必要です。

その反対が人が遺伝子に直接手を加えるという方法です。

これは全て人為的なものです。

生物の多様性に反します。

メリットは何か

遺伝子組み換えがもたらすメリットもあわせて考えおかなければいけません。

最大のメリットは、特性を持たせるための時間が大幅に短縮できることです。

品種改良には何世代もの交配が必要です。

しかし遺伝子組み換えには時間がそれほど必要ありません。

除草剤に強い作物を作れば、除草剤とセットで栽培することもできます。

低コストで高収益を上げられるのです。

食料の増産にもつながります。

飢餓に苦しめられている人に、食料を配布することができるのです。

食料問題は先進国にいるとよくわかりません。

実際1日に1食しか食べられない人が世界中には溢れているのです。

大豆でいえば、世界の作付け面積の80%に遺伝子組み換え済みの苗が植え付けられています。

しかしそうしたものを輸入禁止にしている国もあるのです。

geralt / Pixabay

日本もその中の1つになります。

やせた土地に作付けをし、そこで得た食料で飢餓を救うということになれば、理念だけを前面に出しているワケにはいきません。

安全性を担保するのは重要なことです。

それと同時に食糧問題の解決も喫緊の大きなテーマです。

2つの大きな枠組みの中で、自分なりの賛否を明らかにしなくてはなりません。

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キーワードは「生命の安全」「生物多様性」「食料問題」の3つです。

あらためて文章をまとめてみてください。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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