【新書を読もう】小論文に頻出する課題はこのニクい本に直結していた

学び

新書は課題文の宝庫

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は課題文の出題によく使われる新書の話をさせてください。

新書って何でしょう。

今までに授業をしてきた経験からいうと、多くの生徒は知らないですね。

最初のうちは、ほんとに知らないのかなというのがぼくの反応でした。

率直に驚きました。

しかしそのうちなんにも感じなくなりました。

Tumisu / Pixabay

手で大きさを表現し、これくらいの文庫本より少しタテに長い本だよといってもわかりません。

仕方がないので、いつも新書の話をする時は何冊か、教室へ持っていきました。

見たことがあるという反応をすればまだいい方です。

全く知らないという生徒が隋分いました。

かつてぼく自身が高校生だった頃、先生に言われた言葉があります。

高校時代に岩波新書を100冊は読め。

そうでなくちゃ、大学へ行っても通用しないぞ、と。

今ではもう昔の話です。

まるで夢物語そのものです。

岩波新書なんていったって、なあにそれの世界です。

しかしそんなことにめげてはいられません。

今は岩波ジュニア新書もあります。

さらに大型判も出版されています。

どれでもいいのです。

まず図書館へ連れていって、手に取って読ませることから始めなくてはなりませんでした。

新書とは何か

新書は1938年創刊の岩波新書に始まります。

文庫本を発行していた岩波書店が、主に古典から離れたものとして、書下ろしを中心とした教養書を作りました。

それが岩波新書なのです。

内容は多岐にわたっています。

歴史、科学、文化、言語、芸術、思想などありとあらゆるジャンルにまたがっているのです。

装丁も赤版から青版、さらに黄版へと変化しています。

内容的にはまさに教養を身につけるというスタイルのものでした。

その後、ものすごい数の新書があふれるように出版されました。

角川新書、白水社の文庫クセジュ、中公新書、新潮新書、文春新書、ちくまプリマー新書、光文社新書、幻冬舎新書などなど、数えても数え切れません。

最近では雑誌化しつつあるという風評もあるようです。

短時間で目新しい内容のものを手がけ、宣伝力にものをいわせて売ろうとする出版社が出てきました。

中にはしばらくするとブームとともに消えてしまうものもあります。

しかし良書は長く残っています。

岩波新書はその世界の専門家に執筆してもらったものが多いのです。

それに比べると、最近の新書は読みやすいエッセイなどを基調としているものも目立ちます。

しかしあえて言っておきます。

最初は興味をひく内容のものに飛びつけばいいのではないでしょうか。

図書館の新書コーナーまでひっぱっていって、どれでもいいから1冊選んでごらんという授業を何度もしました。

多くの生徒が自分の関心に近い内容のものに手を伸ばしたのです。

PIRO4D / Pixabay

それでいいと思います。

全ての生徒が同じものを読む必要はありません。

しばらくすると、関心も広がっていきます。

そのあたりから、今までとは違う分野に対しての興味を持つようになればいいのではないでしょうか。

評論家の書く文章

小論文の問題作成委員はどのようにして問題を探すのでしょう。

当然、過去問にあたります。

他の大学と重なり合うのを避けたいのは人情です。

テーマも同時に考えます。

年齢からして自分に直近の問題は親の介護です。

つまり少子高齢化に目が向きます。

その他、日本人論などは恰好のポイントです。

特にグローバル化しつつある現代、その内部でどのような問題が起こっているのかが気になります。

geralt / Pixabay

コロナ禍が叫ばれ、外国人との共生も人権との関係で複雑化する一方です。

さらに日本語はどのような言語かという問題も永遠のテーマです。

人文科学系の分野では必ず出題されます。

科学の問題もAIとからめるといくらでも出題できます。

医学も同様です。

IPS細胞を応用した新しい医学の発展については、何が出題されても不思議ではありません。

医の倫理などという問題も、これだけ複雑化した出生前診断、生体間移植などのテーマとからめることもできます。

もっといえば教育論でしょう。

格差がコロナ禍によってますます広がりつつある実態もあります。

国際社会に目を向ければ、米中の戦略に世界が強い影響を受けている実態もみえてきます。

人間の幸福とは何か。

なんのために人は生きるのかなどいうテーマは永遠です。

これらの命題は、しばらく書店の新書コーナーにいるだけで、いやおうなく目に入ってくるのです。

つねにアンテナを高く

新書をたくさん読むということは鋭いアンテナを高くはりめぐらすことに他なりません。

日本や世界がどのよう変化していくのかをつねに見続けること。

その視線があれば、どういう問題が出てきても対応できるでしょう。

有名な評論家の書いた文章などを読んでおくだけで、自分の考えがより鮮明にあぶりだされるということもあります。

最近は対談集のような形で、新書を編集しているケースもあります。

それほどに難しい言葉を使っているワケではありません。

是非、スキマ時間を使って読書を続けてください。

確かに小説を読むことも大切です。

楽しい時間を持つということも意義深いものです。

しかし今年はせっかくのチャンスです。

自分自身を深めるために、新書を読むことを勧めます。

geralt / Pixabay

大人用の本が難しいと感じたら、岩波ジュニア新書はどうでしょうか。

あるいはちくまプリマー新書を勧めます。

分かりやすく記述してありますので、読みやすいと思います。

ただし内容がやさしいというワケではありません。

難しいものをより理解しやすくかみ砕いて表現してあります。

こうしたものに触れながら、自分の読みたい本を次々と制覇していくくらいの気力をもってください。

小論文を書くには、かなりの力量がいります。

引き出しを幾つも作っておかないと、すぐにネタ切れになります。

それだけは絶対に避けなければなれません。

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迂回ルートを自分の中に潜ませるということの大切さを自覚しておいてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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