かもめ食堂の頃
みなさん、こんにちは
毎日、ステイホームを肝に銘じて暮らしているブロガーのすい喬です。
コロナウィルス蔓延による非常事態宣言が出されてから2ヵ月が経ちました。
ぼんやりしていると3ヵ月目に入ってしまいそうです。
テレビを見ていても会議用システム、Zoomを使った番組ばかり。
おうちにいましょと言われて、動けないタレントさんたちの暮らしぶりが少しだけ見えてきます。
昨日、NHKで2年ほど前の「世界はほしいモノにあふれてる」の北欧編が再放送されていました。
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寒い国々ですからね。
家の中にいる時間が長いのです。
そこでどうしたって家具や調度品、食器などに高い関心が寄せられていきます。
タイムリーな放送でしたね。
ぼくもつい真剣に見ちゃいました。
北欧がここまでトレンドになるとは思いませんでした。
かつてはアメリカン・カントリー一色でした。
アメリカの田舎の文化をそのまま、日本人たちはすばらしいものと受けとめたのでしょう。
ある意味、若い世代の文化といえるのかもしれません。
花柄のカーテンも細かくて可愛らしいものが多かったです。
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それが一転して、今度は北欧です。
作家、群ようこの小説『かもめ食堂』が映画化されたのは2005年のこと。
主演は小林聡美、片桐はいり、もたいまさこです。
キャスティングのユニークな取り合わせが話題になりました。
舞台はフィンランドのヘルシンキ。
突然、日本食堂を開いた女性を主軸にした不思議なテイストの映画でした。
今思えば、おそらくこの頃から、日本人の目がアメリカから遠い北欧へ移っていったのかもしれません。
質の似た文化
無印良品が出来たのは1980年。
当初は西友の別ブランドでした。
それが大きく変貌し始めたのは、「Found MUJI」の活動がスタートした2003年頃からです。
無印はもともとものを作るというよりも、ものを探すということをコンセプトにしてきました。
このあたりから世界の中へ何かを探しに出かけ、少しでも生活を豊かにするものを見つけて、それを販売しようという方向に舵を切ったのです。
北欧へ目を向けたのは当然の流れだったのでしょう。
ガラス工芸、機織り、レンガ、食器、家具などシンプルで機能性の高いものを見つけ始めました。
「生活のためのものづくり」をするということが無印の基本です。
スペースをとらずに単純な形でという考え方にそって発見していく旅の先に北欧の人々の生活があったのです。
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土地の匂いや体温を感じる日用品。
そこから新しい無印の商品群が生まれるまでに、それほどの時間はかかりませんでした。
スウェーデン生まれのIKEAも同じです。
かなり早い時期に1度渋谷東急にオープンしたものの、価格が高すぎてうまくいきませんでした。
1号店の開業は2006年。
千葉県船橋市にあった「ららぽーと」の跡地を利用しました。
時代の流れはまさにオーガニックに傾きつつあったのです。
無理に色を重ねて派手な商品にしないということも日本人の好みにあいました。
日本とスカンジナビア地方は8000キロも離れています。
しかしデザインの領域では数々の共通点があります。
どちらの国も素朴な機能性を重視します。
自然素材を愛し、職人への深い尊敬の念に支えられているのです。
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日本とスカンジナビア地方では、手作りのものやいてねいに作られ長持ちするものに評価が集まります。
特に中間色を好むという傾向もそれぞれの国の文化の特色です。
灰色がかった青や緑を木の色と合わせるのが大好きです。
静かで温かみのある上質さを好むのです。
派手な色は長く使っていると疲れますからね。
高齢化社会に突入
高齢化社会の到来が近づくにつれ、落ち着いた時間を持ちたいと考える人が増えてきたという事情もあるでしょう。
喧噪の中にいるよりも、自分の好きな音と香りに包まれて、穏やかに暮らしたい。
高度経済成長が終わり、これからは本当に心の豊かな時間を過ごしたいと考える中高年が増えたことも事実です。
同時に健康にも人一倍注意するようになりました。
プラスチックフリーの時代を迎えて、腐らないものは結局海洋ゴミとなり、海を汚染するということもわかってきました。
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さらに地球温暖化とともに、プラスチックを着るという化繊の暮らしから、自然のコットンや麻への暮らしにシフトしつつあったのです。
この背景には女性の意識の変革がものすごく大きな影響を及ぼしています。
それまで家の中に閉じこもっていた女性たちは、進学し学ぶ姿勢を強く持つようになりました。
そして社会へ飛びだしさらに見聞を広めたのです。
安くて丈夫ならばいいという生活から、少しでも文化的な暮らしをしたいと思うようになりました。
彼女たちはユニクロに代表されるファストファッションにも高い関心を持っています。
しかし1年着たら、それをゴミにしてしまうという生活に強い疑問を持つようになったのです。
幸い、日本には伝統的に職人を敬愛する文化があります。
安い合板の家具には飽きを感じる人々が確実に増えました。
木の感覚を大切にして、ずっと使い続けたい。
壊れたらなおせばいいと感じる人たちの出現です。
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その流れが北欧の人たちの暮らしとびったり重なりました。
無印とIKEAはまさにそこにターゲットをしぼったといってもいいでしょう。
何ももたないというミニマリストの出現です。
近藤麻理恵さんに代表される「断捨離」の時代になりました。
接続可能な世界へ
今年に入って、新型コロナウィルスが猛威をふるっています。
世界はこの先どこへ行くのかわかりません。
かつてのような大恐慌を迎える可能性もあります。
無理に石油を掘り、そして経済を回す。
格差がどう広がろうが、そんなことは関係がないと豪語していた人たちも、コロナ後の世界を考えなくてはならないところへきています。
自分にとって1番大切なものとは何かということを、誰もが考えるようになりました。
それまであたりまえだった日常の生活をどのように守っていけばいいのか。
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誰もが考え始めています。
コロナ世代などという言葉も生まれました。
これから生まれてくる子供たちに、どのような世界を残してあげればいいのか。
本当に大きな問題です。
そうした時に接続可能な社会のありようを考えるということは大きな意味を持つでしょう。
日々の生活を豊かにするとはどういうことなのか。
何を目標に生きていけばいいのか。
美しい地球の水や緑をどうしたら守れるのか。
これらのテーマとミニマリストの暮らしは大きくリンクしています。
ものを持てば幸せだった時代は、考えてみれば単純な喜びに満たされていました。
しかし部屋の中にものがあふれる時代がいつまでも続くとは思えません。
ゴミはどこへいくのか。
地球の中で処理しなければならないのです。
北欧のテイストがここまでトレンドになるとは、少し前までは考えてもいませんでした。
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しかし現在、それはごく現実のものになりつつあります。
彼らのように暮らしたいという願いを軽視するワケにはいきません。
シンプルでかわいい食器や、木の香りのする家具に囲まれて、楽しく豊かに暮らす人生。
無印とIKEAはそのための入り口に過ぎないでしょう。
本格的なトレンドはもっと先を目指しています。
北欧の暮らし方を下敷きにしたYoutubeの動画なども、たくさん配信されています。
この先、人々はどこへいくのでしょうか。
先日、東京都現代美術館で見た「ミナペルホネン展」はそのための水先案内人の役割を果たしていたと思います。
大勢の人がよりよい生き方の方法を真剣に求めています。
今後のトレンドにも十分注意していきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。