本 【学問のすすめ・福沢諭吉】現代社会を考える時の座標軸になる名著 福沢諭吉の代表的な著作といったら、『学問のすすめ』でしょう。なぜ彼はこれほどに学ぶことを勧めたのか。それは新しいものを自分の理解できる場所に置くことの大切さを知っていたからです。学ばなければ、何も得られるものはないということを知っていました。 本
本 【最後に小説を書いたコラムニスト】小田嶋隆に献杯【東京四次元紀行】 小田嶋隆というコラムニストを知っていますか。なかなか諧謔にみちたうまい文を書く人でした。偶然本屋さんで立ち読みしたのがきっかけで、その後、小説を手にとることになりました。たった一冊の小説を書いて、すぐに亡くなったのです 本
本 【波打ち際に生きる・松浦寿輝】境界だけが持つ不安定で甘えに満ちた魅力 波打ち際という境界をテーマにして、人はどのような感じ方をするのかについて、論じた文章です。一言でいえば、大変にユニークだといえます。海の中で人間は生きられません。つまりそこには死が待っています。それに対して丘の上には生があるのです。 本
本 【文学の意味・小野正嗣】危機的な社会に必要なものは自分に対する問いだ 小説家、小野正嗣氏の評論を読みましょう。高校の教科書に所収されているものです。文学の持つ意味がどこにあるのかという、本質的な問いです。政治や経済が跋扈する現実の中で、文学の位置は脅かされつつあるのでしょうか。それを考えてみましょう。 本
本 【清光館哀史・柳田國男】生の苦痛と熱狂を秘めた歌垣が鎮魂歌になる夜 柳田國男は日本民俗学を作り上げた人です。彼の著作にはさまざまなものがあります。その中でも高校の教科書に載っている「清光館哀史」を取り上げます。かつて泊まった宿屋は既に没落してなくなっていました。旧盆の夜に歌われた歌を柳田は追いかけたのです。 本
本 【風姿花伝・年来稽古条々】芸道の本筋を世阿弥は熟知していた【年々の花】 世阿弥の書いた能楽書『風姿花伝』は豊かな内容に満ちた本です。芸能に携わるものだけでなく、あらゆる学習に対する基本的な態度を論じています。その年齢に応じた稽古の仕方があるという事実を知るだけでも、大きな意味合いを持つのです。 本
本 【風姿花伝】芸道を極めるための秘伝書には無数の宝が【世阿弥】 芸能をする人間にとって、世阿弥の著書『風姿花伝』は大切な本です。ここにはあらゆる人間の煩悩が描かれています。それをどう乗り越えたらいいのか。そのための秘術が示されているのです。しかしそれを達成するのは容易なことではありません。 本
本 【I was born・吉野弘】生まれるという受け身の宿命を人は背負う 吉野弘の代表作はいくつもあります。その中の1つが「I was born」です、ひとは自分の意志で生まれてくるワケではありません。その後、母の命と引き換えに生きていくのです。その厳粛な行為を実にみごとな言葉で表現しています。 本
本 教科書の指導書を文庫化するという試みに筑摩書房の志の高さを感じた 教科書の指導書を文庫化したという試みはすごいですね。不明にして全くその事実を知りませんでした。むしろ現職の教師の人に読んでもらいたいと思います。どういう志で教科書をつくっていったのかという背景が、そこに見て取れるからです。 本
本 【戒老録・曽野綾子】計画通りの人生なんてありえない【痛快な本】 曽野綾子の『戒老録』を読みました。なるほどと納得させられることがいくつもありました。年齢をうまく重ねていくということは、大変に難しいです。しかし気をつければ、できることがないわけではありません。一緒に考えてみましょう。 本
本 【ある時間待ってみる力】大江健三郎のエッセイに込められた真意 ノーベル文学賞作家、大江健三郎が亡くなりました。新しく版を起こした著作が次々と出版されています。彼のエッセイが高校1年生用の教科書にありました。ここで紹介させてください。タイトルは「ある時間、待ってみてください」というものです。 本
本 【発心集・鴨長明】漢竹の笛だけを所望した風雅な隠遁者の仏教説話 鴨長明の『発心集』の中で元も有名な段を読みましょう。清貧に甘んじた法師の話です。何か欲しいものはないかと問われ、彼は食べるものも着るものもなんとかなります。いただけるのなら、あなたの領地でとれる漢竹の笛をくださいと所望するのです。 本
本 【養和の飢饉・方丈記】歴史の証言として価値の高い章段【鴨長明】 『方丈記』の中には歴史的な記述がいくつもあります。その中でも有名なのが、養和の飢饉の記述です。多くの人が亡くなった様子が、生々しく記述されています。おりしも末法思想が広く信じられていました。人々の心の中はどのようだったのでしょうか。 本
本 【源氏物語・雨夜の品定め】どのタイプの女性と一緒になれば幸せになれるの 『源氏物語』帚木の段に出てくる「雨夜の品定め」の話をしましょう。これは紫式部が女性観を綴った段落です。どのような女性と結婚すれば、男性は幸せになれるのか。その秘密を探ったところなのです。いろいろな過去の経験が色濃く滲んだ章段です。 本
本 【後に会はんと・大和物語】伊勢物語の最終章を髣髴とさせる人との別れ 『大和物語』と『伊勢物語』は日本を代表する歌物語です。しかしその性格はかなり異なります。書き方の違いや、所収されている歌の詠みぶりにもむ大きな違いがあります。それをじっくりと検証していきましょう。 本
本 【信玄と謙信・頼山陽】敵に塩を送るという逸話の出典【日本外史】 敵に塩を送るという諺をきいたことがありますか。現在ではさまざまな意味で使われています。元々は頼山陽の『日本外史』という本が出典なのです。謙信と信玄の戦いの中で、塩が断たれた事件から、この逸話が生まれたのです。 本