外国語を学ぶ
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回はグローバル時代の象徴、英語について考えてみます。
ここ数年、外国語特に英語を学ぶ意義を書かせる問題がよく出題されます。
日本おける学習熱はとても高いですからね。
小学校でも英語が授業に取り入れられるようになりました。
子供たちも単語を必死に繰り返して発音したりしています。
英語ができればビジネス面でも役に立つのはいうまでもありません。
進学や就職にも有利です。
入試では格段に有効です。
英検の資格があれば推薦入試の基本アイテムを1つゲットしたことになるのです。
グローバル時代です。
現在何人の人が英語を使っているのか。
英米人が約4億人。
インドやシンガポールのように英語が公用語の国と、外国語として使う人の数は10数億人と言われています。
数字からいえば圧倒的に英米人以外の方が多いのです。
発音や文法も含めて、どこが英語の核の部分にあたるのかは、それだけで大きな問題です。
実用的な面だけでもかなりの効果をみせて機能していることはいうまでもありません。
しかしそこだけにスポットをあてたのでは、文章の内容が浅くなるのは目に見えています。
言語の背後には歴史や文化の重みがあります。
大きくいえば民族の持つ価値観を学ぶことが大切なのです。
そこまでいかなければ、本来の意味での外国語の勉強にはならないでしょう。
しかし生きた英語にはそこまでの深みが必要なのか。
これも1つのテーマになります。
国際共通語
純粋に国際共通語としての英語を考える必要もあります。
もちろん、文化的な切り口を言語から全て取り去ることは不可能です。
その背後には考え方の基本的な枠組みがあるからです。
グローバル時代の公用語はもちろん、英語に違いありません。
しかしそこだけに特化してしまうと、話題が少し狭いものになってしまいます。
そのあたりのさじ加減がかなり難しいとも言えます。
最近は中国語を学ぶ人も増えてきました。
言葉はつねに経済力と密接な関係を持っていますからね。
英語以外の言語がどのように扱われてきたのかということもあわせて考えてみる必要もあるでしょう。
英語を学んでよかったと思えることの1つに、考え方の違いを知ることができたという点があるのではないでしょうか。
構文の型が日本語のそれとはまったく違います。
あるいはNoをここまではっきりと早い段階で言い切る言語というものがあるということを知ったのも大きいです。
さらにいえば主語の扱い方ですね。
つねに決まった表現しか使いません。
日本語のように自分をあらわす言い方がいくらでもあるというようなカメレオン式ではないのです。
尊敬、謙譲、丁寧を繰り返して複雑に構成する日本語の呪縛から離れて、気楽に会話ができることも英語の強みです。
日本語で話している時よりも、大胆で強く見えるという印象を持つ人が多いようです。
やはりYesNoをはっきりと口にするからでしょう。
知らない間に論理的な話し方をしているのです。
それは言葉の構造による側面が大きいからです。
まさに文化や精神構造の基本の違いといえるのではないでしょうか。
スキルとしての英語
これからのグローバル化時代にあわせた英語の学習ということも同時に考えなくてはなりません。
それがスキルとしての英語という概念です。
つまりすべての言語の裏側にある文化をかかえこむのではなく、自分の育った言語体系の考え方を入れ込むことも可能だということです。
スタンダードへの照準を少しずらすという感覚に近いかもしれません。
究極の世界標準言語と呼ばれるものにエスペラント語があります。
実際に使っている人がどれくらいいるのでしょうか。
あそこまで突き詰めてしまうと、言葉の持つ彩りがかえってなくなってしまうのかもしれません。
背後にある文化を全て背負うのではなく、その直前でむしろ軽くする。
習い続けてきた英語をどう飼いならしていくのかということも大切です。
もちろん、世界の言葉にはそれぞれの文化的な背景があり、優劣がつけられるものではありません。
使うにあたっては偏見などが入り込む余地を排除しなければならないのです。
全てを見渡した上で、英語を学ぶということの意味をあらためて考える必要があります。
簡単にいえば何がスタンダードなのかということです。
英語の発音1つをとってみても、一般的な日本人の発音が英米人と同じになるなどということはありません。
いくら舌の動かし方を学んでみても正確に発音することは無理なのです。
それではダメなのでしょうか。
RとLの発音については昔から随分と言われてきました。
だからといって日本人の英語はダメだと断定してしまっていいものかどうか。
世界標準になるということは、常に多くのバリエーションを含みこむことを意味しています。
発音が悪いからあれは英語ではないという言い方はあってはならないワケです。
コミュニケーション力
それぞれの母国語の発音に近い英語の数が世界にはあふれているといます。
事実、今までに多くの外国人の英語を聞いてきました。
極端な母国語訛りがあるからといって誰も拒否しません。
言葉は意思を伝達するための手段です。
その基本をきちんとおさえておけばいいのです。
しかしそうはいってもやはり英米人らしい発音で流暢に話したいという本音も見えてきます。
いわゆる西洋人に対するコンプレックスがどこかに宿っているのかもしれません。
WASPと呼ばれるごく一般的な白人はどれほどいるのか。
白人、アングロサクソン、プロテスタントのアメリカ人など今はそれほどに多くないのです。
アメリカの大統領選挙をみてもわかるように、そこに大きな意識の断層があるのも事実です。
英語の問題はいろいろな要素を持っています。
しかし基本はこれだけ話す人の裾野を広げたという事実です。
他のヨーロッパ言語ももちろんあります。
しかし英語ほどの力を持っていません。
かつてはフランス人ならフランス語しか話さないといったような時代もありました。
しかし今では全世界どこでも英語が標準になりました。
旅行をしてみれば、そのことがよくわかります。
新しい時代の英語の持つ意味と意義をもう1度、まとめてみてください。
読む、書く、聞く、話すという4つの段階をどうマスターしていけばいいのか、あわせて論じておく必要もあります。
今回も最後までおつきあいいただきありがとうございました。