【養和の飢饉・方丈記】歴史の証言として価値の高い章段【鴨長明】

『方丈記』の中には歴史的な記述がいくつもあります。その中でも有名なのが、養和の飢饉の記述です。多くの人が亡くなった様子が、生々しく記述されています。おりしも末法思想が広く信じられていました。人々の心の中はどのようだったのでしょうか。

【源氏物語・雨夜の品定め】どのタイプの女性と一緒になれば幸せになれるの

『源氏物語』帚木の段に出てくる「雨夜の品定め」の話をしましょう。これは紫式部が女性観を綴った段落です。どのような女性と結婚すれば、男性は幸せになれるのか。その秘密を探ったところなのです。いろいろな過去の経験が色濃く滲んだ章段です。

【後に会はんと・大和物語】伊勢物語の最終章を髣髴とさせる人との別れ

『大和物語』と『伊勢物語』は日本を代表する歌物語です。しかしその性格はかなり異なります。書き方の違いや、所収されている歌の詠みぶりにもむ大きな違いがあります。それをじっくりと検証していきましょう。

【信玄と謙信・頼山陽】敵に塩を送るという逸話の出典【日本外史】

敵に塩を送るという諺をきいたことがありますか。現在ではさまざまな意味で使われています。元々は頼山陽の『日本外史』という本が出典なのです。謙信と信玄の戦いの中で、塩が断たれた事件から、この逸話が生まれたのです。

【男こそ・枕草子】いつの世も男女の仲は複雑怪奇です【中世の恋愛観】

いつの時代も男女の仲は複雑怪奇です。ましてや中世においては、現代とは全く違う結婚観を持っていました。女性はあくまでも家に縛り付けられていたのです。しかし清少納言は宮廷に仕えたことで、世間を一気に広くしました。その結果が『枕草子』に残っています。

【相模守時頼の母は・徒然草】世の中を治める道理は倹約が根本である

『徒然草』の中にある母親の話を書きましょう。時の執権の母親がどのような行動をとったのかというのがテーマです。わざわざ彼女は自分の手で敗れた障子を直しました。全部をなおしたのではありません。破れたところだけを張り替えたのです。なぜでしょうか。

【山の人生・柳田國男】日本人の凄絶な暮らしを記録した民俗学の本

柳田國男の確立した民俗学は、日本人の生活の実態を研究するための里程標になりました。今回とりあげるのは『山の人生』という作品です。その前書きにある内容があまりに凄絶なので、思わず言葉を失ってしまいます。

【人間関係力・齋藤孝】全国を歩いたという宮本常一の章段が1番刺さった

斎藤孝氏の著書『人間関係力』の中で1番刺さったのは、民俗学者、宮本常一の章段でした。どこに惹かれたのか。それは宮本がとにかく聞く人だったということです。人は必ず話したいことを持っている。それを拾い集めていくだけで、日本の構造がみえたのです。

【太宰治・清貧譚』中国の短編集『聊斎志異』に取材した怪異な小説

太宰治の小説は教科書にもかなり所収されています。代表的な作品には、高い評価が与えられています。どの小説を読んでも、やはり太宰治はうまいと感心させられてしまうのです。今回は中国の短編に題材をとった『清貧譚』をご紹介します。

【13歳からの地政学】遠交近攻という戦略を初めて知る【深海が核貯蔵庫】

ロシアによるウクライナ侵攻以後、地政学の本が書店に並ぶようになりました。どこに国があるのかという地理的な問題が、今や大きな意味を持つようになっています。『13歳からの地政学』という本は大人が読んでも十分に耐えるだけの内容を持っています。

【俳句・縮み志向の極致】松尾芭蕉の俳句に宿る美の魂を知る【日光】

松尾芭蕉の『奥の細道』は俳句の世界を大きくかえました。旅行記でありながら、そこには創作者の魂が宿っていたのです。多くの人々に今も感銘を与えています。今回は日光の段を扱います。その地で詠んだ俳句を味読してください。

【枕草子・宮に初めて参りたるころ】殿上人への憧れが清少納言を緊張させた

『枕草子』にはユニークな章段がたくさんあります。その中でも清少納言が初めて出仕した時の記述は素晴らしいものです。当時の宮廷がどのようなものだったのか。もちろん、高級貴族以外の人には知る由もありませんでした。彼女は突然中宮の女房になったのです。

【正徹物語・一字の違ひ】歌人は己れの感性をひとつの文字に託すのです

『正徹物語』というのは歌論書です。学校ではめったに扱いません。それだけに新鮮ですね。一つの歌を分析し、そこに描かれた世界をイメージしながら鑑賞するのです。歌人たちが、わずかな言葉の中に、心血を注いだことがよくわかります。

【枕草子・中納言参りたまひて】思わず微笑むユーモアたっぷりの章段

『枕草子』の筆者、清少納言は実に機知にとんだ頭の回転の速い人です。そのことがよくわかる日記の章段がいくつもあります。その中の1つが、このクラゲの話です。立派な骨をみつけたと自慢している中納言に向かって、軽口をたたく彼女の愛らしさといったら。

【枕草子】どうしてこのタイトルになったのかという不思議【三大随筆】

『枕草子』は日本を代表する随筆の1つです。清少納言がその時々に書いたエッセイが千年後の今読んでも、ちっとも古びてはいません。それだけ彼女の観察眼が鋭いということなのです。しかし「枕」などという言葉が本の題名になぜのっているのでしょうか。

【落窪物語】継子いじめの果てに掴んだシンデレラ姫の幸せストーリー

継子いじめの話として有名な『落窪物語』を取り上げます。あまり学校では扱うことがありません。授業でも数回しかやりませんでした。今回の話は義理の息子が父親に自分の官職を譲るという美談です。最後まで味わってみてください。