通信制高校はスクールカーストのワクを超えたというリアル

学び

通信制高校進学

こんにちは。

高校教師経験40年のすい喬です。

退職してから2度、中学校の非常勤講師をやりました。

期間にして数ヶ月です。

その間に様々な光景を垣間見ました。

一つは必ず各クラスに不登校の生徒がいることです。

最低1人。

クラスによっては数人いました。

その生徒のことを聞いても、誰も会ったことがないので知らないというのです。

途中から来なくなった生徒もいたようです。

教育委員会はそうした生徒達のために、別のワクをつくり、場所も設けて特別の授業もしています。

しかしそこにすら来られないという生徒もいます。

不登校の問題は深刻です。

原因は実にさまざまで、カウンセラーや担任の先生がケアをしていますが、十分に手が行き届いているとはいえません。

結局、1日も登校しないまま、試験も受けずに中学校を卒業する生徒もいます。

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義務教育は全く登校しなくても、卒業証書だけはくれるのです

その後のことを気にしつつ、担任の業務もそこで終了です。

しかしその前に中学校側では、卒業後どのような進路を選択するのかについても相談にはのってくれます。

教育委員会や相談室などでも同じように親身に考えてくれます。

7月頃になると、サポート校や通信制の学校の関係者も頻繁に学校を訪れます。

不登校の生徒でも必ず面倒をみるから、紹介してほしいという要望なのです。

19人に1人

現在、通信制高校の在籍数は18万人前後で推移しています。

この数字は全体の高校生の19人に1人の割合だといわれています。

通信制高校に進学・転学する生徒はいまやけっして珍しい存在ではありません。

必ず卒業生のうちの何人かは通信制へ行く時代になりました。

定時制高校の在籍数は現在約9万人です。

その数の2倍の生徒が通信制高校に在籍していることになります。

以前でしたら、どうしても高校の卒業資格が欲しいという生徒には定時制を勧めました。

東京を例にすると、だいたいの都立高校には定時制が付属していたからです。

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それが近年、どんどん廃止され、各地区に1~2校程度しかありません。

なるべく駅に近い通学に便利な高校にだけあるというのが現状です。

と同時にかつてのような勤労学生がほとんどいなくなったことから、そのニーズが極端に減りつつあります。

また就学支援金制度が充実し、公立、私立ともに学費の負担がほぼなくなりつつあります。

ここ数年は学費援助のシステムができて、私立高校を希望する生徒が増えたため、都立高校の中には一度で定員を充足できない学校が増えています。

そういう昼間制の高校ならば、それほどの厳しい倍率の試験を受けなくても入れる可能性があります。

あるいは内申書を全く考慮しないタイプのチャレンジスクールも登場しました。

その他、単位制の高校もあります。

しかし単位制もチャレンジスクールも、そう簡単に入学できるわけではありません。

ことにチャレンジスクールなどは入学志望動機書の他、当日の作文と面接がほぼ50%の割合で採点され、合格者が決定します

きちんと面接に応じて話ができないとなると、入学はなかなか難しいでしょう。

以前に比べて高校の垣根はかなり低くなっているとはいうものの、そこにはやはり競争があります。

それでは具体的にどのような進路があるのでしょうか

可能性をいくつか考えてみましょう。

1 都立単位制高校(定時制・通信制)
2 都立チャレンジスクール
3 上記の学校と私立高校の定時制課程を併願受験
4 私立の通信制
5 高校に進学せず高卒程度認定試験を受検

学び直し

ここにあげたのは、中学卒業と同時に進学する場合です。

しかし実際にはもっと複雑なケースが多いのです。

ぼくも何人かの生徒を学年の途中から定時制に送ったことがあります。

その時はそれまでとった単位を認定してもらい、途中の学年からの編入という形をとりました。

現在は74単位とれば、高校を卒業という決まりになっているので、それを目指して換算するのです。

ちなみに1単位とは1週間に1時間の授業を1年間学習し、修得したことをさします。

近頃多い例として、学年の途中でドロップアウトするケースです

一度昼間制高校に入ったものの、学校の雰囲気が自分にあわなかったとか、友人とうまくいかなくなったなどの理由で途中退学する生徒も多いのです。

その時はまた別の高校に入ればいいと考えたり、もう勉強はしたくないなどと安易に考える生徒もいるのが実態です。

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あるいは大変に難易度の高い高校へ入学したものの、どうしても授業の進度についていけないなどという深刻なケースもあります。

最近よく話題になる中高一貫校で中学入学後に不登校になるという話も聞きます。

学業不振によって、高校への進級が厳しくなるというような進学校特有の問題もあります。

私立中高一貫校によく見られるパターンです。

しかし、学業不振といいながら、実は不登校の要素などと重なっていることも最近は多く、その実態は複雑になりつつあります。

そうした場合、公立高校への入学の道はほぼありません。

転勤枠などはいくらかとってありますが、途中の学年からの入学というのは、それほど頻繁にあるわけではありません。

中高一貫校入学後の不登校の原因としてよくあげられるのは、受験後の燃え尽き症候群です。

小学生の中学年から高学年にかけて、相当な圧力をかけられていたための反動だと考えられます。

入学以前は希望に燃えていたのに、その後、学力に格差が生まれ、それが嫌気に発展するケースです。

特に昔から5月病とよばれていますが、今は夏休み明けも深刻です。

こうした傾向の生徒が近年増えているのです。

開校続々

こうした状況に新たに参入したのが、通信制高校です

もちろん以前からNHK学園などをはじめとして、何校も存在していました。

しかし性格がここへきてガラリと変わりました。

その大きな理由がインターネットの普及です。

自宅にいても授業がそのまま受けられるとか、レポートをメールで送れるなどというインフラが急速に整備されました。

そのことにより、不登校の生徒でもマイペースで勉強することができるようになったのです。

74単位という最低限の単位を3年以上かけてとれば、その場で卒業が可能になりました。

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4月入学にこだわることもなく、スクーリングも都心のサテライト教室へ通えばいいのです。

希望者には可愛いデザインの制服もあり、文化祭や体育祭を行うところもあります。

厳しい校則も基本的にありません。

少しくらいのお化粧ならOK。

ピアスも注意されません。

私学就学金の対象にもなります。

なかには厳しい人間関係イヤで、多くの人の中に溶け込めなかった生徒も、これならばと食指を動かすようになったのです。

近年できたN高校などはその母体が角川やドワンゴなどのマスコミ媒体であることもあり、宣伝の力と相まって、多くの人に肯定的に受けいれられました。

いままでどこかにあった日陰の身としての暗さがみじんもなくなったのです。

スクーリングも年に数度というコースのある学校から毎週5日間通うというコースまで、実にフレキシブルです

学年途中からの編入も自在で、単位の読み替えも相談にのってくれます。

老舗の通信制高校がある一方で若い高校も多く、現在玉石混淆であることは否めません。

基本は近年の進学実績や将来の職業体験の多さにまず注目してください。

学べる科目、それに対するコストパフォーマンスなどを中心に調べていけばいいのではないでしょうか。

オリジナリティ溢れる学校行事の実施や内容を踏まえ、これならば入学してもいいという通信制高校があったら、臆すことはありません。

少人数で受験に特化しているタイプの通信制高校がある一方で、eスポーツまで取り入れている高校もあります。

在籍者数、通学距離、通学頻度、学費、卒業後の進路、口コミなどあらゆる要素を調べることをお勧めします

特に学費については高等学校等就学支援金が支給された場合の学費の実質負担額のモデルケースをきちんと調べてください。

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私立の通信制高校の場合は、学費の安い学校で20万円ほど、高い学校で80万円ほどと、大きな開きがあります。

指導の方法やスクーリングの日数などによって学費も全く違います。

その点もじっくり調べて見ることが大切です。

19人に1人という数字は重いです。

これからの進路指導の難しさをあらためて感じます。

以前ならば、よほどのことがない限りは、入学した学校に通い続けたものです。

しかし今はそんな時代ではありません。

1人でくよくよと悩んでいないで、周囲の人によく相談してください。

少しでも自分にあった進路を見つけてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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