【接続詞と修飾語の怖さ】つい使ってしまう便利な表現を潰す勇気を持つ

学び

便利な表現

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は文章術について再考します。

誰もがいい文章を書きたいのです。

そんなことは言われなくても、よくわかっていますね。

合格答案を完成するためには内容は当然ですが、文章力も必須です。

では何がいい文章と呼べるのでしょうか。

これは非常に難しいテーマです。

読者のニーズが自ずと異なっているからです。

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しかしここでは入試の時に必要な文章表現に限定しましょう。

話はごく単純です。

読み手にきちんと伝わる文章が最もいいのです。

自分の言いたいことが、100パーセント真っすぐに相手の胸に届くことが大切なのです。

入試に限定すれば、読者は採点者です。

彼らの評価基準に照らし合わせ、優れたものであればいいのです。

そのためにはどう書けばいいのか。

誰が読んでも1度でわかる内容である必要があります。

大切なのは、短い文章で言い切ることです。

これを「一文一義」と呼びます。

英語でいえば、「ワンセンテンス、ワンコンテンツ」です。

1つの文の中に主語と述語がワンセットあればいいのです。

それ以上に文を長く引き伸ばす必要はありません。

初心者ほど、長文を書く傾向があります。

頭の中が整理されていない証拠です。

主語と述語の対応

長文になればなるほど、主語と述語の対応が難しくなります。

書き手自身が論旨の方向性を見失う可能性が高くなっていきます。

どこに主眼があるのか、読めば読むほど、さっぱりわからなくなっていくのです。

しかし書いた当人は、そのことを認識していません。

自分の文章に酔っています。

これが最も怖いです。

ここで1つ、トピックスを書きましょう。

うまくならないために必要なこととは何か。

随分とふざけた問いですね。

それは文を切らずにダラダラと書き続けることです。

無駄な修飾語を入れ、接続詞をたくさん使えば、悪文はすぐに完成します。

では、本当に読みやすいいい文章を書くためには、どうすればいいのか。

その真逆をいけば、完璧な文章になります。

接続詞を削ることの重要性は、書き続けていくと、ますます身に沁みてきます。

新聞記者が最も怖れているものの筆頭は接続詞の多用です。

もう1つ大切なことがあります。

副詞、形容詞の使い方です。

文のへたな人ほど、無駄な副詞や形容詞を多く使います。

「とっても」「たくさん」「じっくり」「大変に」「きれい」「悲しい」などを軽い気持ちで使わないことです。

例を出しましょう。

「私はその別れがとても悲しかった」という文に対して、あなたはどう反応しますか。

確かに意味はわかります。

しかしそれ以上の感情は湧きません。

悲しさを表現するのに「悲しい」を用いたら、文が台無しになるのです。

その時の情景を描写することで、主人公の心の中を表現しなくてはなりません。

これが文章を書く時の基本です。

もっとも小論文に感情の表現を使うことは、それほどはありません。

しかしこれは全ての文章に通用する原則なのです。

青空を見つめ続けたことで、強い悲しみを強調することも、可能だということを覚えておいてください。

接続詞「なので」はNG

次に、初心者が1番手を焼くのは接続詞の扱いです。

最近はやっている表現の1つに「なので」があります。

この言葉は最悪ですね。

小論文で使ってはいけません。

「なので」は口語の表現です。

会話の中に入れるのも、できれば避けたいところです。

「だから」「それで」「そこで」などは実に便利な接続詞です。

誰もが使いたがります。

しかし基本的に順接の接続詞は使わなくても、文章は書けます。

その方が、文章に力が出ます。

使わない方がいいなどという言葉が存在するものなのでしょうか。

信じられませんね。

ところが、使うのをやめると、読みやすくなるのです。

必要なのはむしろ「逆説」の接続詞です。

「しかし」「だが」などという類いの表現を取り除くと、意味が通じなくなります。

これだけは残してください。

ただし、使用回数は最低限にすること。

小論文は論理性を重視するので、接続詞を正確に使用することがポイントです。

これさえ間違えなければ、正確な内容を真っすぐな方向へ進めることができます。

原稿用紙の印象

採点者は短い時間に、たくさんの答案を読みます。

そのためか、読んですぐに頭の中に映像が浮かびやすい文章を好む傾向が強いです。

全体の文が黒々していると、それだけで気分が萎えます。

漢字が多い文章は一般的に堅い印象が強くなるのです。

言葉のバランスを常に意識してください。

最近は、無理に漢字を書かない傾向が強くなりました。

あまりひらがなばかりでは、論文にはなりません。

しかし漢字をひらがなにすると、効果の出る場合が多いです。

同時に、カタカナ語の配分にも気を使うことです。

カタカナを無理に挿入するのは、やめた方がいいでしょう。

最後に答案をみたときの印象を書きます。

第一印象は、とても大切です。

字は上手でなくてもかまいません。

ただし、ていねいに書いてください。

あまり薄い文字はNGです。

細いシャープペンシルで書いた文字の薄いものは避けましょう。

生徒にはBより濃いものを勧めています。

大きな字できちんと書いてあるだけで、「意志」の強さを感じます。

これは採点した者にしかわからない感想です。

ぜひ、実践してほしいです。

小論文を書いたら、これぞという先生に読んでもらうことです。

人選は慎重にしましょう。

実力が飛躍的にのびるように指導してくれる先生は、それほど多くありません。

センスのある生徒だと、数回の添削で実力が伸びます。

書くスキルは一生の財産です。

明大教授・斉藤孝氏、ジャーナリスト・池上彰氏の文章を参考にしてください。

わかりやすい、実にのびのびとした文章を書く人たちです。

難しいことをやさしくわかりやすく書けるようになれば、小論文のレベルをはるかに超えることができます。

頑張ってください。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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