【小論文・フェアトレード】SDGsとのサステナブルな関係に黄信号

学び

フェアトレード

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回はSDGsと深い関係を持つフェアトレードについて考えてみましょう。

この言葉は耳にしたことがありますよね。

フェアとは公正なという意味です。

つまり生産者に適正な代金を支払うことで生産者との関係を緊密に永続的に保つという意味です。

SDGsの目標の中に「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「陸の豊かさも守ろう」「パートナーシップで目標を達成しよう」という項目があります。

その4つの目標をめざしている行動の1つがフェアトレードなのです。

この内容をきちんと理解をしておいてください。

自分が直接その運動に関わっていなくても、国際理解のための基礎教養として、最初におさえておくべきテーマです。

社会や環境がサステナブル(持続可能)に近づくということは、最も望ましい状態であることは誰でも理解できます。

フェアトレードにはたくさんのメリットがあります。

1番のメリットは生産者にとってのものです。

①生活が安定し貧困から抜け出せる
②子どもが労働することなく教育を受けられる
③所得を増やす機会が得られる

一口に貧困と言いますが、その内容は多種多様です。

日本でもコロナ禍での貧困が話題になりましたね。

しかし世界の貧困のレベルは想像の外にあるといっていいでしょう。

1日に1食しか食べられない人、1日に1ドルしか使えない人の数を自分で調べてみてください。

ぼく自身、かつてJICAの研修でアフリカを訪ねたことがあります。

その時に見た光景は壮絶なものでした。

持続し接続すること

目標の2030年には到底、達成不能なことは目に見えています。

コロナ禍でそのゴールはますます遠ざかりました。

それだけにフェアトレードを進めることに意味があるのです。

けっして中断してはいけない。

持続することに意味があるワケです。

この流れは消費者にとっても当然メリットがなければなりません。

ウィンウィンの関係でないと、こうした運動は長く続かないのです。

①安心・安全な商品が手に入る
②品質の高い商品が手に入る

さらに社会や環境にとってのメリットも考えてみましょう。

短期的に結果の出るものではありません。

しかし途上国の経済成長を応援できるということの意義は深いです。

経済的協力関係が安定すれば、民族紛争の種なども軽減可能になります。

あなたはこの運動に関わる商品を購入したことがありますか。

それが小論文を書く時の糸口になります。

そこからテーマを広げてください。

1番多いパターンが食品です。

チョコレート、コーヒー、バナナなどが1番最初にイメージに浮かぶのではないでしょうか。

チョコレート農園を例にあげて詳細を見てみましょう。

チョコレートの原料であるカカオは、ガーナ、コートジボワールなどの西アフリカが主な産地です。

ポイントは児童労働にあります。

学校へ通わずに働く子供たちが多いという実態があります。

賃金の安さ

労働者の賃金が安いこともよく知られています。

家計を助けるために、子供たちが労働者として駆り出されるという構図です。

ぼくが訪ねた国では、小学校は午前と午後の2部制でした。

どちらかに通えればいい方なのです。

収穫期にはそれもままなりません。

フェアトレードがなぜ存在しなければならないのかということの意味が理解できますね。

適正な価格で買い上げるということが1番大切なのです。

今までよりも高い金額でカカオを購入します。

それによって労働者の収入が増え、生活は安定します。

子どもは学校に戻ることができるようになります。

学習を続ける児童の中にはさらに上級の学校へ進学したいという希望を持つ人も出てくるでしょう。

それが可能になるからです。

SDGsの目標に合致した結果が得られるのです。

しかしフェアトレードは万能薬ではありません。

明るい未来がそんなに簡単に開けるワケではないのです。

そこにこの運動の難しさもあります。

進まない理由

全てにわたってこの流れが進んでいたら、もっと多くの消費者の元にフェアトレードの商品が届いているはずです。

しかし現実にはそれほどに売れてはいません。

チョコレートやコーヒー豆、バナナををそれと認識して買う人は、あまり多くないのです。

なぜか。

一言でいえば商品の価格が高いのです

さらに商品のバリエーションが少ないのも大きな理由です。

コストが高い商品を扱うということは、扱う企業にとっても大きなリスクです。

在庫をかかえ、輸入量の算出がうまくいきません。

儲けも当然それほどのものではなくなります。

そうした類いの商品を扱っているという社会的な正義感だけでは商売はできないのです。

一方、生産者にとってのデメリットはそれほどはありません。

他の作物の栽培への転換が難しいなどいった問題は生じる可能性があるでしょう。

しかしそれはなんとか話し合いで解決への方向を探れます。

問題はやはり買う側に多く依存します。

経済的に余裕がない消費者はフェアトレード商品を選択しません。

一種の贅沢品の扱いになるのです。

フェアトレード市場が広がらない大きな理由のもう1つは商品のバリエーションが少ない
ことです。

消費者のニーズとは違うものがマーケットに流れるという現象があります。

中間に企業が入り、相互の意見を拾おうとしても、可能でないことが多いのです。

ファッションに関していえば、ファストファッションのメーカーがニーズを先取りして、商品を市場に流します。

つまり時間との戦いにも勝てないのです。

フェアトレードは常に市場価格とは別の体系で価格設定をします。

あらゆる意味で使用品の調達、輸送、販売などにコストがかかります。

では世界のどんな国でフェアトレードへの理解が進んでいるのでしょうか。

アメリカ、イギリス、ドイツなどがフェアトレード先進国です。

特にヨーロッパは世界のフェアトレードをリードしています。

残念ながら日本ではあまり市場が育っていません。

1人あたりの年間フェアトレードにかけた金額は日本の場合、89円としいう資料があります。

ヨーロッパでは数千円単位です。

今後の問題として、もっと広報活動を積極的に進める必要があるでしょうね。

商品を扱うには年間ライセンス料が必要だという制度上の問題もあります。

地球温暖化の影響は作物の収穫量にすぐ影響します。

問題は今も山積しているのです。

フェアトレードと簡単に言いますが、その裾野にはたくさんの問題があります。

自分の周囲から世界をみつめてください。

SDGsはけっして対岸の火事ではないのです。

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小論文の問題にも今後出題される可能性があります。

知識を身につけておいてください。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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