【小論文の書き方】自分目線を効果的に使い抽象的な問題にぶつかる

学び

社会的関心を持つ

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は経済テーマの問題を考えます。

小論文は殆どが社会の複雑な内容が中心です。

誰もがすぐに書けるようなものは出題されません。

どうやって問題を理解し解決にいたる思考をしたのか。

採点者は受験生がどの程度解決マインドを強く持っているのかをチェックしながら答案を読みます。

わかりやすくいえばキーワード探索能力の確認作業です。

これは国語力だけに限った話ではありません。

広い社会的な興味、関心がなければ、とても文章が書けるものではないのです。

小手先の技術で解ける問題ではありません。

それだけに実力を見抜くにはもってこいの方法になるワケです。

政治、経済、社会、文化、教育、科学、医学。

どのようなテーマでも出題することができます。

今日的な関心事から、未来への可能性までを含めて。

あるいは過去の歴史から、今後の展望をはかるという構図のテーマも考えられます。

ありとあらゆる方向から出題されるのですから、試験を受ける立場としてはたまったものではありません。

しかしだから大学はあえてやるのです。

今回はデジタル通貨の可能性について考えてみましょう。

今後のキャッシュレス社会への道筋を訊ねる設問です。

stevepb / Pixabay

突然このような新しい問題が出たらどうしますか。

いわゆる経済の課題の1つです。

社会科学系の学部を受験するのならば、ある程度予測はつきます。

しかし人文科学系にも出題の可能性は多分にあります

喫緊のテーマ

なぜ今、問題になっているのでしょう。

それは世界のパワーバランスを変えてしまうほどの大きな力を持っているテーマだからです。

何が出るのかわからないのが入試です。

さまざまな知識を蓄えておかなければいけません。

デジタルという言葉の意味はもちろんわかりますね。

アナログの対義語です。

それと通貨という文字がつながると、何のことか突然わからなくなります。

日々、新聞を読んでいないと、もうアウト。

ここで退場です。

知らないことは書けないという基本中の基本の場面にぶちあたります。

デジタル通貨の基本をおさえておきましょう。

 1 通貨がデジタル化されていること。
2 円などの法定通貨であること。
3 中央銀行の債務として発行されること。

すでに日本でも円をデジタル通貨にするべきかという議論は始まっています。

年内に方針を決定する段階にきているのです。

まったく知らなかったではすまされません。

中国はすでにある程度の方向性を出し、デジタル人民元を使って米ドルに対する優位性を得ようと画策しています

なぜこのような通貨が脚光を浴びつつあるのでしょうか。

まさにキャッシュレスの流れにのっているからです。

スマホがあればすべての決済が完了する時代がすぐそこまできています。

中国や韓国では現金を持ち歩くということが極めて少なくなったと言われているのです。

さら追い打ちをかけたのはフェイスブックの打ち出した「リブラ」構想です。

これは従来の国家間の通貨という考え方を超えた新しい通貨となりうる可能性を持っています。

しかし高齢者などを中心にスマホを扱えない人々がいることも事実です。

いろいろと問題があることも承知です。

しかし日本でもキャッシュレスの勢いはとまりません。

そのことがこの問題の根本にあるのです。

問題の核心

以上簡単にまとめましたが、最低これくらいの知識がないと、具体的に問題点をピックアップしていくことは困難だと思われます。

経済を牛耳るものは世界を制覇します。

アメリカがなぜここまで力を得てきたかの歴史をみれば、その理由は明らかでしょう。

ドルが世界の安全保障を支えてきたのです。

その位置を虎視眈々とねらっているのが中国です。

そのための装置がデジタル人民元なのです。

Crissa / Pixabay

アメリカが今のままの通貨体制でいれば、必ず中国に追い落とされる日が来るに違いありません。

日本の中央銀行にあたるアメリカの連邦準備制度理事会が急いでデジタル通貨への移行を考えるようになった背景には、安全保障の問題があります。

そこを明確におさえてください。

抽象的で答えにくい問題であればあるほど、具体化が必要です。

自分の言葉でわかりやすく言い換える。

その作業がどの程度できるのか。

これも採点のポイントです。

自分の問題としてひきつけられるかどうかも、大きな評価の分かれ目です。

実際にキャッシュレス決済を使ってみて、どこに問題があるのか。

何が便利で何が不便か。

不安材料はどこにあるのか。

それを自分の言葉にしてみれば、内容はより具体的になり理解しやすいものになると思われます。

当然、評価も高くなるに違いないのです。

どこまでも具体的に

デジタル通貨の問題から軍事バランスにまで言及する必要があるのかという問いは当然あるでしょう。

そこまで書くのは最後の場面でかまいません。

具体的なキャッシュレスの問題から入っていく方が自然な印象ですね。

しかしその背後に大きなテーマが隠れていることを見抜かないと、意味を失います。

ヨーロッパにおいてもイギリスのEU離脱が決定され、関税のありかたにも変化がみられます。

そうした中でキャッシュが消えていくことの意味は何なのか。

そこまで考える必要があるでしょう。

あるいは高齢化社会とからめて、スマホをうまく操れない一定数の存在も認識しなければなりません。

さらに日本人の現金に対する意識は中国人や韓国人のそれとは全く違います。

優秀な紙幣の印刷技術に支えられて日本の経済システムはここまで順調にきました。

それを根底から覆すデジタル通貨の存在は、世界中に大きな影響を与えるに違いありません。

電子マネーとしてよく知られているビットコインと同じ範疇で考えてしまうと、かなりの誤解が生まれるでしょう。

その視点をきちんと示しておくことも大切てす。

デジタル通貨との1番の違いは非中央集権だということです。

インターネットを介して売買することは同じです。

仮想通貨と全く同じではないかという視点に対して、明らかな違いがあることを明確にしておいてください。

デジタル通貨は暗号化したデータという意味では仮想通貨と似ています。

しかし決定的に違うことは中央集権的な通貨か非中央集権なものかという点です。

自分の生活がどのように変化していくのか、イメージしながらまとめましょう。

ペイペイやメルペイなどをしている人は、容易にイメージが広がるかもしれません。

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いずれにしても、各国の通貨バランスや為替のシステムなどに変化が予想されます。

大いに関心をもってこのテーマを自分のものにしておくこと。

それが大切でしょう。

勉強を続けてくださいね。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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