【ゆらぎのある暮らし】意外性や突発性が人を内側から活性化させる

暮らし

ピンクノイズ

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

毎日の人間の暮らしはおよそ、非合理的なことの繰り返しです。

工場でつくられる規格品のようなワケにはいきません。

起きる時間も寝る時間も、その日の体調も全く違います。

朝からだるい日もあれば、妙に調子のいい日もあります。

とにかく毎日ゆらいでいるのです。

感情ひとつをとってみても、不安定ですね。

いくつものイヤな気分が重なる時もあります。

しかしちょっとしたいいことで晴れやかな気分になることもあります。

ゆらぎは規格外です。

本当ならば、そうしたものは捨て去られてしまうのに違いありません。

しかし真っすぐな人参やダイコンでなければ、食べられないなどいうことはないのです。

形が悪くても、おいしいものはたくさんあります。

街路樹もそうですね。

みごとに等間隔に並んでいます。

しかしそれだけが美しいワケじゃありません。

今はハナミズキが満開です。

白とピンクの花がこれでもかと咲き誇っています。

1本ずつ交互に色がちがうのがいいですか。

それともアットランダムの方がゆっくりしますか。

ちなみにゆらぐ音のことをピンクノイズというのを御存知でしょうか。

パワーが周波数に反比例する雑音のことなのです。

いわゆる1/fゆらぎを持った音のことです。

聞いたことがある表現ですね。

なんのことでしょうか。

ゆらぎのある生活

ゆらぎは自然界そのものに存在するのです。

なにもかもが一定ではありません。

全てがきちんと整っているようでも、厳密には一定ではありません。

その時のあなたの気分はどのようなものでしょうか。

どうも落ち着かないという人もいるでしょうね。

安定しない気もします。

ところが実はその反対なのです。

ゆらぎがあるということは、意外性や突発性が高いということを意味します。

次に何が起こるか分かりません。

そうすると人はどうなりますか。

たまらなく不安ですよね。

いつも同じリズムで同じ高さの音がでていれば、人はゆっくりするはずです。

しかし実はそれほど単純ではありません。

人間は日常に飽きるのです。

これが1番厄介な人間の性です。

もちろんめちゃくちゃにゆらいではいけません。

あくまでも適度が大切です。

1/fゆらぎは、規則性と突発性、予測性と逸脱性が適度に組み合わさったゆらぎを意味します。

このゆらぎがある空間にいると、人はむしろこころを落ち着かせてしまうのです。

たとえば、川のせせらぎの音はどうでしょうか。

潮が海岸に打ち寄せる音はどうでしょうか。

現代の人々は大量生産品の規格に飽きています。

ゆらぎは規格外品です。

商品にはなりません。

しかしそれがいいといって、手作りの陶器を求めます。

不思議な生き物ですね。

文明の対極

最近はキャンプ芸人などという言葉もあります。

驚きました。

焚火をするだけのYoutubeもあります。

焚火やろうそくの炎などは、ゆらぎの極致ですね。

ぼくが好きなのはメダカのいる睡蓮鉢に上からゆっくりジョウロの水をかける時の音です。

さらさらさらと音がして、とても心地がいいです。

川のせせらぎの音や、木々のそよぐ音。

これもすばらしい。

なぜなんでしょうか。

少し考えてみました。

背後に時間の脅迫があるからではないでしょうか。

人間は昔から時間に襲われ続けています。

意識をするとしないに関わらず、太古から時間は一定のリズムで時を刻んでいるのです。

人間はそれを切り取り、ほんのわずかの間、地上に滞在するだけの存在です。

宇宙の流れからみたら、一瞬ともいえない時間です。

ある意味、時の過ぎるのが怖いのです。

ところがゆらぎがあると、それを少しだけ忘れてしまう。

文明は黙って時を進め、人は進歩しているのか、退いているのか。

地球にプランBはないと知りながら、温暖化は進む一方ですね。

他の惑星に逃げることはできない。

少しくらいの小手先の努力だけでは解決のつかない場面を迎えつつあるのです。

ストレスと不安

しかしゆらぎがあれば、いつも快適かと言われれば、そんなことはありません。

時と場所や心理状態によっては騒音となる場合もあるのです。

よく言われることに文化や時代によってもゆらぎの質は異なるのです。

かつて日本人は風鈴の音を愛しました。

しかし今では騒音と感じる人が増えたといいます。

モーツァルトやバッハの音楽も、その時の心理状態によってはうるさいだけなのです。

ストレスが大きな影響を与えています。

今ほどストレスフルな時代はありません。

特にコロナ禍の中、人間関係では苦労することばかりです。

以前より他人と距離をとることも増えました。

そのせいか、いろいろ気になることがかえってよく見えてしまうということもあります。

もちろんストレスにはいい性質のものもあります。

適度なモチベーションを与えてくれるものはむしろ有難いです。

しかしそれも慣れてくると、すぐに次の不安がわき起こります。

人の性格にもよるでしょうね。

気にするなと言われて、すぐにそうなれる人など、滅多にいるものではありません。

不安定な気分で休日を過ごすということもあります。

特に近年はパソコンやスマホなどにかなりの時間をとられる日常が増えました。

これも疲れの原因です。

激しくなる競争社会、管理社会の構図も消えてはいません。

日光を浴びる。

身体を動かす。

散歩する。

ゆらぎを得るための方法はさまざまでしょう。

基本は他者との関係に尽きます。

その緊張を緩めてくれる装置の1つがゆらぎでしょうね。

自分にとって、何が1番効果的なのか。

毎日の暮らしの中で探してみてください。

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人は日常に飽きるものです。

つねに新鮮でいられる場所やことがらとの出会いには、ある程度の努力も必要です。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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