話し言葉
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は書き言葉の問題を取り上げます。
たくさんの答案を今までに読んできました。
添削した小論文の数もかなりのものです。
その中には日常の会話で話す言葉をそのまま論文に使う受験生がかなりいます。
読んでいて最も残念なことの1つです。
気軽に文章を書いてしまうのです。
実は話し言葉と書き言葉の違いがよくわかっていないままなのです。
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自分ではこれでいいと思って書いているのでしょう。
だからこそ、添削しながらそれをなおしていくのが厄介なのです。
違いがわかっているのなら、なんの苦労もしません。
しかしそうではないのです。
どれが書き言葉なのか。
どれが話し言葉なのか。
その違いを知ることが小論文のスキルを上げていくための最大の近道です。
両者の違いがわかりますよね。
書き言葉は手紙や作文などに使う言葉です。
話し言葉より改まった感じの印象が強くなります。
以前、これと関連している「ら抜き言葉」「い抜き言葉」を使ってはいけないという記事を書きました。
リンクをして貼っておきましょう。
ら抜き言葉
日常の会話の中で「ら抜き言葉」は頻繁にみられます。
もうあたりまえの表現になってしまったのかもしれません。
しかし「書き言葉」に関しては絶対にNGです。
可能の助動詞「られる」を「れる」にしてはいけません。
「食べれる」「着れる」などは必ず「食べられる」「着られる」でなければいけないのです。
それと「い抜き言葉」も同様です。
「見てる」「聞いてる」ではありません。
「見ている」「聞いている」が正しいのです。
話すときは許されても、書く場合は全く別です。
それさえも知らずに答案を持ってくる生徒がいます。
他にもおかしな表現があります。
最近、幾つも見かけるようになりました。
それを次にご紹介しましょう。
受験生が自覚していないだけに、話は厄介です。
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例えば「違くて」というのがあります。
これは中高生などが使う典型的な話し言葉です。
正しい表現はもちろん「違って」です。
しかしそれが間違った表現であるということを知らないのです。
こういう言葉が小論文の中に登場したら、その段階で内容に対する疑念が広がりますね。
国語力の不足をはっきりと露呈しています。
その他によく使われるのが「でも」「とか」などがあります。
「でも」は「しかし」。
「とか」は「など」が正しいのです。
さらに最近よく目につくのが「なので」です。
話し言葉では実によく耳にしますね。
「なので」で繋いで順接の文章を書いているつもりなのでしょう。
これを正しい接続の仕方だと思っている人は、ここで考え直す必要があります。
正確な書き言葉は何なのでしょう。
一般的には「したがって」が最も適切な言い回しです。
「だから」では文体が崩れてしまいます。
正しい言い回し
言葉はいったん気になると、どうしてもそこでつまづいてしまうものです。
内容が頭に入ってこないのです。
全ての正しい表現がわかっているうえで、少し崩して書く場合はなんの問題もありません。
ただし、小論文にそうした文章を入れることは許されません。
もっといえば、縮める言葉も同じです。
「言っちゃった」などという話し言葉を文章に使う人もたまにいます。
正解は「言ってしまった」です。
このように1度癖になってしまうとなかなか抜けなくなってしまうのが言葉というものなのです。
「じゃない」もそうです。
「~ではない」という意味で使いますが、いつも喋っているんでしょう。
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そのままの形で文章にしてしまいます。
これだけは絶対に避けたいですね。
表現だけではありません。
記号も同様です。
「!」や「?」などのマークも小論文では使いません。
基本的な表現をきちんと理解して文章を書くようにしてください。
採点者の眼
採点者は最初に答案のどこを見るのか。
制限字数、誤字脱字などはあたりまえのことです。
しかしその次にみるのは、言葉の使い方です。
書き言葉と話し言葉の区別がつけられない人は国語力のない人です。
そういう人の文章は大体の場合、内容も薄くて説得力のないケースが大半なのです。
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短時間でたくさんの答案を読まなければならない立場で、崩れた文章を読むのは苦痛なものです。
きちんとした文章を書いてください。
それが合格への最短距離です。
どうしたらそれが可能になるのか。
とにかく文章を読むことです。
内容のしっかりした論理的な文を読む。
そのために有効なのは、国語の入試問題です。
問題集を1冊、何度でもやってください。
優れた文章には気品があります。
正確な言葉遣いの評論を読むことで、間違いなく力がついていきます。
残りの日々をじっくりとそのための時間に費やしてくださいね。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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