言い切ることの強さ
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は文章術の話です。
言いたいことをきちんと論理的に書ける技術を身につけたい。
誰もがそう考えています。
確実に入学を果たしたいとする気持ちもよくわかります。
そのためにはどんな文章に仕上げればいいのでしょうか。
最大のポイントは文体です。
小論文は「だ、である」調以外にありません。
だからといって、全ての文章の文末を「だ」と「である」にしろという意味ではありません。
「です、ます」でない系統の文体を重ねていくのです。
今回は色分けをすることで、文体を整えるという書き方の練習をしてみましょう。
最初にマーカーペンを用意してください。
自分の書いた文章を色でチェックしていくのです。
ポイントは同じ文末表現を繰り返さないことです。
「だ、である」調の1択といっても「だろう」「に違いない」「~か」といった表現などがいろいろと考えられます。
逆にいえば、いろいろな文末表現をうまく混ぜ合わせながら、単調にしない工夫が大切なのです。
文章のリズムが同じになってしまうと、読んでいる人が飽きてしまいます。
単調な文体は絶対に避けること。
まず書いてみて、自分の文末表現にどういう特徴があるのかを知ることです。
みなさんにはそれぞれの癖が必ずあります。
それを知ることが最初の仕事です。
同じ表現はダメ
似た言葉ばかりが並ぶようだと、それだけで評価が下がります。
つまり表現力がないということになるのです。
1番簡単なチェックの仕方は文末の形をマークしていくことです。
一目でわかるよう、色分けをするのです。
同じ色ばかりが続くようなら、完全に失敗ですね。
分散させるにはどうしたらいいのかを考えてください。
「思う」「感じる」「考える」をなるべく使わないようにするという記事を以前書きました。
最後にリンクを貼っておきます。
これも大切なポイントです。
試みにこの表現も色分けしてみてください。
たくさん同じ色が重なって出てくるようならNGです。
制限時数800字の中に全部で3~4つぐらいまでが限界です。
それ以上あるようだったら、全部カットした方がいいです。
あなたは断定表現をよく使う方でしょうか。
基本的に強い言葉の方がインパクトがあります。
論文がしまってみえます。
これは当然のこと。
しかし断定ばかりを続けるのはなかなかに難しいのも事実です。
はっきりしないことを無理に言いきってしまおうとすれば、当然その根拠は何かということになります。
そこが曖昧だと、文章は逆に弱くなります。
これは極力避けたいですね。
小論文では自分の文章に最後まで責任を持つという姿勢を貫くことが大切なのです。
逃げの表現をやめる
この姿勢をうまくキープできれば、論旨のはっきりした論文になります。
構成を間違えないでください。
必ず高い評価を得ることができるでしょう。
そのためにはどうしても証明が必要になります。
曖昧に逃げたくなるのを我慢して書くのですから、それだけの知識も必要です。
「~ではあるまいか」という表現をよく使う人がいます。
これも一種の逃げに近い論法です。
こうした表現を使わずにズバリと言い切るのですから、そのインパクトはかなりのものです。
どうしたら可能になるのか、考えてください。
それには自分の論点をたくさん持つことがなによりも大切です。
簡潔であるということは明瞭であることと同じ意味です。
明瞭であるためには、そこに誤りがないことです。
しかし言葉でいうのは簡単ですが、入試にでる小論文のテーマで、そんなに簡単なものがあるでしょうか。
結論からいえば、ほとんどありません。
全ての内容が複雑で解決不能なものばかりです。
その中で言い切れというのは半ば暴論です。
しかし曖昧に書いた時、評価が低くなるのが小論文の特徴です。
それならば、いっそ言い切ってしまう方がさっぱりします。
模擬試験などを受けるチャンスがあったら、1度トライしてみてください。
採点者はどっちつかずのフラフラした文章ばかり読まされて、参ってしまっているのです。
だから勢いのある文章は歓迎されます。
覚悟をもって言い切る
「~ではないだろうか」を1度やめてみましょう。
なんでもこれで逃げてしまえば、なんとか文章らしい体裁だけは整います。
しかし読んでみると、結論がどこにあるのかよくわからないのです。
これはダメ。
強調すればいいと言われて「とても」「大変」「非常に」などを連発する人もいます。
これもNGです。
こういう強調表現をたくさん使うと、文の品格と勢いを下げます。
これも色分けしてみてください。
なんでこんなに使っているのかと思うくらい出てきます。
800字の文に3~4つが限界でしょう。
それ以上あったら、消去しましょう。
小論文に必要なのは事実です。
大げさな表現で説明しても意味はありません。
みなさんの周囲にもいるでしょう。
オーバーな話し方をする人が…。
しかしだれもきちんと聞いてはくれないのです。
小論文もそれと全くおんなじです。
採点者はプロです。
彼らの目はごまかせません。
覚悟を持って確信できることだけを文章に書くことです。
もちろん、内容も大切です。
言い切れるだけの質を常に用意してください。
そうすれば、限りなく合格答案に近づくはずです。
今回はマーカーペンを持って、気になる表現をチェックする方法をお教えしました。
自分に限ってそんな癖はないという人こそ、試してみてください。
きっとびっくりしますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。