【小論文・超高齢化社会】環境を改善して生きがいを創出する【喫緊】

学び

リタイア後の現実

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は超高齢化社会について考えます。

これは2019年香川大学経済学部後期に出題された問題です。

課題文は大変に長い文章です。

読むだけでもかなりの時間を要します。

筆者は現役の通産官僚・江崎禎英氏。

『社会は変えられる。世界が憧れる日本へ』という本から引用されています。

ポイントだけをここに示しましょう。

原文は各自で検索してみてください。

高齢者はかつて長老と呼ばれ、種まきや収穫の時期、自然災害の知識、村の歴史や掟などを伝授する重要な役割を担っていました。

一方、現代では役割もなくただ生かされているいるだけの高齢者が増えています。

高齢者は社会からリタイアしなければならないと誰が決めたのでしょうか。

定年制は、人口が増加していく戦後復興期において若い世代に仕事を譲るための方便として生まれた制度です。

高齢者が元気でいながら何の役割も与えられない環境こそが問題であり、このことが我々の直面する多くの課題を生み出しているのではないでしょうか。

これが筆者の基本的な意見です。

立ち位置が明瞭に見えますね。

現在1人の女性が生涯に産む子供の数は1.43人。

どうしても労働者数が足りないからといって外国人労働者を受け入れたとしましょう。

移民の考え方です。

pixel2013 / Pixabay

この場合、彼らが高齢化する段階で社会保障は厳しい側面をみせます。

外国人との共生に苦しんでいるドイツやフランスがそのいい例です。

もう一方で拡大の一途をたどっているのが医療費です。

国民皆保険制度の中には高額療養費制度もあります。

2016年度、1人の患者に支払われた1カ月あたりの医療費が1億円を超えるケースが複数あったそうです。

しかしこの制度があるおかげで、自己負担額は10万円前後ですみました。

だからやめてしまえという論点ではありません。

今後どうしたらいいのか考えなくてはならないという未来志向の文章なのです。

1980年代へのノスタルジー

なぜ高齢化対策が問題になるのか。

筆者はそれを「1980年代へのノスタルジー」と命名しています。

この頃の人口は65歳以上の人が全人口の1割未満でした。

手厚い社会福祉サービスを提供することもできたのです。

経済にそれだけの余裕がありました。

しかし現在は無理です。

赤字国債を発行し続け、身の丈以上にお金をつぎ込んでいます。

人口構造や、社会の構造が変化しているのにもかかわらず、夢を追いかけているというワケです。

現在のこの国の社会保障制度は最も人口構造が理想的だった頃のままなのです。

つまり今の時代にはあわないのが明白です。

新しい経済の仕組みにしない限り、破綻するのは目に見えています。

40兆円の医療費が高齢者に重点的に使われているのです。

特に人生の最期に近づくにつれてその費用負担は急激に増加します。

ここに複雑な問題が集約されています。

だから姥捨山をつくれという話ではありません。

mohamed_hassan / Pixabay

そこへ話をもっていってしまうと、小論文には全くなりません。

あくまでも理性で文章を構築していく。

それが大切です。

制度の利用をするなというのも無茶です。

国民皆保険システムは世界がうらやむ制度なのです。

そのうえ、高額医療費負担という考え方は夢に近いものでしょう。

設問の例

設問はいくつかに分かれています。

この問題にはグラフもあり、高齢者の医療費が実際にどれほどかかっているのかも一目でわかります。

3問ある中で、最後の設問を取り上げます。

1番書きにくい問題です。

質問内容はつぎの通りです。

高齢者が元気でいながら何の役割も与えられない環境を改善する取り組みとしてどのようなものが考えられますか。

あなたが有効だと考える取り組みの具体例を1つ挙げて、その取り組みが環境の改善につながる理由を説明しなさい。

またその取り組みが社会の直面している課題の解決にどのような貢献するかについてあなたの考える理由とともに、わかりやすく500字以内で述べなさい。

どうでしょうか。

すぐに何か思いつきますか。

シルバー人材センターの存在を思い浮かべられた人は、身の周りに関係している人がいたからかもしれません。

他にも高齢者に職業を斡旋する団体はかなりあります。

しかし現実に仕事をしようと思うと、拘束時間、賃金、内容、人間関係など様々な具体的要素が複雑にからみあってきます。

わからない時は自分の周囲をしっかりと見回してください。

高齢で働いている人はいますか。

そのことによって高齢者本人にどのような変化がありましたか。

同時に受け入れた組織に変化はありましたか。

知っていることを次々とメモしましょう。

それを繋げていくことで500字の文章が完成するのです。

行政と民間の関係は

高齢者で最も生き生きしているのはどういう人か。

このことを考えてみるのも1つの手です。

よく言われていることは子供と接している人は元気だということです。

保育所を老人施設の隣に誘致し相互に行き来するようになると、高齢者たちの顔つきがかわるという話をよく聞きます。

幼い子供は未来という時間を背負っています。

n-k / Pixabay

その勢いが高齢化した人々に自然と伝わるのです。

一緒に手遊びをするだけでもいいのです。

あるいは昔の話をしてあげることも可能です。

本を読んだり歌をうたったりすることもできます。

未来という輝いた時間を目の前で見ることの効用ははかりしれません。

もちろん、勉強をみてあげる。

漢字の練習やお習字を手伝う。

さらに複雑な内容を教えられる人ならば、それをボランティアで行うこともできます。

最初は行政が道筋をつけ、民間に委託するのもいいでしょう。

報酬を支払うことで、社会的な責任も発生します。

それも大きな意味を持ちうるのです。

つまり自分が何らかの形で社会に知恵や知識を還元しているのだという誇りが人生を輝かせていくのです。

geralt / Pixabay

おそらくこのテーマが第一義でしょう。

この周縁を取り巻く内容なら、大きくはずす心配はありません。

もちろん特技があれば、それを実際に行うことは言うまでもありません。

高齢者の側も、妙なプライドに煩わされることなく、謙虚に状況を受け入れていくことが大切です。

社会的な役割が見えれば、人生に希望が見いだせるのです。

500字は書き出せばわずかの時間で終わります。

問題はそこまで周囲を見回してテーマを集められたのかに尽きるでしょう。

超高齢化社会の持っている課題が少し見えたでしょうか。

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勉強を続けてください。

最後までおつきあいいただきありがとうございました。

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