【医療看護福祉系小論文】ケアとノーマライゼーションが合否の要

学び

グラフの問題

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

毎年、医療看護福祉系の小論文テーマをチェックしています。

どの試験でも問われることはほぼ似ています。

それほどに突出した問題が出るワケではありません。

基本は医療に関わる本質的な問題を出して、それに対して考えるところを書きなさいというものです。

志望動機を書けというのであれば、ある程度練習も可能でしょうが、そうでない場合苦戦します。

ことに難関校の場合は統計資料を出すタイプの試験が多いです。

横棒グラフ、縦棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフとさまざまな場合があります。

どこをチェックすればいいのかということは、ある程度考えておかなければいけません。

特に多いのが横棒グラフです。

厚生労働省の白書に横棒グラフの資料が多いので、出題される可能性が高いのです。

男性、女性という性別に関するもの。

世代、年代に関するもの。

この2つの要素を比較して答えるというタイプのものが主流です。

とにかく数字を「比較」してください。

問題作成者の意図は数字の差を見比べてほしいのです。

特に際立ったところがあれば、そこがポイントです。

その項目の内容をクローズアップします。

値の差に着目すれば失敗することはないでしょう。

折れ線グラフは変化を、縦棒グラフは比較と変化の両方を、円グラフは割合をチェックしてください。

jossuetrejo_oficial / Pixabay

難関校を受験する場合は、じっくりと統計資料型の問題を研究する必要があります。

知識の確認をする

医療看護福祉系の特徴は専門家の養成にあります。

ただ看護や福祉に対する熱意があるということだけでは不十分です。

必要な知識をある程度獲得しておかなければ、話になりません。

志望する生徒には必ずいくつかの質問をます。

それは次の単語を知っているかというものです。

1 ケアとは何か。
2 インフォームド・コンセントとは何か。
3 ノーマライゼーションとは何か。
4 リビングウィルとは何か。

以上の4つです。

はっきり言っておきますが、これらの単語を知らずに受験するのは無謀です

あまりにも現実を知らなすぎます。

きちんと自分の言葉で説明できないようでは、とてもこの分野に進むことはできません。

今、答えられない人は、すぐに勉強を開始してください。

それぞれの内容を細かく自分の言葉で表現できるようにならない限り、合格はおぼつきません。

この中で2番目のインフォームド・コンセントについては別の記事に書きました。

最後のところにリンクを貼っておきます。

あとでじっくりと読んでください。

今日のテーマは1番目の「ケア」と3番目の「ノーマライゼーション」です。

4番目の「リビングウィル」については別の記事を近日中にまとめたいと思います。

医療看護のあり方はつねにたくさんの新しい言葉とともにあります。

現在、当たり前のように使われているのです。

逆にいえば、なんにも知らなければ、既にその段階でかなり後方にいると考えていいワケです。

少し焦ってください。

ケアとは何か

『ケアの本質』という大変有名な本があります。

著者のメイヤロフはその本の中で次のように述べています。

「1人の人をケアするとはその人が成長することを助けることである」

「人はケアすることで自分の居場所と人生の意味を得る」

あらためて聞きます。

看護の役割とはいったいなんでしょう。

これを機会に看護の意味、役割、心構えをじっくりと考えてみてください。

今まで医療といえば、まず治療することが第1でした。

これは治療(キュア)の考え方です。

しかし現在では治療だけが医療ではないという考え方が普通になっています。

つまり自分より劣ったものを正しい健康な位置に戻すという考え方だけでは高齢化社会を受け入れることができなくなってきたのです。

現代の医療では看護(ケア)のあり方が大変重視されています。

ただ医療知識を持っているというだけではケアは不可能です。

療養に不可欠な無駄をも許容できる心の広さが必要になっています。

相手を信頼する心や過去の機械的な治療を超えた、新しい状況に対応できる能力がなければなりません。

この病気にはこの治療といったような画一的なやり方はもう通用しなくなっているのです。

時には看護者の自尊心を傷つけずにはいられないような現象も起こり得ます。

それでも怒らずに、愛情をもって誠実にふるまえるかどうかということが試されています。

そこはもう未知の世界です。

患者の個性によって、ひきおこされる現象は容易に推測できません。

それでも果敢に挑み、存分に生きようとする患者の意志を、ただの治療という概念を超えておこなわなければならないのです。

患者は病気だけをもった個人ではありません。

人間的な接触を期待する生きる権利をもった個体なのです。

看護という概念そのものを根本から揺さぶる発想が、まさにこの「ケア」という言葉です

ケアするということは自分も成長することを意味します。

病気をみて患者をみないというのは現代の医療ではあり得ません。

ケアの視点を絶対に忘れないこと。

もう1度、きちんと自分の看護観をまとめてください。

それがないと、この表現が出てきた時、完全に迷ってしまいます。

そこまでの覚悟があるのかという問題がよく出ます。

十分に注意してください。

ノーマライゼーションとは何か

もう1つの言葉がこれです。

すぐに意味が答えられますか。

面接で聞かれる可能性もあります。

ノーマライゼーションとは簡単に言ってしまえばノーマルになろうということです。

障害者も健常者と平等に特別扱いせず、社会で普通の生活がおくれるようにするべきだという考え方です。

そうすることで健常者とコミュニケーションをとることもできます。

これはデンマークのバンク・ミケルセンが提唱したものです。

多くの人が共存、共栄できる社会というのは、ある意味当たり前のことです。

障害のある人を社会から隔離してできあがる生活というのは、どこがよそよそしいものです。

全ての人がともに生活できる社会を目指す。

そのために医療看護福祉系に進学する人にとっては喫緊のテーマになります。

社会参加の概念を1度も考えたことがなく、進路選択をしたということであれば、これは問題です。

障害者にとって現実には多くのバリアがあります。

階段や道路などの段差をどう克服するのかというのも大切なことです。

目の不自由な人が電車に怖くて乗れないという事実もあります。

それ以上に怖いのが、心の中に築いてしまう心のバリアです。

障害者も社会的な役割を果たし、健常者と同じように生きたいと考えているということを認識することです。

医療看護福祉に携わる人間の中に最も必要なものが心のバリアフリーなのです。

その1つ1つがどれもノーマライゼーションの課題です。

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人間にとって何が本当の健康であるのか。

この問題についてもじっくりと考察してください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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