【二月つごもり頃に・枕草子】白楽天の詩を上の句に据えた清少納言

枕草子の中にある「二月つごもり頃に」は味わいのある文章です。清少納言が宮中に出仕すると、彼女の品定めがさっそく始まりました。どの程度の能力があるのかをチェックしたがったのです。最初に試されたのは、和歌の腕前でした。彼女はどうしたのでしょうか。

【大和物語・安積山】万葉の時代に詠まれた和歌を題材にした女心の話

歌物語の代表といえば、『伊勢物語』があります。しかしそれと同じくらい味わいの深いものに『大和物語』があるのです。高校ではあまり習う機会がありません。しかし女性の心を描いた話と歌とのコラボには、独特の味わいがあります。

【礼記・四書五経】虎よりも怖いものは何かといえば【儒教の教書】

四書五経は儒教の経書としてよく知られています。53万字という大変な量の本です。その中で今回は『礼記』を取り上げます。代表的な言葉の中に「苛政は虎よりも猛なり」という表現があります。どういう意味なのでしょうか。少し調べてみました。

【恋の歌を読む・俵万智】鉄幹に愛を捧げた与謝野晶子の歌は【挽歌】

俵万智のエッセイを読んでみましょう。与謝野晶子が鉄幹の亡くなった後に出した遺歌集『白桜集』について書かれたものです。どれほど夫のことを愛していたのかということがこの挽歌を読むとよくわかります。しかもそこに描かれている恋の心が純粋なのです。

【二十億光年の孤独・谷川俊太郎】高校で習う定番の詩はコレ【第1詩集】  

高校で必ず習う詩に、谷川俊太郎のこの作品があります。タイトルは「20億光年の孤独」です。タイトルから何を想像しますか。彼の第1詩集に所収されています。独特のイメージで人間の孤独を表現しています。さらにユーモラスな点も特筆されます。

【おじいさんのランプ・宇野常寛】ネット時代のメディア論は沁みる

メディアの変化があまりにも激しいです。以前のような紙媒体の書籍に意味があるのかどうか。かつてランプを売っていたおじいさんが、電気に負けたのと同じことが、今世界中で起こっています。文字の持つ意味さえも変化しつつあるのです。

【関路の落葉・無名抄】歌人たちは言葉を命がけで紡ぎ出し和歌を詠んだ

鴨長明の『無名抄』は歌論書として有名です。そこにはさまざまな歌人の姿が描き出されています。源三位頼政の歌合の話がありますね。どの歌をもっていったらいいのか悩んだ結果、長明の歌の師である俊恵法師に相談をもちかけます。その結果はさて…。

【算数文章題が解けない子どもたち】ことばの力が足りず学力不振に 

算数文章題を解く力はどこで養われるのでしょうか。それを解明しようとした研究グループがあります。先ごろ、本にまとめられて出版されました。読んでみた感想は、なるほどということばかりでしたね。皆さんにもご紹介します。

【兵法書・戦国策】軍師の術策は人の心を読むことに尽きる【勝利】

中国の兵法書にはさまざまなものがあります。戦国策もそのうちの1冊です。さまざまな戦いで繰り広げられた戦いの様子を裏側から描写しています。人間の心理をきちんと知らなければ、軍師にはなれなかったのです。

【玉勝間・本居宣長】師の説になづまざることの中で最も言いたかったのは

本居宣長は日本を代表する国学者です。彼の随想集に『玉勝間』があります。この本は長い間の研究生活の中で、感じたこと、考えたことを自由に綴ったものです。特に自分の師の学説になじめない時、どうすればいいのかについて、言及しています。

【林京子・空き缶】原爆の持つ怖しさを日常の中で深く静かに綴った小説

林京子の『空き缶』は大変重い小説です。しかし悲惨な様子を描くのではなく、日常の中にある原爆のもたらす悲劇を書き込んでいます。卒業した学校が取り壊しになるので、最後の見学に出かける話です。記憶の断片にあらわれる怖さを実感してください。

【漢文・日記故事】村の裕福な家の娘婿になった男の善行【死後は神に】

中国の古い本『日記故事』から有名な話を1つ紹介します。村の裕福な家の娘婿になった男の話です。かれはその財産をなんとかその家の直系の1人息子につがせるため、あらゆる努力をします。それが無事にうまくいった後、神になったのです。

【漢文・説苑】王に琴を投げつけた楽師の真意はどこにあったか【忖度】

漢時代の儒者が書いた本を読みます。『説苑』(ぜいえん)です。偉人や文人たちの話がたくさん載っています。大きく学んだ人間は行動もスケールが大きいです。それを理解する王の存在もここではクローズアップされています。

【郁離子・寓話集】フグを食べて死んだ息子に対して親がとった態度は

中国の寓話集『郁離子』を読みます。180篇もある長大な本です。儒教の影響を強く受け、当時の中国の世相を詳しく書きこんでいます。フグを食べて死んだ息子に対して涙を見せなかった父親の気持ちはどのようなものだったのか。読んでみてください。

【源氏物語玉の小櫛・本居宣長】もののあはれとは理不尽な人間の性

本居宣長は彼の代表作『源氏物語玉の小櫛』のなかで「もののあはれ」ということを何度も述べました。儒教や仏教の教えに従えば、光源氏のような主人公が登場してはならないのです。しかしそこに起こったという事実だけが人間を支えるもう1つの真実なのです。

【格差病社会】あらゆる現象を説明するには便利な表現だが本当なのか

格差という言葉が聞かれるようになって20年近くが過ぎています。その実態はどのようなものなのでしょうか。橘木俊詔の新書にはその頃の警告と事実が述べられてます。今でも参考文献になりうる本です。加藤諦三の本の中にある日本人の心理と比べてみましょう。