【小論文・不登校】深刻な社会問題で課題が山積【自己肯定感の獲得】

学び

不登校問題

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は深刻な社会問題にもなっている学校不適応の問題を取り上げます。

不登校の問題は学習面での不安だけではありません。

それによって社会性や自己肯定感が育ちにくくなってしまうのです。

人生のレールを外れると、その後のリカバリーが大変難しくなります。

特に組織への適応力が問題視されることになり、就職活動などでも不利になることがあります。

教師による働きかけだけでなく、近年はカウンセリングをする専門家のアドバイスも重要なものになっています。

児童心理学の専門分野からの対応が必要なのです。

本人が登校したいと思うように、生徒に正面から向かい合い、原因、背景などを解明していく姿勢もポイントになるでしょう。

近年は教育学部での出題だけでなく、より広く日本の社会を捉えるという視点からの内容も多いです。

この際、自分の立ち位置と認識をあたらめて問うてみる必要があるのではないでしょうか。

不登校の原因は1人1人違います。

個別のていねいな対応が必要なのです。

その際、最後まで見捨てないという基本的な態度が最も大切になります。

保護者との対話をつねに続けながら、生徒との信頼関係を築き上げることができれば、やがて解決に至ることもあります。

しかし問題の根は深く、簡単に解決することはありません。

不登校の原因は想像以上にさまざまなのです。

各クラスに1人以上

現場にいると、各クラスに不登校の生徒が必ず1人はいます。

複数いるクラスもかなり存在します。

特に昨年から今年にかけてコロナで学校が休みになりました。

その間に学校へ行くという習慣を失ってしまった生徒も見受けられます。

近頃は住居環境も以前より恵まれています。

自室を持ち、パソコンなどでネットをすることも可能です。

あるいはSNSで同じ趣味の人間と繋がることもそれほど難しいことではなくなりました。

休校の間は特に決まった時間に行動する必要がありません。

かなり気ままに過ごせたのではないでしょうか。

n-k / Pixabay

教室にいれば感じる余計な人間関係にも煩わされることはないのです。

それだけ自由に行動することが可能でした。

突然、学校が再開したからといって、登校しなさいといわれても、戸惑うことが多かったはずです。

休校が学期はじめの時期だったために、人間関係がうまく作れなかったということもあります。

さまざまな要因が重なって、不登校になったものと思われます。

学校に不適応だと一言でまとめてしまうことはできません。

生徒や家庭の事情もさまざまにあるでしょう。

よくみていくと、学校という組織の持つ問題や教師との関係もあります。

さらに同調圧力の強さといった日本人社会が持つ特性の問題など、その背景は根深いのです

これは児童や生徒だけの問題ではありません。

どこに視点をおくかで不登校というテーマは様々に議論ができます。

課題文にのっとったものであったら、主題がどこにあるのかを見極めてください。

その論点の上にたって文章を書き進めていく必要があります。

必ずいくつもの視点を把握しておかなければいけません。

グラフなどとともに出題されるケースも多々あります。

違いに着目

グラフや図表などが出題されるケースでは必ず違いに着目することです。

似た数字をただ追いかけてもダメです。

決定的な差はどこにあるのか。

そこがポイントです。

単純に本人、親、教師、社会などといった犯人捜しをしてもあまり意味はありません。

入試小論文では、不登校の問題を特定の個人に責任を負わせて書くような内容は慎まなければなりません。

不登校については、個別の事情があまりに違いすぎます。

生徒が抱える個々の問題をていねいに解きほぐしながら、文章をまとめていく必要があるのです

一般的な不登校の定義はどのようなものなのでしょうか。

不登校とは、心理的,情緒的、身体的,あるいは社会的要因・背景などにより、登校しない、あるいは登校したくてもできない状況のことをさします。

病気や経済的な理由は除くケースが普通です。

ではなぜ不登校が起こるのでしようか。

学校生活で人間関係がうまくいかないなど、心理的な負担が積み重なり、そこになんらかの引き金があって起こることが多いのです。

不登校の背景として、家庭の問題や学校とのかかわり方がポイントになります。

友人関係、教師との関係がからみあっていることや、本人の情緒的混乱、無気力といったこともあります。 

近年では,不登校はどの子にも起こりえるものであり、問題行動ではないとする考え方が主流です。

以前なら学校へ行くのはあたりまえでした。

しかし今では「学校に必ず行かなければならない」という意識が薄らいできているのも事実です。

いわゆるフリースクールの思想もあります。

近年、通信制の高校などで自分の特性を生かすといった進路をとる生徒も見受けられるようになりました。

SNSが引き金

不登校のきっかけがSNSによるいじめであると指摘する人もいます。

近年はいじめから不登校になり、自殺をしてしまうというケースもあるのです。

いじめと不登校がリンクしているケースも多いです。

また不登校を理解する視点の1つとして、 発達課題の視点もあります。

その年齢に応じた新しい価値基準の獲得が十分にできていないケースがあるのです。

中学生になっても対人関係の技術が実年齢の子どもに比べ, 著しく未熟な場合が多いです。

さらに興味や関心が幼い生徒は、 とても同年代の集団には適応できないパターンもあります。

もう1つ大切なのは少子化の影響も色濃いということです。

兄弟が2人、あるいは本人だけという家族構成です。

親の過干渉がかえって子供を息苦しくさせるという背景もあります。

よく見られる親のパターンは次の4つです。

①子供を感情的に怒りすぎる
②子供を甘やかしすぎる
③子供に対する干渉が強すぎる
④子供を放任しがちである

不登校になりやすい生徒には、いくつかの特徴があります。

少子化の影響で、社会的な訓練が十分にできていません。

つい自分の意見を主張しすぎてしまうのです。

その結果、人間関係が壊れてしまうことにもなりかねません。

他者の意見をきちんと聞いて、適切に対応できるという基本が全くできないケースが多いのです。

基本は子どもの自己肯定感を高めていくことです。

むやみに褒めるのではなく、いいことと悪いこととの区別を明確にするのです。

学校も同様に善悪の内容を教え込まなくてはいけません。

最近では、SNSを使ってのいじめなどもあり、実態は複雑になる一方です。

自分の中に不登校の要素はなかったか。

あるとしたら、それをどう克服したきたのか。

いろいろな視点からこの問題を自分自身のこととして捉えなおしてください。

似た体験などもあれば、それをうまく書き込み、よりリアリティを確実なものにすることができます。

1度、じっくりとこのテーマと正対してください。

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今回も最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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