讃美歌
みなさん、こんにちは。
ブロガーのすい喬です。
今回はちょっといつもと違う話をさせてください。
讃美歌についてです。
時々歌う機会がありますね。
そうです。
結婚式に呼ばれる時です。
小さな紙に歌詞が印刷されています。
曲は312番「いつくしみ深き」が多いようです。
いつくしみ深き 友なるイエスは
つみ とが うれいを 取り去りたもう
天井の高い礼拝堂に響くといい気持ちになりますね。
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新婚夫婦の幸多き未来を祝福したくなるものです。
結婚式をチャペルであげるからといって、皆がキリスト教徒というワケではないでしょう。
日本人特有のアイマイさが凝縮されていますね。
まさに讃美歌クリスチャンの面目躍如といったところです。
讃美歌というのは特にプロテスタントを中心として歌われる曲です。
何曲あるのでしょうか。
歌集によっても違いがあるのでしょうね。
どれもコード進行はごく基本的なものです。
複雑で歌いにくい曲はありません。
しかし美しい曲ばかりです。
歌っていると、敬虔な気持ちになれます。
それが讃美歌の魅力です。
高校の頃
高校の頃、隣に坐っていた同級生のSは将来牧師になるのだとよく言っていました。
実際クリスチャンだった彼は、何度かぼくを教会に連れていってくれたこともあります。
有名な伝道師が来日した時など、一緒に後楽園球場で行われた大会にひっぱり出されました。
しかしぼくは生来の横着者なのか、ちっともその教義には感化されず、もっぱら讃美歌の美しさだけにひかれました。
Sは暇があるとよくいろいろな曲を教えてくれました。
その中で最も気にいった曲が「主よ、みもとに近づかん」(320番)です。
ご存知ですか。
主よ、みもとに 近づかん / のぼるみちは 十字架に
ありともなど 悲しむべき / 主よ、みもとに 近づかん
この4部合唱曲を何度も二人で練習しているうち、上のパートと下のパートでハモることができるようになりました。
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それからよく授業の合間などに、2人で歌ったものです。
本当にきれいなメロディーで、今でも大好きな讃美歌の1つです。
その後Sは一浪し、とある大学の神学部に入りました。
椎名麟三などという作家の存在を教えてもくれました。
彼はよく遠藤周作なども読んでいました。
遠藤の代表作『沈黙』をどうしても読めといわれ、借りたことを覚えています。
すごい小説でした。
Sは食事が喉を通らなくなったと言っていました。
確かにそれだけの衝撃的な内容でしたね。
神の不在、沈黙というテーマは牧師をめざすSにとってさぞ重いものであったことでしょう。
『イエスの生涯』『キリストの誕生』などは後になって読みました。
いい作品です。
その後Sは大学院に進まず、留学してしまいました。
葬送
後になって調べてみると「主よ、みもとに近づかん」というのは葬送の曲なのです。
なぜあの時、あんなに熱心に歌っていたのかよくわかりません。
2人で歌うと、実にメロディがきれいで、楽しかったのを覚えています。
あんなに悲しい曲を喜んで歌っていたのが不思議です。
この曲はあの映画「タイタニック」の中でも使われています。
船が沈没する時、楽団員の1人が突然弾き出したのです。
その後に続いて、何人もの人がこの曲を演奏しました。
次第に沈んでいく船の中はまさに「主よ、みもとに近づかん」で満たされたのです。
このシーンは有名ですね。
曲の名前を知らなくても、ああ、あれかとすぐにわかるはずです。
最後にリンクを貼っておきます。
是非、聞いてみて下さい。
その後随分たってアメリカへ旅行した時、ソルトレイクシティーに立ち寄る機会がありました。
ここはほとんどがモルモン教徒の街です。
彼らはアルコールを全く飲みません。
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街の中心には真っ白い大きな教会があります。
その隣には有名な讃美歌を歌うための大きなホールもあるのです。
紙一枚ちぎってもホールの中に響き渡るほどの残響があると聞きました。
ここには世界中から多くの信者が集まります。
長い旅の果てに安住の地を見つけた彼らの聖地です。
博物館には迫害の歴史が刻まれていました。
帰りにそのホールで録音されたクリスマスソングのCDを何の気なしに買いました。
家に帰って聞いた時、あまりにもすばらしい響きなので驚いてしまいました。
モルモン教会では40才以上にならないと聖歌隊には入れないのだそうです。
それくらい声の質を大切にしているのです。
グラナダ
かつてロンドンのウェストミンスター寺院で少年聖歌隊の賛美歌を聴いたことがあります。
あの教会の響きも見事ですね。
さすがにイギリスを代表するだけの教会堂です。
もう1つ忘れられないのは、スペインのグラナダへ着いた朝のことです。
夜行列車に揺られて、マドリッドから旅をしました。
朝、やっとグラナダに着いたのです。
たくさんのカフェがありました。
その一画で食事を終え、いよいよアルハンブラ宮殿を目指します。
その途中にあったのが、小さな教会でした。
たまたま歌声が聞こえてきたのです。
なんとなくフラフラとその音に引き込まれるように中に入っていきました。
朝の祈りが続いていたのです。
数人の信者が祈りを捧げていました。
毎日のごくありきたりの風景なのでしょう。
その時に聞いた讃美歌の響きは、本当にきれいでした。
結局人間には祈ることしかできません。
おそらく無力な人間は最後に祈ることで、心の平安を保って生きていくのでしょう。
名もなく、静かに生まれてやがてその土地で死んでいく。
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遠くスペインの地まで旅して、その事実を強く感じました。
ぼくにとっては忘れられない朝の風景です。
暗い堂内にも、光は降り注いでいました。
そこから丘をのぼり、アルハンブラ宮殿に向かったのです。
背中のリュックが重かったのを今でもよく覚えています。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。