2021年度入試テーマ予想
みなさん、こんにちは。
小論文指導歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今年度の入試もいよいよ始まりました。
まもなく小論文試験の全容も明らかになることでしょう。
入試が全て終わった段階で検証し、来年度の予想問題を考えたいと思います。
昨年から今年にかけ、新型コロナウィルスの世界的な流行がとまりません。
人々の生活が一変したのです。
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状況は完全にパンデミックの様相を呈しています。
ワクチンの接種も始まりつつありますが、予断は許しません。
日本でも今年に入ってから再び緊急事態宣言下に入っています。
ウィルスに対する特効薬もまだみつかっていません。
この状況から判断して、2021年度の入試においては災害の問題がかなり大きくクローズアップされるものと思われます。
災害といっても人災、天災とさまざまにあります。
度重なる地震がその1つ。
今年は福島の原発事故から10年目を迎える年です。
これも重いテーマです。
地球温暖化も年々その深刻な度合いを深めています。
今年の夏もかなりの猛暑になると思われます。
夏以降、台風や集中豪雨の心配もあります。
さらに今回の新型コロナウィルス蔓延。
内容は異なるものの、日本列島はつねにさまざまな災害に襲われているのです。
今回のコロナウィルス問題1つをとりあげても、かなりの報道がなされています。
この内容に関する問題が確実に出題されるでしょう。
経済、政治、教育、労働環境、日常生活。
あらゆる視点からテーマを掘り下げ、問うことができます。
報道を注視しよう
さらに政府の対応の可否。
SNSによる情報の拡散。
それに対する人々の行動。
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どれ1つをとっても、課題文になり得ます。
パニック状態になると、人間は理性をかなぐり捨て、想像を絶する行動にでることも明確になりました。
人間行動学や心理学の分野からの出題も可能です。
もちろん、医学的な見地からも課題文の提出があり得ます。
国家的な非常事態宣言のあり方を問うこともできるでしょう。
十分にこれらのテーマを自分のものにしておいてください。
今後もさらに新しい動きが出てくると思われます。
その時の政府の対応、人々の動きに着目してください。
さらに他の国はどうような行動をとるのか。
ヨーロッパ、アメリカとアジアの国々には扱い方の差があるのか。
渡航禁止などの措置がどこまで意味を持ちえたのか。
新聞を丹念に読むことを勧めます。
学童や保育のあり方。
非正規労働者の存在。
不確かな情報に惑わされた人々の動きなども格好のテーマになり得ます。
ジェンダーの問題
ジェンダーギャップ指数についても、ここ数年かなりの問題が出題されています。
昨年、世界経済フォーラムが発表した数字をみると、日本は153カ国中、121位にとどまっています。
これは過去最低です。
教育分野においても91位と低迷しています。
最も低いのは政治です。
144位です。
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女性の議員数が世界の基準からみて低すぎるのはかなり以前から指摘されていました。
まさに男性優位社会の原型だと思われます。
このことは教育の世界でも明らかです。
複数の大学で医学部入試における女性差別が明らかになりました。
女医はいらないとはっきり指摘されたのです。
将来子育てなどの理由で、現場から脱落してしまう存在としてしか認識されていなかったのです。
女性の活躍推進を口にするわりに、現実はついていっていません。
カナダでは閣僚の半数が女性だという報道がされています。
経済界でも取締役の半分は女性にすべきだという流れが基本です。
日本の場合を見てみると、全く話になりません。
初等教育就学率においては1位をとっているものの、高等教育になると108位にまで落ちます。
これはなぜなのか。
よく言われることですが、難関大学では女子学生の比率が圧倒的に低いのです。
女性があまりに高学歴だと結婚しても幸せになれないといった神話がいまだに通用しています。
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女性は無理にそこまで勉強する必要はないといった考え方をする人もいます。
入社試験で総合職と一般職を選ぶ時も、女性の場合は転勤が頻繁にある総合職を敬遠する傾向が強いです。
セクハラや性暴力の話題にも事欠きません。
この問題の基本はどこにあるのか。
それをきちんと考えておいてください。
家庭や個人の中に女性蔑視、女性軽視の考え方が根づいているのではないか。
その理由はどこにあるのか。
いや、そんなことはないという人もいるでしょう。
ミクロ的な視野からみれば、隋分と改善されてきたという意見もあります。
対立軸をはっきりさせるために、あえて反論を試みてください。
友人同士のディベートも有効です。
女性差別の本質に迫ることで、日本社会の構造もあぶりだされるはずです。
ジェンダー論は2021年度も盛んに出題されるに違いありません。
定番のテーマを必ず掴む
2021年に入って何がかわりつつあるのか。
それを最初に考えてみましょう。
1番の変化は5Gの普及です。
今までの通信インフラをはるかに超えるスピード感があらゆるものを変えていくに違いありません。
通信速度が現在の20倍、同時接続数が10倍に向上します。
想像を絶する高速通信は、距離を超えて可能なことを増やすのです。
遠距離間における手術などという全く従来では発想もできなかったことが可能になります。
無人農業、自動運転をはじめとして、インターネットにあらゆるものがつながります。
通信に遅滞がないということも大きな特徴です。
AIの技術とコラボして、ますます人間とインターネットとの関係が深くなるでしょう。
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工場の無人化も進むに違いありません。
アマゾンなどの集荷場からは人間の姿が完全に消えてしまうかもしれないのです。
自前のLANを5Gで組むにはコストがかかります。
しかし、それでも実装する会社は増えるに違いありません。
逆の立場からいえば、人の関わる仕事の質が大きく変化していきます。
現在もある無人化された店舗のレジシステムなどは一気に進むでしょう。
つまりAI技術が劇的に人間の生活を変えるのです。
労働の意味が変化するのは間違いありません。
職業を失うケースも増えることでしょう。
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生きがいとか豊かさなどといった問題がこのテーマと絡んできます。
リスクマネージメントが進みすぎると、人の生きる意味、失敗の持つ意義などといった哲学的なテーマもとりあげられるでしょう。
もちろん、少子高齢化は定番中の定番です。
絶対にはずせません。
その他、高度医療に関する倫理の問題も喫緊です。
環境と災害、教育、格差社会と大きなテーマは2021年度も引き続き課題として提出されるでしょう。
大きな問題として、そうした時代の中で家族とはどういう意味を持つのかという原点にも大きなスポットがあてられると思います。
今回はいくつかのテーマだけに照準をあてました。
次回以降、さらにそれぞれの内容について深彫りしていきます。
ここに示したテーマについては十分に対立軸を求め、研究しておいてください。
反論できる内容を精査しましょう。
何が出ても不思議ではありません。
最後までお読みいただきありがとうございました。