【小論文・若者の内向き志向】グローバルな人材の枯渇を憂う【挑戦】

学び

若者の内向き志向

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は若者の内向き志向について考えます。

コロナ禍です。

外国へ出ていくのは不可能に近い状態です。

国際関係の大学への志望者が減少しているというニュースも聞きます。

まさに雌伏の時ですね。

しかし留学を志望する学生は、コロナ以前も減りつつあったのです。

それがよりはっきりと浮き彫りになったということなのでしょう。

理由はいろいろと語られています。

経済的な背景があるのは当然です。

しかしそれ以上に海外に対する憧れをもたなくなったということもあります。

諸外国の様子が、今ではメディアで手にとるようにわかります。

ネットの力も想像以上に大きいです。

外国での暮らしが遠いものではなくなりました。

ほとんど日本にいても変わりがないという印象を多くの若者が持っているようです。

しかしいくらネットワーク化が進んだといっても、現地に行かなければ解決しない問題はたくさんあります。

外国人と対等に交渉できるタフな人材がどうしても必要なのです。

そのためにグローバルな視野を持った優秀な人間を求めていることに変わりはありません。

最近の小論文ではこの若者の内向き志向とグローバル化をリンクさせる問題が多くなっています。

この視点からテーマをチェックしておく必要があるでしょうね。

留学

現実に留学をするとなると、多額の費用が発生します。

経済的な余裕がなくなりつつある現在、数百万円単位でかかる費用を捻出するのは容易なことではないのです。

1度はいってみたいと考える学生もいるに違いありません。

しかし多くの生徒は国内で安定した暮らしをすることを優先しています。

海外で働きたいかという質問に6割以上の人は否定的だという調査があります。

インターネットで海外の情報に触れれば十分だという考え方です。

多い回答として日本は清潔で安全だし、コンビニなどがあって便利だからというのがあります。

わざわざ苦労するのがわかっている状況に飛び込みたくはないというのです。

もう1つの大きな理由に語学の問題があります。

例えば英語を考えてみましょう。

日本人が英語を学ぶというのは、大変なことなのです。

元々文法の大枠が全く違う言語です。

アメリカ人がイギリスへ留学するのとはワケが違います。

アルファベットを覚えるところから、文章の順番を頭に入れるまで、かなりの時間を必要とします。

ビジネスの現場では、言葉を使いこなして交渉をしなければなりません。

あるいは文化や習慣の違う人々と親密な関係を作らなければならないのです。

小さな島に同じ民族がひしめきあっているという構図とは明らかに違います

そのストレスはかなりのものでしょう。

さまざまな要件を考えているうちに、尻込みをしてしまうというのが現実なのかもしれません。

英語学習を進めることで、海外に対するコンプレックスが解消されれば問題ありません。

かえって難しさが前面に出てしまってはなんにもならないのです。

日本の企業は海外進出をしない限り、生き残る道がありません。

今のままでは先細りになってしまうのです。

現地法人の開設や駐在を嫌がる社員が多くては企業の将来が全くみえないのです。

具体的な情報を

日本にいると、外国での暮らしに対する情報が少ないような気がします。

やはり島国なのでしょう。

頻繁に外国へでかけている人もいる一方で、国内だけで暮らしている人も多いのが実情です。

考えてみれば電車とバスで隣国へ行けるという環境ではありません。

一見すると、英語と他のヨーロッパ言語とはかなり違います。

しかし元は同じなのです。

単語の類推も可能です。

文法もほぼ同じと言っていいでしょう。

漢字とひらがなの国からアルファベットの国へいくのとは全く様相が違います。

移動の費用もばかになりません。

アメリカと欧州の間は意外なくらいに近いのです。

それに比べると、日本からヨーロッパやアメリカへ行くにはかなりの距離と時間が必要です。

現在のような経済状況の中で、それを無理して出かけろということは言えません。

しかしだからといって黙ってみているワケにはいかないのです。

必要なのは啓蒙活動でしょう。

教育が担っている責任は大変に重いものがあります。

つねにグローバルな知識、視点を伝えることが必要です。

真剣に話し合い、考える場を持つことも大切なのです。

そのための場が学校でしょう。

学生をインスパイアーする装置として機能することが存在意義になります。

そのために国際関係の留学システムも構築されてきました。

グローバル化への意識

しかしその機会がコロナ禍で少なくなってしまったことが、大変痛手です。

頭の中ではグローバル化への意識がなくなっているワケではありません。

日本の若者は可能性を持っていると信じたいです。

しかし韓国や中国の学生に比べて、国内での就職が可能なことも一因として考えられます。

それだけについ躊躇ってしまうことになるのです。

日本人はシャイな側面を強く持っています。

いわば国際的には人見知りな民族なのです。

内側の人間といる時は自然に振る舞えても、新しい環境に飛び込むと、突然委縮してしまいます。

言語の不安や金銭的ハードルが解決しただけでは、前に一歩踏み出せないのかもしれません。

さらにどうしても留学しなければ就職ができないというところまで追いつめられているワケではありません。

韓国や中国とはそこが大きく違うのです。

日本ではまだまだ若い労働者は人手不足です。

留学経験がなくても働き口はあります。

外国へ無理して出ていくリスクを抱えなくても、十分に国内でやっていけるのです。

つまりこの問題は案外厄介なテーマだということがわかってもらえたと思います。

それではそんな状況の中で「あえて留学をするメリット」とは何でしょうか。

1つのチャレンジだと考えるのが妥当ではないでしょうか。

自分自身を成長させる契機です。

かつて『なんでも見てやろう』という作家小田実の本がありました。

まさにこの精神ではないでしょうか。

百聞は一見に如かず。

自分の目で世界を見ることが、その後の成長の契機になりうると考えます。

就職に有利だからというレベルではありません。

自分の人生を豊かにするための方法論の1つです。

そのためのターニングポイントにする覚悟があってもいいのではないでしょうか。

このままでは国全体が委縮してしまう可能性もあります。

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今こそ起業精神をもったグローバルな目が必要なのではないかと考えます。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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